“田舎唄”の読み方と例文
旧字:田舍唄
読み方割合
いなかうた100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と、遥か坂下の方で、もう姿の見えぬ酒売りの男の田舎唄いなかうたが聞えていた。それが合図だったのだろう。とつぜん、七人は爆笑の声もひとつに手を打ち叩いた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぼろぼろの襤褸つづれを着て、青い鼻洟はならして、結う油もない頭髪を手拭てぬぐいで広く巻いて、叔父の子を背負いながら、村の鎮守で終日田舎唄いなかうたを唄うころは無邪気であった。
ネギ一束 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
どこからか、田舎唄いなかうたが聞えてきた。男の声である。ひょイ、ひょイ、ひょイ……と唄の節には、にない腰の足拍子が巧くのっていた。兵たちは皆、後ろの坂道を振り向いた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)