“爺”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
じい38.1%
じじい10.7%
おやじ9.7%
ぢい7.4%
とっ6.6%
じじ6.1%
おやぢ3.7%
3.1%
とつ3.0%
をぢ1.3%
ぢゞ1.0%
おぢ0.9%
ぢゝ0.7%
ぢぢい0.7%
おじ0.6%
ぢゞい0.6%
0.6%
じん0.4%
0.4%
ちゃん0.4%
やじ0.4%
ぢぢ0.4%
おっ0.3%
じゞい0.3%
じゝい0.3%
じいや0.3%
じっさ0.1%
ちやん0.1%
とと0.1%
おじい0.1%
おやち0.1%
じゞ0.1%
じッ0.1%
だんな0.1%
ぢんぢ0.1%
ぢゝい0.1%
てゝ0.1%
とう0.1%
やぢ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
今もいま、師匠のかけがえのないい芸を、心の中で惜んでいたのに、このおじいさんは見世みせものの中へ出すのか——と思ったからだ。
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
が、お久と云うものをそばへ置くとき、父が何だか父らしくなく、浅ましいじじいのように見えて来るのがこの上もなく不愉快なのである。
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
紅き石竹せきちくや紫の桔梗ききょう一荷いっかかたげて売に来る、花売はなうりおやじの笠ののき旭日あさひの光かがやきて、乾きもあえぬ花の露あざやかに見らるるも嬉し。
銀座の朝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「そんぢやぢい砂糖さたうでもめろ」とおつぎは與吉よきちだい籰棚わくだなふくろをとつた。寡言むくち卯平うへい一寸ちよつと見向みむいたきりでかへつたかともいはない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「オ、とっツアん、いつものくちを、五ごうばかりもらおうじゃあねえか。くちに待っていられてみると、どうも手ぶらじゃアけえれねえや」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
じじから笛を受け取るととうとう耳までつんぼになって、どっちが西やら東やら、自分がどこに居るのやら、全く解からなくなってしまった。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
「酒は好きだが、勝負事は嫌ひだつたさうで、多分大きな仕事でも請負うけおつて、手金がはひる話だらう、つて居酒屋のおやぢは言つてましたが」
お前も見る通り、先生はこんなおいさんだ。もう今に七十に間もないお方だ。それにお前の見る通りの真面目まじめなお方だ。どうだろう。
花子 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
あの男は華奢で女物の浴衣が似合ふから、蕎麥屋のとつさんも騙されたが、藁草履と、足を内輪にするのを忘れたばつかりにバレたのさ
をぢが張る四つ手の網に、月さしていろくづ二つ。その魚のくちびるあかき、この魚の背の鰭青き、うつつともへばつめたく、幻と見ればらひつ。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「モルラ」といふたはぶれせんと集ひたりし男ども、道に遊び居たりし童等は、早くこれを見付けて、見よ人々、猶太のぢゞこそ來ぬれと叫びぬ。
仕様事なさに、一日門口へ立つて見たり、中へ入つて見たりしてゐたが、蛇の目傘をさした源助さんの姿が、時々彼方此方あちらこちらに見えた。禿頭の忠太おぢと共に、お定の家の前を通つた事もあつた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
長吉ちやうきちかく思案しあんをしなほすつもりで、をりから近所の子供を得意にする粟餅屋あはもちやぢゝがカラカラカラときねをならして来るむかうの横町よこちやうの方へととほざかつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
真紅まつかな奴が枝も裂けさうになツてるのへ、真先に僕が木登りして、漸々やうやう手が林檎に届く所まで登ツた時、「誰だ」ツてノソノソ出て来たのは、そら、あの畑番の六助ぢぢいだよ。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
懸想した猪熊いのくまおじと懸想された猪熊のばばと、——太郎は、おのずから自分の顔に、一脈の微笑が浮かんで来るのを感じたのである。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いけどしぢゞいが、女色いろまよふとおもはつしやるな。たぬまご可愛かあいさも、極楽ごくらくこひしいも、これ、おなことかんがえたゞね。……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
 「いや、お年寄りの怒るのも無理ァねえ。っつあん、夜中突然に御邪魔して本当に済まなかった。あっしは清水港の次郎長って、けちな野郎で御座います」
森の石松 (新字新仮名) / 山中貞雄(著)
「そんなこと言ったって、じんつあまや。何しろまだ十六だもの……裁縫てどなれえにもやんねえのだもの、かんげえで見ればこのわらしも……」
緑の芽 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
