“竈”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かまど71.9%
へっつい9.8%
かま4.6%
へつゝひ2.5%
へッつい2.2%
へつつひ1.4%
がま1.1%
くど0.8%
へツつひ0.8%
べっつい0.8%
そう0.5%
カマド0.5%
へつい0.3%
へつつい0.3%
へつひ0.3%
へつゝい0.3%
べつゝひ0.3%
べッつい0.3%
べツつひ0.3%
ぺツつい0.3%
アヴン0.3%
クド0.3%
サウ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
毎晩のようにかまどの前に藁把わらたばを敷いて自分を暖まらしてくれた、お松が居ないので、自分は始めてお松はどうしたのだろうかと思った。
守の家 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
侍はにこにこしながら米を洗ってへっついにかけ、それに火を焚きつけた。それでも女は起きて来なかった。侍は絶えずにこにこしていた。
花の咲く比 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
構えたままで、後へ退がり、かまの前まで、ツツ——と行く。そこで初めて刀を下げ、パチンと鞘に納めたが、以前の場所へ端座した。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いつでも庭に立つて庭のへつゝひにかゝつてゐる釜の處へ往來してお給仕をするのが女中のお常の役目である。お常の差支へる時は令孃が代る。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
明方になると、トロ/\と寝ました。……アヽ失策しまったと眼をいて見ると、お瀧はへッついの下を焚付けて居ますが松五郎は居りません。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しごきの縮緬ちりめん裂いてたすき凛々敷りゝしくあやどり、ぞろりとしたるもすそ面倒と、クルリ端折はしをつてお花の水仕事、兼吉の母は彼方あちら向いてへつつひの下せゝりつゝあり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
炭焼きの勘太郎は妻も子も無い独身者ひとりもので、毎日毎日奥山で炭焼がまの前に立って煙の立つのを眺めては、淋しいなあと思っておりました。
虫の生命 (新字新仮名) / 夢野久作海若藍平(著)
私が炬燵の中で——母と私とが一緒に寝る広い寝床の中で——目をさますと、母は既に起き出でてくどの前で飯を炊いていた。
私の母 (新字新仮名) / 堺利彦(著)
……へツつひかどに、らくがきのかにのやうな、ちひさなかけめがあつた。それがひだりかどにあつた。が、陽炎かげろふるやうに、すつとみぎかどうごいてかはつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この人たちはただに酒家妓楼ぎろう出入いでいりするのみではなく、常に無頼ぶらいの徒と会して袁耽えんたんの技を闘わした。良三の如きは頭を一つべっついにしてどてらを街上かいじょう闊歩かっぽしたことがあるそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
王孫賈おうそんか問いて曰く、其のおうに媚びんよりは、寧ろそうに媚びよとは、何の謂ぞやと。子曰く、然らず。罪を天に獲ば、祷る所無きなりと。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
盆がまと言ふのは、成女戒を受ける前の女児が物忌み生活をした遺風で、まゝごとの起源でもあるのですが、こゝでは、大小二つのカマドを作つて、小さい方を家の外へ出して置くのださうです。
へついに火は燃えている。菓子箱の上に銭が散らばっている。線香は呑気のんきに燻っている。どうせ出るにはきまっている。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
鶏がへつついの上へあがつて
都会と田園 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
「この竹葉たかばの青むがごと、この竹葉のしなゆるがごと、青み萎えよ。またこの鹽のるがごと、盈ちよ。またこの石の沈むがごと、沈み臥せ」とかくとこひて、へつひの上に置かしめき。
三藏は臺所に退いてなつかしい中庭のへつゝいを眺めながら鶴子さんやお常の事を聞く。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
しき是へ御上りあれといふゆゑ長八は御構下おかまひくださるなと其所へあが四邊あたりを見るにかべの方は破れたる二まい屏風びやうぶを立回し此方にはくづれ懸りし一ツべつゝひすみ鑄懸いかけか眞黒にくすぶりたるなべ一ツを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
□□□□私の云う事をいてくだされば、衣も棄て珠数じゅずを切り、生えかゝった月代さかやきを幸いに一つべッついとやらに前をそりこぼって、お前の供をして美作国みまさかのくにまで送って上げ、かたきを討つような話も聞いたが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あゝ私が覺えて七つの年の冬でござんした、寒中親子三人ながら古裕衣ふるゆかたで、父は寒いも知らぬか柱に寄つて細工物に工夫をこらすに、母は欠けた一つべツつひれ鍋かけて私に去る物を買ひに行けといふ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ああ私が覚えて七つの年の冬でござんした、寒中親子三人ながら古裕衣ふるゆかたで、父は寒いも知らぬか柱に寄つて細工物に工夫をこらすに、母は欠けた一つぺツついなべかけて私にさる物を買ひに行けといふ
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ブラックにするのはスートだよ。今息子がアヴンから取って来た」
村の成功者 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
今日の特種は、クドをこしらへたことである、なか/\よく出来た、自分ながら感心する(樹明兄も感心してくれた)、これで炭代がういてくる、それだけ酒代が。
其中日記:01 (一) (新字旧仮名) / 種田山頭火(著)
軍井グンゼイイマダ達セズ、将カツハズ。軍幕未ダベンゼズ、将ムヲ曰ハズ、軍サウ未ダカシガズ、将飢ヱヲ曰ハズ、冬、キウヲ暖ニセズ、夏、センラズ、雨ニガイヲ張ラズ。是ヲ、将ノ礼トイフ。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)