“わ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ワ
語句割合
湧20.5%
詫12.5%
分7.7%
我6.1%
破6.1%
環5.1%
沸4.8%
輪4.1%
羽3.4%
吾3.2%
頒3.1%
侘2.8%
割2.6%
別2.2%
佗2.0%
悪1.7%
涌1.5%
和1.3%
詑0.8%
汝0.7%
喚0.7%
在0.6%
惡0.6%
圏0.6%
把0.5%
解0.3%
配0.3%
判0.2%
私0.2%
若0.2%
己0.2%
謝0.2%
朕0.1%
訳0.1%
生0.1%
圈0.1%
倭0.1%
傍0.1%
岐0.1%
忘0.1%
醜0.1%
鐶0.1%
領0.1%
余0.1%
話0.1%
裂0.1%
○0.1%
儂0.1%
哩0.1%
毀0.1%
笑0.1%
罅0.1%
走0.1%
除0.1%
來0.0%
俺0.0%
束0.0%
妾0.0%
折0.0%
不良0.0%
予0.0%
側0.0%
噪0.0%
圜0.0%
弁0.0%
捕蹄0.0%
排0.0%
断割0.0%
来0.0%
浮0.0%
渡0.0%
生少0.0%
画0.0%
発生0.0%
箍0.0%
箝0.0%
薄気味悪0.0%
辨0.0%
醸0.0%
露0.0%
頌0.0%
頷0.0%
顕0.0%
髷0.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
小説にしようか、絵の修業をしようか——まとまりようのない空想が、あとからあとから湧(わ)いてくる。つい、うっとりとしていると
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「あたしにお詫(わ)びになることなんかいりませんけど、それで気がすむのでしたら、どうぞ、なさりたいようになすって、ちょうだい」
キャラコさん:03 蘆と木笛 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
父親(ちちおや)はなにかいっていましたが、やがて半分(はんぶん)ばかり床(とこ)の中(なか)から体(からだ)を起(お)こして、やせた手(て)でその金貨(きんか)を三人(にん)の娘(むすめ)らに分(わ)けてやりました。
青い時計台 (新字新仮名) / 小川未明(著)
我(わ)が獲(え)ものとを見較(みくら)べながら、かたまけると云(い)ふ笑方(ゑみかた)の、半面(はんめん)大(おほ)ニヤリにニヤリとして、岩魚(いはな)を一振(ひとふり)、ひらめかして、また、すた/\。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「くるみ」を破(わ)り切ったので、今度は茶を出して美濃紙で張った「ほいろ」の様なものを、炉の上にのせた中にあけ火を喰わせ始めた。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
鹿(しか)は大(おほ)きな環(わ)をつくつて、ぐるくるぐるくる廻(まは)つてゐましたが、よく見(み)るとどの鹿(しか)も環(わ)のまんなかの方(はう)に気(き)がとられてゐるやうでした。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
門に入れば鼎(かなえ)の沸(わ)くごときものが感じられ、早くもここには一死を共に誓う家の子郎党の二心なき者が踵(きびす)をついで駆け集まっていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうかとおもうと、つむじ風のように、大きな輪(わ)や小さな輪をえがいて、ゆかいそうにアッカのまわりをグルグルと飛(と)びまわります。
すると、そのたびに、一羽(わ)の白い小鳥(ことり)がその木の上にとんできては、灰かぶりがほしいというものを、なんでもおとしてくれました。
これを要するに諸人才器齷齪(あくさく)、天下の大事を論ずるに足らず、吾(わ)が長人をして萎薾(いび)せしめん。残念々々。足下(そっか)久坂をのみ頼むなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
文吉は、枝折戸の外に待たしてあるわたくしに菓子を少し頒(わ)けて呉れますが、ほとんど大部分をその場でぽり/\食べてしまいます。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
峠路の駕(かご)に興じたり、雨の宿りを侘(わ)びしがったり、高原の道に馬をせがんだりして、いつか知らず故郷の土を踏んでしまったのである。
日本婦道記:桃の井戸 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
卜斎(ぼくさい)の鉄拳(てっけん)をくったせつなに、仮面(めん)は二つに割(わ)られてしまった。そして二つに割られた仮面が、畳(たたみ)の上に片目をあけて嘲笑(あざわら)っている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「私は佐瀬でございます」三十を少し越したかと思われる頭髪を綺麗に別(わ)けた、色白の背の高い紳士は云った。友は椅子をすすめながら
真珠塔の秘密 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
