“艫”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とも85.1%
ろ9.9%
へさき3.3%
うしろ0.6%
みよし0.6%
ヘ0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一人は艫(とも)にいて網か綱のようなものを曳き、一人は舳から乗りだして湖の底をのぞきこみながら、右、左と船の方向を差図している。
肌色の月 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
其船頭(そのせんどう)は悠然(いうぜん)として、片手(かたて)で艫(ろ)を繰(あやつ)りはじめながら、片手(かたて)で其(そ)の水(みづ)を飮(の)む時(とき)、白鷺(しらさぎ)の一羽(いちは)が舞(ま)ひながら下(お)りて、舳(みよし)に留(と)まつたのである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
ただ一呑(ひとのみ)と屏風倒(びょうぶだおし)に頽(くず)れんずる凄(すさま)じさに、剛気(ごうき)の船子(ふなこ)も啊呀(あなや)と驚き、腕(かいな)の力を失う隙(ひま)に、艫(へさき)はくるりと波に曳(ひか)れて、船は危(あやう)く傾(かたぶ)きぬ。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
舟といえば、この渡しの舟の形はおかしい、舳(まえ)も艫(うしろ)もない、ひきがえるを踏みつけたようなペッタリした舟だワイ、あちらの岸の舟もそうだ。
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
青(あを)い水(みづ)の上(うへ)には、三十石船(さんじつこくぶね)がゆつたりと浮(うか)んで、晴(は)れた冬空(ふゆぞら)の弱(よわ)い日光(につくわう)を、舳(とも)から艫(みよし)へいツぱいに受(う)けてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
齊明天皇の御世に、百濟援助の目的で戰艦を造つたが、折角出來上ると間もなく「艫(ヘ)舳(トモ)相反(カヘル)」といふ有樣で、實用に適せなかつたといふ(『日本書紀』卷廿六)。
大師の入唐 (旧字旧仮名) / 桑原隲蔵(著)