“あたり”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アタリ
語句割合
四辺37.7%
四方19.5%
18.2%
四邊5.0%
周囲2.9%
四隣2.7%
四囲2.6%
2.0%
附近1.4%
四周1.1%
四下0.8%
0.6%
周匝0.5%
周圍0.5%
四圍0.3%
周辺0.3%
0.2%
周邊0.2%
四壁0.2%
四面0.2%
見当0.2%
身辺0.2%
近辺0.2%
四境0.2%
0.2%
身邊0.2%
近傍0.2%
0.1%
視界0.1%
中毒0.1%
八方0.1%
其辺0.1%
0.1%
収入0.1%
四匝0.1%
四端0.1%
四顧0.1%
想像0.1%
0.1%
界隈0.1%
見當0.1%
辺町0.1%
辺際0.1%
近処0.1%
近所0.1%
0.1%
魚信0.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
村の方ではまだ騒いで居ると見えて、折々人声は聞えるけれど、此の四辺あたりはひつそりと沈まり返つて、そよぐ音すら聞えぬ。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
小女こむすめは黙って山を右におりて、小さな池の中にけた橋の方へ往った。月の光は木立こだちさえぎられて四辺あたりは暗かった。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこにはもう他に一組の鵜飼うかいがいて、がやがやと云いながら一そうの舟をだしているところであった。四方あたりはもうすっかりと暮れていた。
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
四方あたりを見い見いささやく鹿の子の言葉を、余吾之介は霹靂へきれきのように聞いたか、灯の側に坐った顔が、サッと血の気を失った程でした。
十字架観音 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
医名宮中に聞ゆ どうも半開国俗の時の流行をうことは意外なもので、其事それが尊きあたりまで達しまして一日私を招待することになった。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
『歯が脱けて演説の時に声が洩れて困まる』と、此頃口癖のやうに云ふとほり、口のあたりが淋しく凋びてゐるのが、急に眼に付くやうに思つた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
するとある日、藏座敷くらざしきで私が何かしてゐるとき、お糸さんが、妙に言出しにくさうにして、四邊あたりをはばかりながら傍に寄つて來た。
日本橋あたり (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
そして四邊あたりを見𢌞すと何處もみな鬱蒼たる杉の林で、その夕闇のなかからこの筒拔けた樣な寂しい聲は次から次と相次いで聞えて來てゐるのである。
比叡山 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
といふので、近眼ちかめ書肆ほんやは慌てて膝頭から尻の周囲あたりを撫でまはしてみたが、そこには鉄道の無賃乗車券らしいものは無かつた。
寒い晩だつた。密閉した室で、赫々かつ/\と火を起した火鉢に凭つて、彼は坐つて居た。未だ宵のうちなのに周囲あたりには、寂として声がなかつた。
(新字旧仮名) / 牧野信一(著)
四隣あたり、人定まった時に、過去のことと人とを思い出すことが彼にとっては、ひたひたと四方から鉄壁で押えつけられるように苦しい。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
とたんに御本丸から吹きおろす大体ねおろしに、返咲きの桜が真白く、お庭一面に散乱した。言い知れぬ殺気が四隣あたりに満ち満ちた。
名君忠之 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
入口では人のふところへまで手を入れて調べる人がいたり、場内へ這入はいると、四囲あたりの空気が臭くて、じっとしていられなかった。
生活 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
此指環、此燈このあかり此居宅このすまひも、此夜も此夏も、此の蚊の声も、四囲あたりの者は皆永く残り候に、私ひときものに相成候て
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
紅の上衣を頂より被りて、一人の穉兒をさなごには乳房をふくませ、一人の稍〻年たけたる子をば、腰のあたりなるの中に睡らせたる女あり。
そらさはやかれて、とほ木立こだちそらせつするあたり見渡みわたされるすゞしい日和ひより
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
玉川上水の分流わかれで、品川方面の灌漑専用くわんがいせんようの水だが、附近あたりの村人は朝々あさ/\かほも洗へば、襁褓おしめの洗濯もする、肥桶も洗ふ。
水汲み (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
また知る、この物サビーニの女達の禍ひよりルクレーチアの憂ひに至るまで七王の代に附近あたりの多くの民に勝ちていかなるわざをなしゝやを 四〇—四二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「皆さん。御覧の通りこれは私が今日通りがゝりの鳥屋から借りて来た正真正銘の兎です。」とかう彼は慣習になつた口上めいた事を云つて、四周あたりの人たちをずつと見渡した。
手品師 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
私は今一度、思い切って眼を見開いた。シビレの切れかかったボンノクボを枕にもたせかけたまま、ウソウソと四周あたりを見まわした。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
大きな声が夜の空をつんざいて四方へ響渡ったのみで、四下あたりはまたひッそとなって了った。