草庵というのも、佗(わ)び住んだ庵で、必ず草で葺(ふ)いた庵ではなく、草家(くさや)というのも必ず草で葺いた家ではない。草戸もそれと同じ事である。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
さあそれと聞いてからは、子供心に気味が悪(わ)るくって、その晩などは遂(つい)に寝られなかった。私の実際に見たのではこんな事がある。
子供の霊 (新字新仮名) / 岡崎雪声(著)
己は根岸の家の鉄の扉を走って出たときは血が涌(わ)き立っていた。そして何か分からない爽快(そうかい)を感じていた。一種の力の感じを持っていた。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そこで『立派(りつぱ)なユーモリスト』なる澁(しぶ)六先生(せんせい)之(これ)に和(わ)して、『世界中(せかいぢう)のひつくりかへる旦(あした)かな』とやつたんだ。どうだ分(わか)つたか。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
しかも君はいない。僕はそれをざっと見てから、失礼を詑(わ)びて帰ってきた。そして、アヴドーチャ・ロマーノヴナにありのまま報告した。
「汝(わ)いらはいったい、何のために、かくは勝家の討って出るを、阻(はば)めるのか。勝家を迎えるあいだに、なぜ目に見えている敵を支(ささ)えぬか」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
善ニョムさんは、泣声になって喚(わ)めいた。いやだ、いやだ——青い麦の芽達が、頭を振りながら、善ニョムさんの眼前に現われて来た。
麦の芽 (新字新仮名) / 徳永直(著)
あまりの酷(むご)たらしさに皇后は、顔色もなくお在(わ)したが、舟がすすむにつれ、風浪も烈しく、いよいよ生ける心地もなかった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つまみ出(だ)して障子(せうじ)を締(し)めた、殘暑(ざんしよ)といふものは惡(わ)る惡(わる)う暑(あつ)い、空氣(くうき)が通(かよ)はないから尚(な)ほ更(さ)らである、曇(くも)つてゐるから頭痛(づつう)がする、たまらぬ。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
さっきまでは居る影さえしなかった鳶(とんび)が、いつの間にかすぐ目の前で五六度圏(わ)を描いて舞ったかと思うと、サッと傍の葦間へ下りてしまう。
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
人には一把(わ)の菜の慈悲もなかりき、今はジリジリ移りゆく日影を見るに堪えかね、仏壇の前に伏して泣きたり、哀れの寡婦よ、いかばかり悲しかりけん
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
髪の毛の匂いと、それからどこから来るのだか解(わ)からない、ある不思議な女の香気が彼にもつれ掛って来た。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
そして外へ出ると、時々配(わ)けてもらった草花を、腕車(くるま)の蹴込(けこ)みへ入れて帰って来た。中庭の垣根のなかには、いろいろのものが植えられた。
黴 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そしてこれらの諸品が婆(ウバ)ヒガンすなわちタチヒガンと縁の無いことは、その葉を検すれば直(す)ぐに判(わ)かるのである。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
車(くるま)もなし、女中(ぢよちう)も連(つ)れずか、やれ/\ま早(はや)く中(なか)へ這入(はい)れ、さあ這入(はい)れ、何(ど)うも不意(ふい)に驚(おどろ)かされたやうでまご/\するわな、格子(かうし)は閉(し)めずとも宜(よ)い私(わ)しが閉(し)める、兎(と)も角(かく)も奧(おく)が好(い)い
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「判ってますよ。——だっていいじゃないか。若(わ)ーさんはあんなお人よしで独りでよがっているんだし、たまに逢(あ)うくらい何でもありゃしない。」
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
己(おれ)の教えが悪いによって左様な道楽の者に成ったのだ、此の短冊は己(わ)が形見で有るから、是を持って何処(どこ)へでも往(い)けと云って、流石(さすが)の父も涙を含んで私(わし)の手に渡した時に
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かつは清吉を戒むること足らざりしを謝(わ)び、のっそり夫婦が様子を視(み)るに十兵衛は例の無言三昧、お浪は女の物やさしく
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
食国(をすくに)の遠(とほ)の御朝廷(みかど)に、汝等(いましら)が斯(か)く罷(まか)りなば、平らけく吾は遊ばむ、手抱(たうだ)きて我は御在(いま)さむ、天皇(すめら)朕(わ)がうづの御手(みて)もち、掻撫(かきな)でぞ労(ね)ぎたまふ、うち撫でぞ労(ね)ぎたまふ、還(かへ)り来む日相(あい)飲(の)まむ酒(き)ぞ
