“掻曇”の読み方と例文
読み方割合
かきくも100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
折から一天いってんにわか掻曇かきくもりて、と吹下す風は海原を揉立もみたつれば、船は一支ひとささえささえず矢を射るばかりに突進して、無二無三むにむさんに沖合へ流されたり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
洗ふ水音みづおと滔々たう/\として其の夜はことに一てんにはかに掻曇かきくも宛然さながらすみながすに似てつぶての如きあめはばら/\と降來る折柄をりから三更さんかう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
小夜さよけてから降り出した小雨こさめのまた何時いつか知らんでしまった翌朝あくるあさ、空は初めていかにも秋らしくどんよりと掻曇かきくもり、れた小庭の植込からはさわやかな涼風が動いて来るのに
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)