しかし平八郎の言ふことは、年来暗示あんじのやうに此いさんの心の上に働く習慣になつてゐるので、ことわることは所詮しよせん出来ない。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
お光には「ちゃんもああではなかったが、のうお光ちょう、あの年でのうお光ちょう、それにあの病気でのう、お光ちょう、気にかけなさんなよ、のうお光ちょう」
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
違う違う。親方はそんなおやじじゃありゃしない。腰なんぞ曲っているものか。お前見たことがないんだね。尤も小屋へは余り顔出しを
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
末爺すゑぢぢ、三代に仕へて老ゆる大きぢぢよく馬描きぬ。よく見よと雲に馬描く和子や我や、三つ児のたましひ、かくぞ生きぬく。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「何云ってるのだ、おっさん、おいらの云ってるのは、今、喧嘩のとき、仲へ入ってくれた女のことだよ、何人だれだい、ありゃ、なんだか俺を知ってるような口ぶりだったじゃねえか、このあたりの人かい」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
もうこんなじゞいばゞアで何もお役には立ちませんから、どうか御退屈でない様にと申しましても、家もない山の中でございますから、ほかに仕方もございません
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此処のじゝいばゝあに厄介になって居りますると、先の又九郎夫婦が誠に親切に二人の看病をして呉れ、その親切が有難いと思ってやゝ半年も此処に居りまして、ようやく二人の病気がなおると
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
墓地の間などを荒し廻っているところを寺のじいやにでも見つかろうものなら、私たちはたちまち追い出されてしまうのだった。
三つの挿話 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
お年寄りのコオル王は愉快なおじっさ
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
これはてつきり清野のちやんとおつかあとの寝物語を聞いたのに相違ないと思つたのだ。子供といふものは、両親ふたおやの寝物語からいろんな智識を得るものなのだ。
鳴くまでは白霊パイリンかご手に据ゑてととぞ居りける春のひねもす
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ズバリと見抜いてしまやアがった。全体どういうおじいだろう? 謎のような事を
柳営秘録かつえ蔵 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
申入れる権利があるまい、ハヽヽヽヽ山木、君の様なおやち機嫌きげん取つて日蔭の花で暮らさせるは、ぽん子の為めに可哀さうでならぬぢや
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
と云われこの時は永禪和尚もこれは隠悪ぼくれたわい、もう是れまでと思ってじゞばゞあを切殺して逃げるよりほかはないと、道中差どうちゅうざし胴金どうがねを膝の元へ引寄せて半身構えに成って坐り、居合いあいで抜く了簡
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ともじッさまがいわっしゃるとの、馬鹿いわっしゃい、ほんとうに寒気がするだッて、千太は天窓あたまから褞袍どてらかぶってころげた達磨だるまよ。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
聞いた時の玻璃窓のだんなの顔といったら、今思い出しても腹がよじれる。いいみせしめっていうやつさな
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「馬鹿ぢんぢいだなア!」
鏡地獄 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
そんな稀代な気六ヶしやのぢゝいとは一体どんな顔をした奴だらうか? とおもつたので
天狗洞食客記 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
天上なる聖母に代りて、われ汝を育つべし。臥床ふしどはすでにこしらへ置きぬ。豆もえたるべし。ベネデツトオもそなたも食卓に就け。マリウチアはともに來ざりしか。尊きてゝ(法皇)を拜まざりしか。
村は一月晩ひとつきおくれでも、寺は案外陽暦ようれきで行くのがあって、四月八日はお釈迦様しゃかさま誕生会たんじょうえ。寺々のかねが子供を呼ぶと、とうかあねえに連れられた子供が、小さな竹筒をげて、嬉々ききとして甘茶あまちゃを汲みに行く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
彼女はじつと其の姿を凝視みつめてゐたが、それは何うやら能く自分のところに通つてくる、千葉在だと云ふおやぢらしく思はれて来た。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)