“佇立”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ちょりつ42.1%
たたず30.3%
たちどま6.9%
たゝず6.2%
ちよりつ4.1%
つった2.1%
たたづ1.4%
たたずまひ0.7%
たたずん0.7%
たちとゞま0.7%
たちど0.7%
たちどまっ0.7%
たゝずまひ0.7%
たゝずみ0.7%
たゝづみ0.7%
ちょうりつ0.7%
ちょりゅう0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
入って見るとさすがに気がとがめた。それで入ったことは入ったが、私はしばらくはあの石の大きな水盤のところで佇立ちょりつしたままでいた。
「人格」、「大事にする」、「当り前」、こんな言葉がそれからそれへとそこに佇立たたずんでいる彼女の耳朶みみたぶたたきに来るだけであった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
容子ようすがドウモ来客らしくないので、もしやと思って、佇立たちどまって「森さんですか、」と声を掛けると、紳士は帽子に手を掛けつつ、「森ですが、君は?」
鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
敬之進は顔をしかめた。入口の庭の薄暗いところに佇立たゝずんで居る省吾を炉辺ろばたまで連れて来て、つく/″\其可憐な様子をながなが
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
われは佇立ちよりつしてアマルフイイのいりえを憶ひ起しつゝ、目を轉じて身邊を顧みれば、波のもて來し藻草と小石との間に坐して、草畫を作れる男あり。
黒吉は、相変らず佇立つったった儘、その葉子の後姿の、異様に蠢めく腰部のふくらみに、激しい憎悪に似た誘惑を覚えて眼をつぶった。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
其の紅粉は俳優の舞台に出るが如く其帯は遊女の襠裲しかけの如く其羽織は芸者の長襦袢よりもハデなり。夜店の蒔絵九谷と相映じて現代的絢爛の色彩下手な油画の如し。杖に倚って佇立たたづむ事須臾すゆなり。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
路に沿ひたるかしは、巨人のつら佇立たたずまひ
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
段の上の横手に佇立たたずんで居ると、下から誰やら登って来る足音がする、下僕でも起きたのかと思えば爾でも無い、此の人も余と同じく何事をか思案して居る者か歩む足が甚だ捗々はかばかしく無い
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
別離わかれの言葉を交換とりかはしたり、ある時は一つところに佇立たちとゞまつて、これから将来さきのことを話して聞せたり、ある時は又たみぞれの降るなかを出て、枯々かれ/″\な岸の柳の下に立つて
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
私はこちらの路次の入口のところに佇立たちどまって「ははあ」とばかりその様子を見ながら、心の中で
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
思わずも足をとどめて視ると、何か哀れな悲鳴を揚げている血塗ちみどろの白い物を皆佇立たちどまってまじりまじり視ている光景ようす
路に沿ひたる樫のは、巨人のつら佇立たゝずまひ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
いかにやせんと人々佇立たゝずみたるなかに、かの老人らうじんよし/\所為しかたこそあれとて、わかものどもをつれちかき村にいたりてにはとりをかりあつめ、雪頽なだれの上にはなちをあたえつゝおもふ処へあゆませけるに
あらひてあがりくれよとはさて意外いぐわいわからぬといへばほどわからぬはなしはなしなんとせばからんかと佇立たゝづみたるまゝ躊躇ためらへば樓婢ろうひはもどかしげにいそがしたてゝ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
刹那せつな彼の神経を萎縮いしゅくさせて、とっさの判断、敏速機宜きぎの行動等をいっさい剥奪はくだつし、呆然として彼をいわゆる不動金縛かなしばりの状態に、一時佇立ちょうりつせしめたのだと省察することができる。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
坂を上って上野の一部を見ようか、それでは余り遅くなるかも知れないと、危ぶみながら佇立ちょりゅうしている。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)