落花はな)” の例文
阿国おくに歌舞伎でおぼえた小歌を口誦くちずさみながら、朱実あけみは、家の裏へ下りて、高瀬川の水へ、洗濯物あらいものの布を投げていた。布を手繰たぐると、落花はなの渦も一緒に寄って来た。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滝つぼには落花はなあくたが浮いたり沈んだりしていた。どこかで、老鶯おいうぐいすが啼きぬくのである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
峰阿弥の顔に、ひとひらの落花はながとまった。手で払いのけながら
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ、落花はなの影だけが、暗いしとみの外に舞っていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)