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
豚を殺すそんな訳(わ)けだから塾中の書生に身なりの立派な者は先(ま)ず少ない。そのくせ市中の縁日など云(い)えば夜分屹度(きっと)出て行く。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
大阪人のごときは算盤の珠(たま)の上に生(わ)いた虫のようなものです。私は、それを痛感しております。景気がよいとか、悪いとか、相場が上がったとか、下ったとか言うてそれで一生を浪費しているのです。
空中征服 (新字新仮名) / 賀川豊彦(著)
焚(た)きさしたる炭の半ば紅なるが、媼の座の畔(ほとり)にちりぼひたるは、妖魔の身邊に引くといふ奇(くす)しき圈(わ)とも看做(みな)さるべし。まことに是れ一幅クロトの活畫像なり。
ヤマトの語に当つるに相変らず「倭(わ)」の字を用うる例で、それが畿内の大和一国を表わす場合は勿論、同じ人名にしてもヤマトタケルノミコトの場合には、「日本武尊(やまとたけるのみこと)」と書き
国号の由来 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
その傍(そば)に絹帽(シルクハット)が二つ並んで、その一つには葉巻の煙(けむ)りが輪になってたなびいている。向うの隅に白襟(しろえり)の細君が品(ひん)のよい五十恰好(かっこう)の婦人と、傍(わ)きの人には聞えぬほどな低い声で何事か耳語(ささや)いている。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
三つの雄蕊(ゆうずい)は幅広き花柱枝(かちゅうし)の下に隠れて、その葯(やく)は黄色を呈(てい)しており、中央の一花柱(かちゅう)は大きな三枝(し)に岐(わ)かれて開き、その末端(まったん)に柱頭(ちゅうとう)があり、虫媒花(ちゅうばいか)であるこの花に来る蝶々(ちょうちょう)が
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
それだもの、忘(わ)、忘(わす)れるもんか。その時の、幻が、ここに残って、私の目に見えたんだ。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すて筆ながく引いて見ともなかりしか可笑(をか)し、桂次は東京に見てさへ醜(わ)るい方では無いに、大藤村の光(ひか)る君(きみ)帰郷といふ事にならば、機場(はたば)の女が白粉のぬりかた思はれると此処にての取沙汰
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
棺(ひつぎ)の前(まへ)に銀樽(ぎんそん)一個(いつか)。兇賊等(きようぞくら)爭(あらそ)つてこれを飮(の)むに、甘(あま)く芳(かんば)しきこと人界(じんかい)を絶(ぜつ)す。錦綵寶珠(きんさいはうじゆ)、賊等(ぞくら)やがて意(こゝろ)のまゝに取出(とりい)だしぬ。さて見(み)るに、玉女(ぎよくぢよ)が左(ひだり)の手(て)のくすり指(ゆび)に小(ちひ)さき玉(たま)の鐶(わ)を嵌(は)めたり。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
そして、夫人は母たる愛情を、七人の子供に平等に領(わ)けて居た。
大島が出来る話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
五秒間の後は平気に復(かえ)りぬ。医師の帰りたる後十分ばかり何もせずただ枕に就きぬ。その間何を考えしか一向に記憶せず。ただその中に世間野心多き者多し。然れども余(わ)れほど野心多きはあらじ。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
されどわれは聖母(マドンナ)に誓ふことを得べし。我心は清淨無垢(むく)にして、譬へば姉と弟との心を談じ情を話(わ)するが如くなりしなり。さるを夫人の目には常ならぬ光ありて、その乳房のあたりは高く波立てり。
脚絆(きゃはん)も足袋(たび)も、紺の色あせ、のみならず血色(ちいろ)なき小指現われぬ。一声(いっせい)高く竹の裂(わ)るる音して、勢いよく燃え上がりし炎は足を焦がさんとす、されど翁(おきな)は足を引かざりき。
たき火 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
よく浴衣(ゆかた)の模様などに、鎌の絵と、○(わ)と、ぬの字を染め抜いてかまわぬと判じさせるのがありますが、模様としては元禄(げんろく)ぶりの寛闊な趣を見せてなかなか面白いものですが
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
茶店(さてん)の老婆子儂(われ)を見て慇懃(いんぎん)に無恙(むよう)を賀し且(かつ)儂(わ)が春衣を美(ほ)む
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
男を慕(した)ふ女の心はいつも男の居所(いどころ)ぢや哩(わ)、疾(はや)く、口をあけて、さあ、吐(は)かぬか、えゝ、業畜(ごうちく)。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これ千代毀(わ)りようも有ろうのに、ちょっと欠いたとか、罅(ひゞ)が入った位ならば、是れ迄の精勤の廉(かど)を以(もっ)て免(ゆる)すまいものでもないが、斯う大きく毀れては何うも免し難い、これ、何は居らんか、何や
