“乃公”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おれ61.2%
だいこう16.4%
わし8.6%
おいら6.9%
おら2.6%
ダイコウ2.6%
こちとら0.9%
われ0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そして果せる哉、本統ほんとうに伊勢鰕のように真赤な顔になった。乃公おれは困ったと思うと、富田さんが突然いきなり乃公の手を捉えたのには喫驚びっくりした。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
主人の貪欲不人情、かまどの下の灰までも乃公だいこうの物なりと絶叫して傍若無人ならんには、如何に従順なる婦人も思案に余ることある可し。
新女大学 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
韓さんはそんなだつたら乃公わしが往つても、もう駄目だらうからツて、来てはくれませんでした。お蔭で私は生命拾いのちひろひをしました。
「やかましい、黙れ、乃公おいらがこの破戸漢ごろつきたたき殺すんだ」岡本を睨みつけて、「野郎、出て往きやがれ、ぐずぐずすると敲き殺すぞ」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
うん乃公おらが音頭とるべい。音頭とるべいが、皆であとやらんといけねえぞ。音頭取りばかりにさしちゃいけねえぞ——ソラ、ジンバラハラバイタァ」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「こりゃ黄信。きさまは日頃、乃公ダイコウ出デテ三山ニ鬼声ヲ絶ツ——などと大言を吐いていたが、なんとしたこと、これを見ろ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ふウむ、其りや、野郎可哀さうな様だがかへつ幸福しあはせだ、乃公こちとらの様にピチ/\してちや、養育院でも引き取つては呉れめヱ——、ま、愈々いよ/\となつたら監獄へでも参向する工夫をするのだ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「昔は五百石の御朱印ごしゆいんで」なぞと言つても、「乃公われの家の糊米のりまいだ」と京子の父は高をくゝつて道臣を見下げた。腹がめかけだといふので、長女には生れてゐても、京子は弟や妹ほど父に重んぜられなかつた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)