四圍あたり)” の例文
新字:四囲
此物語に引き入れらるゝおそれなく、詩趣ゆたかなる四圍あたり光景ありさまは、十分に我心胸に徹して、平生の苦辛はこれによりて全く排せられをはんぬ。
馬のひづめの音がまた土手道に響くやうな、そして Gytrashガイトラッシュ のやうなニウファウンドランドの犬と外套を着た乘手のりてがまた現はれて來るやうな氣がして、四圍あたりを見𢌞はし耳を澄ました。
不圖許婚の自分の妻の事が眼に浮ぶと四圍あたりが急に華やかになる。
半日 (旧字旧仮名) / 有島武郎(著)
それから舟の端に腰をかけて、一寸の間、四圍あたりを見てゐた。
防雪林 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)
聖像は流石さすが人に敬を起さしめて、四圍あたりの群衆忽ちひざまづけば、傀儡師も亦壇を下りて跪きぬ。
由はギヨツとしたやうに、四圍あたりを見た。
防雪林 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)