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ハヽイヤ、ふたりともこねいだからいつにねい、笑(わ)らあこともあるんだ、アハヽヽ
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
崖のこっち側と向う側と昔は続いていたのでしょうがいつかの時代に裂(さ)けるか罅(わ)れるかしたのでしょう。霧(きり)のあるときは谷の底はまっ白でなんにも見えませんでした。
谷 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
桃色の明りの中に白(しろ)を著て少女(をとめ)の如く走(わ)しりくる船
註釈与謝野寛全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
美禰子の顔や手や、襟(えり)や、帯や、着物やらを、想像にまかせて、乗(か)けたり除(わ)ったりしていた。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
さゝ、ヂュリエットを起(おこ)して、着飾(きかざ)らせい。俺(おれ)は往(い)てパリスどのに挨拶(あいさつ)せう。……さゝ、急(いそ)げ/\。婿(むこ)どのは最早(もう)來(わ)せたわ。急(いそ)げ急(いそ)げ。
グレ (サンプソンに對ひ、小聲にて)勝(か)つわいと言(い)はっせい。(下手を見やりて)あそこへ殿(との)の親族(しんぞく)の一人(ひとり)が來(わ)せた。
俺(わ)しは今日その商人を相手にしたのだから、先方の得手に乗せられては、みすみす自分で自分を馬鹿者にしていることになるのだ。
親子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
それともお前は俺(わ)しの眼の前に嘘をせんでいい世の中を作ってみせてくれるか。そしたら俺(わ)しもお前に未練なく兜(かぶと)を脱ぐがな
親子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
樹を切るのは樵夫(きこり)を頼んだ。山から海岸まで出すのは、お里が軽子(かるこ)で背負った。山出しを頼むと一束(わ)に五銭ずつ取られるからである。
窃む女 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
「きみも出すか、一束(わ)出したら五銭やるぞ。」
窃む女 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
もっとも、この語は古事記にも、「阿佐士怒波良(アサジヌハラ)」とある。併しそれよりも感心するのは、一首の中味である、「妾(わ)が思ふ君が声の著(しる)けく」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
神南備(かむなび)の浅小竹原(あさしぬはら)のうるはしみ妾(わ)が思(も)ふ君(きみ)が声(こゑ)の著(しる)けく 〔巻十一・二七七四〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
後に、虎、その柱を折(わ)りて、針を取りて走去(に)げぬ。高麗国(こまのくに)、得志が帰らんと欲(おも)う意(こころ)を知りて、毒(あしきもの)を与えて殺す
得志、恒(つね)にその針を以て柱の中(うち)に隠し置けり。後に、虎、その柱を折(わ)りて、針を取りて走去(に)げぬ。
不良(わ)るかったら何時でも帰ってくるから、その時はまた面倒をかけますよ。——内儀さんは眼をしょぼしょぼさせながら黙って私の言葉を聞いていたが
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
予(わ)れ今の所謂才子が作る所の戯曲(ドラマ)を見るに、是れ傀儡(くゞつ)を操りて戯を為す者の類(たぐひ)のみ、作中の人物、一も生人の態なし。其唐突、滑稽なる人をして噴飯せしむる者あり。
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
側(わ)き目もふらず、杖をふるって路を刻みつけながら、その雪の幅は、一町あまりもあったろう、縦板のように走ったクーロアールの真ン中を、かれこれ中ほどまではとっついたろう。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
噪(わ)めきつつ、はたと息絶え
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あるものは又た唱歌の教室に在る風琴の周囲(まはり)へ——いづれも天の与へた休暇(やすみ)として斯の雪の日を祝ふかのやうに、思ひ/\の圜(わ)に集つて話した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
カーテンをかかげて外を見ると、ストーブの温か味で汗をかいた硝子(ガラス)戸を透して、まるで深海の底のように黒目(あやめ)も弁(わ)かぬ真暗闇が彼を閉じこめていることが分った。
