“近傍”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
きんぼう61.3%
あたり9.7%
かいわい6.5%
かたはら3.2%
かたへ3.2%
きんばう3.2%
きんりん3.2%
そば3.2%
ちかく3.2%
もより3.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かれは、もう自分じぶんみみうたがいませんでした。きっと、この近傍きんぼうにだれかあかぼうてたものがあるにちがいないとおもいました。
犬と古洋傘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼はその兄弟等と一の路を行かず、こは嘗てその近傍あたりにとゞまれる大いなる家畜けものの群を謀りて掠めし事あるによりてなり 二八—三〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ちらり姿すがたなつすだれごしくやれゆゑしみてか藥師やくしさまの御縁日ごゑんにちにそヾろあるきをするでもなく、ひとまちがほ立姿たちすがたかどにおがみしこともなけれど美人びじんこの近傍かいわいにかくれなしとくは
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
成ぬ而て何者なるか包まず申立よとあるに五兵衞其儀は私しより申上んとて平吉に會釋ゑしやくなしさて主人平兵衞儀權現堂小篠堤にて横死わうしせつ死骸しがい近傍かたはら紙煙草入かみたばこいれおちて有しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
漸くにふみしめ勝手かつて屋根やねいたらんとするをり思ひも寄らぬ近傍かたへまどより大の男ぬつくと出ければ喜八はハツと驚き既に足を踏外ふみはづさんとするに彼の男は是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
落付おちつけんと思ひ近處きんじよ近傍きんばうへは古郷なる筑後ちくご久留米くるめへ赴くといひなしてぞ立出ける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
昼は近傍きんりん頑童等わらべらこゝに来りて、松下の細流に小魚をあみする事もあれど、夜に入りては蛙のみ雨を誘ひて鳴き騒げども、その濁れる音調を驚ろきます足音とては、稀に聞くのみなり。
鬼心非鬼心:(実聞) (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
主人は岩魚いわなでも釣りに往ったかして戸が閉っている、小舎の近傍そばには反魂草はんごんそうきいろい花が盛りだ、日光から温かい光だけを分析し吸収して、咲いているような花だ、さっきの沼の傍で
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
乃公おれそっと校長の室へ行って見た。来ない筈だ。木乃伊はストーブの側で椅子にもたれて、心持好さそうに居睡いねむりをしている。うなると校長も他愛ないものだ。乃公が近傍ちかくへ行っても知らずにいる。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
田畑が少のうございますから、温泉宿の外は近傍もよりの山々から石を切出したり、炭を焼いたり、種々しゅ/″\の山稼ぎをいたして活計くらしを立っている様子です。
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)