“画”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
36.7%
えが18.0%
14.8%
9.9%
かく4.7%
ゑが4.2%
2.5%
ぐわ2.2%
かぎ1.7%
くぎ1.2%
えがく0.5%
ゑがけ0.5%
ゑがゝ0.5%
えか0.2%
くはだ0.2%
くわく0.2%
0.2%
0.2%
わか0.2%
ゑがく0.2%
0.2%
0.2%
クギ0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その場の切迫した光景と、その時の綿々とした情緒とが、洗練された言語の巧妙なる用法によって、よりも鮮明に活写されている。
雪の日 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
彼は人差指を伸ばして蚊帳の中の空間に一つの半円をえがいた。方太太はその半円を見ていると、たちまちその手は嘗試集を攫んだ。
端午節 (新字新仮名) / 魯迅(著)
梅をかない日本画家はない。画題として、梅ほど画家に好かれる花はないだろう。古い水墨家では、足利期の一の梅が私は好きだ。
梅ちらほら (新字新仮名) / 吉川英治(著)
をかく人々、字をかく人々に告ぐ。お金を払つて買つて下さるは、まことに難有ありがたいお方なり。しかしながら大抵は、わからぬ奴なり。
青眼白頭 (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
こういうかくの多い字が一杯並んで、字づらが薄黒く見えるような頁が、何か変化へんげと神秘の国の扉のように、幼い心をそそった。
『西遊記』の夢 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
夜更よふけの事とてたれも知らず、あしたになりて見着みつけたる、お春の身体からだは冷たかりき、蜘蛛のへりし跡やらむ、縄にてくびりし如く青きすぢをぞゑがきし。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
二人ににん年歯ねんしの懸隔は、おおむね迷庵におけると同じく、抽斎はをも少しく学んだから、この人は抽斎の師のうちに列する方が妥当であったかも知れない。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ぐわの陳列せられる日に、その作者はうれしくもあり、また気恥しくもある思ひを抱きながら、ホイツスラアについて会場の門をくゞつた。
冉求ぜんきゅう曰く、子の道をよろこばざるに非ず。力足らざればなりと。子曰く、力足らざる者は中道にして廃す、今なんじかぎれりと。——雍也篇——
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
眼を上げると、そこに、本願寺の屋根の破風が、暮れ残ったあかるい空を、遠く、泪ぐましくくぎっていたのである……”
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
乳首をかくしたはだを、お望みの方は、文政壬辰みずのえたつ新板、柳亭種彦作、歌川国貞えがく——奇妙頂礼きみょうちょうらい地蔵の道行——を、ご一覧になるがいい。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
前編ぜんへんのせたる三国嶺みくにたふげは、牧之老人が草画さうぐわならひて京山私儲わたくしして満山まんざん松樹まつのきゑがけり。越遊ゑついうの時三国嶺をこえしに此嶺このたふげはさらなり、前後の連岳れんがくすべて松を見ず。此地にかぎらず越後は松のすくなき国なり。
よつ其駁雑そのはくざつけづり、校訂かうてい清書せいしよし、豚児とんじ京水にゑがゝしめしもの三巻、書賈しよかこひおうじ老人につげゆるもつてしきしに、発販はつはん一挙いつきよして七百余部よぶひさげり。これより書肆しよし後編こうへんふ。
画工は、そちはき子なり、えかきてやらむ、果子をや与へむ、こゝに銭もあり、といひつゝ衣のかくしを探して、財布を取り出し、中なる銭をば、ことごとく我に与へき。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
突然歯をむき出して気たゝましい叫びと共に前脚を挙げて、くだんの乗り手に踊り掛つた。僕の祖父も、馬よりも仰天して把手ハンドルを廻すがいなや全速力で逃走をくはだてた。
曲終つてばちををさめ むねに当ててくわく
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平田は上をき眼をねむり、後眥めじりからは涙が頬へすじき、下唇したくちびるは噛まれ、上唇はふるえて、帯を引くだけの勇気もないのである。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
そこで私は止むを得ず、生きている人間の胸をって、その心臓を使いました。幾度も失敗しました。けれど遂々今夜成功し、よい結果を見ることが出来ました。
人間製造 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ただし虎の髑髏されこうべを獅のと較べると獅の鼻梁はなばしらと上顎骨が一線を成して額骨とわかれ居るに虎の鼻梁は上顎骨よりも高く額骨に突き上り居る
わたり一尺八寸七分きよ厚二寸許緑衣生ぜり。此日寺中書画を曝す日にて蔵画を見たり。大横幅著色寿老人一くわい寺僧兆殿司てうでんすゑがくところなりといへども新様にして疑ふべし。しかれども図式は頗奇異なり。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
紫雲は一筋長くたなびいて、中央根本堂とも見える屋の上から、きおろされた。雲の上には金泥コンデイの光り輝くモヤが、漂ひはじめた。姫の命をシボるまでの念力が、筆のまゝに動いて居る。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
諸葛武侯父子、皆クス。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
配偶ツマどうしの間に相闘ふ物語を、つまどひ(求婚)、ねたみづま(妬婦)、つまさり(離婚)の物語と言ふやうに、大体三通りにクギり、配偶ツマどうし安らかに相住むことが出来ないで
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
自然から「美」をもとめないで「美」に似た事象のある所とした。理想の「美」を絵画に据ゑてゐた。が、其も墨書きやの絵巻若しくは、屏風の構図であつた。