“侘”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
わび67.1%
31.3%
かこ0.4%
0.4%
0.4%
わびし0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
越前ゑちぜん武生たけふの、わびしい旅宿やどの、ゆきうもれたのきはなれて、二ちやうばかりもすゝんだとき吹雪ふゞき行惱ゆきなやみながら、わたしは——おもひました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
夜のやみは雨にれた野をおおうていた。駅々の荒い燈火は、闇に埋もれてるはてしない平野の寂しさを、さらにびしくてらし出していた。
我はこれを聞きつゝも、むかしの羈靮きづなの再び我身にまつはるゝを覺えて、只だ恩人に見放されたる不幸なる身の上をかこちぬ。公子は我を慰めがほに、又詞を繼いで云ふやう。
我にまさるものには我れすなはち彼に問はん、百歳の老翁らうをうなりとも我に及ばざる者には我れ即ちを教へんと云つて、南泉なんせんといふ禅坊さんの所へ行つて二十年間まずに修業を継続したのだから
点頭録 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
……されば、逐々ありありて戻り来しか。来る年も来る年も待ちったが、冥土の便宜びんぎ覚束いぶせしないか、いっこう、すがたをお見されぬ。今もいま、ばば刀自とじ愚痴かごというていた。……ああ、ようまあ戻り来しぞ。
生霊 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
むっとこもった待合のうちへ、コツコツと——やはり泥になった——わびしい靴のさきを刻んで入った時、ふとその目覚しい処を見たのである。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)