仆れしを漸く起回おきかへりて、忙々いそがはし四下あたりみまはせど、はや宮の影は在らず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
例へば本書一〇二頁「さぎの歌」を誦するにあたりて読者は種々の解釈を試むべき自由を有す。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
公費患者は一ヶ月の食料が一人あたり三円というので、ほとんど残飯だけを食わされていたらしい。
(新字新仮名) / 坂口安吾(著)
這麽こんな理由とも気が付かず、唯モウ暗い陰影かげに襲はれると自暴やけに誇大なことばを使つて書く、筆が一寸つまづくと、くすんだ顔を上げて周匝あたりを見る。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
周匝あたりにひびく駒下駄の音を石甃に刻み乍ら、拝殿の前近く進んで、自分は図らずも懐かしい旧知己の立つて居るのに気付いた。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『チヨツ莫迦ばかにしてるよ。松公はもと/\此方こつちの弟子ぢやないか。其をお前が引張込んで、散々さんざツぱら巫山戯ふざけ眞似まねをして置いて……』とだ何か毒づかうとしたが、急に周圍あたりに氣がつくと、低聲こごゑになつて、『ふうが惡いよお前は……。』
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
周圍あたりには誰も居ません。
先程の段々まで來たとき、私は一寸立止つて、馬のひづめの音がまた土手道に響くやうな、そして Gytrashガイトラッシュ のやうなニウファウンドランドの犬と外套を着た乘手のりてがまた現はれて來るやうな氣がして、四圍あたりを見𢌞はし耳を澄ました。
不圖許婚の自分の妻の事が眼に浮ぶと四圍あたりが急に華やかになる。
半日 (旧字旧仮名) / 有島武郎(著)
猶お周辺あたりに血の痕の無きを見ればほかにて殺せし者をかつぎ来りて投込みし者なるし又此所このところより一町ばかり離れし或家の塀に血の附きたる痕あれど之も殺したる所には非ず多分は血にまみれたる死骸を舁ぎ来る途中事故ありて暫し其塀に立掛し者なる可し
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
周辺あたりはなしにはまれ立入たちいるのみで、質問しつもんをされたらけっして返答へんとうをしたことのい、ものも、ものも、あたえらるるままに、時々ときどきくるしそうなせきをする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「斯うしていても際限きりがないから、……私、最早もう帰りますよ。じゃこれで一生会いません。」と、あたりを憚るように、低声こごえで強いて笑うようにして言った。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
かれそのあたり遊行あるきて、そのうたげする日を待ちたまひき。
周邊あたりはなしにはまれ立入たちいるのみで、質問しつもんをされたらけつして返答へんたふたことのい、ものも、ものも、あたへらるゝまゝに、時々とき/″\くるしさうなせきをする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
と御声ひくゝ四壁あたりを憚りて、口数すくなき伯母君が(おぼ)(あ)はすることありてか、しみじみと(さと)し給ひき、我れ初めは一向ひたすら夢の様に迷ひて何ごとゝも思ひ分かざりしが、漸々(やうやう)伯母君の詞するどく。
雪の日 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
小山と小山との間に一道の渓流けいりう、それを渡り終つて、猶其前に聳えて居る小さいみねを登つて行くと、段々四面あたり眺望てうばうがひろくなつて
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
それでは済みませんや、大恩のある御主人様の身辺あたりへ気を付けて、警護をしていることを遠慮は出来ませんよ、無理な話だ、まわったにちがえねえ、それでもまだ遠慮して外庭ばかり巡って居りました、すると勘八の野郎が……勘八とは知んねえだ初まりは……犬う斬ったから野郎と押えべいと出たわけさ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
東北とうほく地方は一躰いったい関西かんさい地方や四国しこく九州きゅうしゅうの辺とちがって、何だか薄暗い、如何いかにも幽霊が出そうな地方だが、私がこの夏行った、陸中国遠野郷りくちゅうのくにとおのごう近辺あたりも、一般に昔からの伝説などが多くあるところだ。
テレパシー (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
私の下駄の力の入った踏み音のみが、四境あたりの寂しさを破って響いた。
黄色い晩 (新字新仮名) / 小川未明(著)
外の雪は止んだと見えて、四境あたりが静かであった——炬燵こたつに当っていて、母からいろんな怖しい話を聞いた。その中にはこんな話もあったのである。
北の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
愈江戸風の浮氣うはきには相あたり申候に付、夫けは御安心可下候。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
「おかみ、何もさう迄いはなくたつていゝぢやないか。誰も女中達を裸にして見せろとは云やあしない。たゞ心あたりは無いかと訊いたばかりなんだ。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
お前樣がお好きの畫や歌や何の何の、見れば嬉しく、聞けば床しく、ぢれも肝も悉皆みなおさまりて、思ひ出してさへ魂のふらつく樣な事が御座んす、とは又何ぞと問へば、身邊あたりの新聞をつきつけて、夫れ此處に、と指さすは新の字
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かくて、數時間すうじかんたりしのち身邊あたり人聲ひとごゑさわがしきに、旅僧たびそうゆめやぶられて