軍用鼠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして開かっていた窓を通して、一弾を狙い放した。この経路には寸分の疑いの余地はない。第一弾丸だけでも、彼の頭に捕蹄(わ)を打つに十分だ。
白糸は群れいる客を推し排(わ)け、掻(か)き排け
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その時得三は袖を掲げて、雪より白き下枝の胸を、乳も顕(あら)わに押寛(おしくつろ)ぐれば、動悸(どうき)烈しく胸騒立(さわだ)ちて腹は浪打つごとくなり。全体虫が気に喰わぬ腸(はらわた)断割(わ)って出してやる。と刀引抜き逆手に取りぬ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それについて、御縁女、相談に来(わ)せられたかな……
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
岸本の胸に浮(わ)いて来た。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
鬱蒼として居ますが幸(さいわい)に雪があったから渡(わ)たれたものの、雪がなかったら危険地でとても渡れないだろうと思います、それより半里ばかり東南の谷間を下り、それから登山しましたが
越中劍岳先登記 (新字新仮名) / 柴崎芳太郎(著)
生少(わ)かくして自己の為めに死に抗するも自然である、長じて種の為めに生を軽んずるに至るのも自然である、是れ矛盾ではなくして正当の順序である
死生 (新字新仮名) / 幸徳秋水(著)
そこで私は止むを得ず、生きている人間の胸を画(わ)って、その心臓を使いました。幾度も失敗しました。けれど遂々今夜成功し、よい結果を見ることが出来ました。
人間製造 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それに、裏長屋の軒並から——大江戸の隅の隅のどぶという、溝(どぶ)の近所から、急に発生(わ)き出した、毒虫のように、雲霞(うんか)のように飛び出して来た。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
祖父から子供のをり冬の炉辺のつれ/″\に聞かされた妖怪変化(えうくわいへんげ)に富んだ数々の昔噺(むかしばなし)を、一寸法師の桶屋(をけや)が槌(つち)で馬盥(ばだらひ)の箍(わ)を叩(たゝ)いてゐると箍が切れ跳(は)ね飛ばされて天に上り雷さまの太鼓叩きに雇はれ
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
でも後で私しを世話して置けば早晩(いつか)お前が逢い度く成て帰ッて来るだろうッて、惚(のろ)い事は箝(わ)を掛てるネ日本人に爾(そう)して今は何所に、ア爾(そ)う本郷に奉公、ア爾う可愛相に、金起さんも一緒かえ
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
お定(さだま)りの女買(おんながい)に費込(つかいこ)んだ揚句(あげく)の果(はて)に、ここに進退きわまって夜更(よふ)けて劇薬自殺を遂(と)げた……と薄気味悪(わ)るく血嘔(ちへど)を吐く手真似で話した。
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)
汝の了解(さとり)に適(ふさ)はしきまで明らかなるゆきわたりたる言葉にてその説示されんことを願ふ、げにこゝにこそ具(つぶさ)に辨(わ)くべき事はあるなれ —二七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「砂糖を入れないでもやっぱり醸(わ)きます。」
柳沢 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
新「だけれども隠すにも何も仕様がない、本堂へ持って行かれりゃア直(すぐ)に悪事(ぼく)が露(わ)れるじゃアねえか、黙って埋めて遣るから云えというので」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
勘六が賞めて、餅と蜜柑をみなの手に頌(わ)けた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その日は、病棟の人々へも少しずつ頷(わ)けるため、婦人部隊がまた萩の餅をこしらえたが、玖満子夫人は、その幾つかの残りを持って、ただひとり何処へやら出て行った。
日本名婦伝:谷干城夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と云われこの時は永禪和尚もこれは隠悪(ぼく)が顕(わ)れたわい、もう是れまでと思って爺(じゞ)い婆(ばゞあ)を切殺して逃げるより外(ほか)はないと、道中差(どうちゅうざし)の胴金(どうがね)を膝の元へ引寄せて半身構えに成って坐り、居合(いあい)で抜く了簡
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と云いながらスラリッと襖(ふすま)を開けると蟠作に続いて出ましたのがお村、只今で云う権妻(ごんさい)です。お妾姿で髪は三(み)つ髷(わ)に結い、帯をお太鼓にしめてお妾然として坐りました。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)