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
朝から晩まで引切しつきりなしに鵞鳥の締め殺されるやうな声で、近傍あたり構はずうたひ続けるのでそのやかましさといつたら一通ひととほりの沙汰ではない。
彼はその兄弟等と一の路を行かず、こは嘗てその近傍あたりにとゞまれる大いなる家畜けものの群を謀りて掠めし事あるによりてなり 二八—三〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
異邦人に由て異邦人のために著わされし路加伝も亦イエスの言行を伝うるにあたりて来世を背景として述ぶるに於て少しも馬太伝に譲らないのである、医学者ルカに由て著わされし路加伝も亦他の福音書同様著るしく奇蹟的であって又来世的であるのである
而して是れ現世このよに於て在るべき事でないことは明瞭あきらかである、基督教会が其伝道に由て「諸の人」に神の救を示すべしとは望んで益なき事である、而かも神は福音を以て人をさばき給うにあたり
その時は、原因が周囲ぐるりにあったのではなく、今度は小式部の眼の中にあったのです。と申しますのは、何度も逆かさ吊りになると、視軸めのなかが混乱して、視界あたりが薄暗くなって来るのです。それですから、その真下に当る硝子戸の裏に、銀沙を薄く塗って、お祖母様はそれに御自分のおぐしを近付けていたのです。
絶景万国博覧会 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
小式部さんが逆か吊りになると、視界あたりが朦朧として来て、下の硝子板に映っているお祖母様の紅頭べにがしらと白鼈甲の笄が、黒と本鼈甲の自分のもののように見えてしまうのです。
絶景万国博覧会 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
冬枯れの寒さ中毒あたりで、茶釜の下に島の朝煙の立たない時があっても、まるで寄ッつかず、不幸な奴ッちゃねえけれど、それでも、
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
井崎八郎の声は八方あたり構わず響き渡ります。
そして毎日の事なので、其辺あたりに気もけないで、ずつと卓子テーブルの前までやつて来た。
袖にはくちなわ、膝には蜥蜴とかげあたり見る地獄のさまに、五体はたちまち氷となって、慄然ぞっとして身を退きましょう。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
収入あたりの勘定だろうね、まア繁昌で結構だ」
其勇ましい唸き聲が、眞上の空をつんざいて、落ちて四匝あたりの山を動かし、反つて數知れぬ人の頭を低れさせて、響の濤の澎湃と、東に溢れ西に漲り、甍を壓し、樹々を震わせ…………………………弱り弱つた名殘の音が、見えざる光となつて、今猶、或は、世界の奈邊どこかにさまようて居るかも知れぬ。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
よく見る勇気もなかったが起伏蜿蜓えんえん突兀とっこつとして四端あたりに聳えて居る群雪峰は互いに相映じて宇宙の真美を現わし、その東南に泰然として安坐せるごとく聳えて居る高雪峰はこれぞドーラギリーであります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
茫然と、げた抜刀ぬきみもそのままに、時に徳川万太郎は、あとに残って再び四顧あたりを見渡しますと、雲霧の仁三、四ッ目屋の新助、いずれも素早い上に腕達者な曲者しれもの、遂に、一方を破って逃げたものでしょうか。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この人とてもまともの渡世でないことはさっきの騒ぎでもおよその想像あたりはつこうというもの。今来た男からでもとったのだろうか。とするといまの男は何者で、いったい全体、どこから小判を手に入れたか?
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
一人を殺す者は一死その命にあたりて足るべけれども、万人を殺す者は何の刑をもって万人の命にていすべきや。
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
「そんな器用な娘があの界隈あたりに居そうもねえから不思議だ。——真夜中過ぎに、見附や自身番の目をのがれて、遠方から通う道理はねえ——と親分は言いなさるが、あの居廻りには娘や妹持ちの浪人も居ず、第一浅草や下谷から近頃引越して来た者もありませんぜ」
喜介 先月の晦日みそかにかけ出したぎりで音沙汰なし、相手は大抵見當あたりが付いてゐるものゝ、表沙汰にしたら又迷惑する人もあらう。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
現在の三崎町…あの辺町あたりの様子を、まるで忘れていたのでは
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こういうよい文章(上書文)が出来たのに、この文章を示さずに殺してしまうというのは残念だと、非常な刺戟に打たれつつ出てまいりましたが、不思議にもその法林道場の辺際あたりより、ギョクポ・ペブという奇態な大声が聞えました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
唸声うなりごえ顕然まざまざと近くにするが近処あたりに人が居そうにもない。
売り物なるべしとのうわさ一時は近所あたりの人の間に高かりしもいつかこのうわさも消えてあとなく
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
はい、実はわたくしは三年跡粥河圖書方へ余儀ない縁合えんあい嫁付かたづきまして何不足ない身の上で、昨年九月あたりから、夫は鎌倉道の竹ヶ崎の南山と申す所へ田地と山を買い、其所そこへ別荘をたてると申して出ました切り手紙を一通送ってよこさず
しかも水天一髪の間に泛んで、澄明清気を通してやつてくる魚信あたり——魚の引く力といふものは、水をり骨を浸透してシン身に応える。
魚美人 (新字旧仮名) / 佐藤惣之助(著)