“混雑”のいろいろな読み方と例文
旧字:混雜
読み方割合
こんざつ26.7%
ごたごた20.0%
ごた/\8.9%
ごった6.7%
とりこみ6.7%
4.4%
こみいっ2.2%
こんがら2.2%
こんがらか2.2%
こんがらが2.2%
ごたすた2.2%
ごたつ2.2%
ごた/″\2.2%
ごちや/\2.2%
ごったがえ2.2%
ごつちや2.2%
ひとごみ2.2%
やゝこ2.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
はしうへかはうへにぎはひを人達ひとたち仲見世なかみせ映画街えいぐわがいにもおとらぬ混雑こんざつ欄干らんかんにもたれてゐる人達ひとたちたがひかたあはすばかり。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
階下したの部屋は一時ひととき混雑ごたごたした。親類の娘達の中でも、お愛の優美な服装がことに目立った。お俊は自分の筆で画いた秋草模様の帯をしめていた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そしてその向うに混雑ごた/\と樹が見えてゐたが、ふとそこの中に派手な色彩のちらりとしたのに目をとめて、Bは急いでそつちへと歩き出した。
島の唄 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
例の花里花魁おいらんでございますが、この混雑ごったかえしている中に一層忙がしい、今日で三日三晩うッとりともしないので、只眠いねむいで茫然ぼっとして生体しょうたいがない。
引越以来の混雑とりこみにまぎれて、解物ほどきものも、洗濯物も皆なおくれて了ったと言って、家内は縁側の外へ張物板を持出したが、狭いひさの下に日蔭というものが無かった。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
東京の市内電車が素敵に混雑むのも便利である。同じ吊り革にブラ下ったり、膝っ小僧で押合ったり、いろんな事が出来る。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
振り向くと、またしても、紅、青、紫の燈火が美しう輝やいていて、お祭りの賑かな景色が見えて、人通りの混雑こみいっている中に此方を向いて手招きをする女はたしかに自分の死んだ母親の顔であります。
迷い路 (新字新仮名) / 小川未明(著)
次第に掻口説かきくどくような調子を帯びた。お倉の癖で、枝に枝がさして、しまいには肝心の言おうとすることが対手あいてに分らないほど混雑こんがらかって来た。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
歌の句が断々きれぎれに、混雑こんがらかつて、そそるやうに耳の底に甦る。『の時——』と何やら思出される。それが余りに近い記憶なので、却つて全体みなまで思出されずに消えて了ふ。四辺あたりは静かだ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
彼の頭脳あたまを支配してゐる、種々いろいろ形象かたちと種々の色彩の混雑こんがらがつた様な、何がなしに気を焦立せる重い圧迫も、彼の老ゆることなき空の色に吸ひ取られた様で、彼は宛然さながら二十はたち前後の青年の様な足調あしどり
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
近村で問いましても正当しょうとう潔白という事、是は巡査様も御存じだから先ずかろく済みましたが、向山に居りました橋本幸三郎、岡村由兵衞は混雑ごたすたが出来て面白くもない
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おっとだけによく知っていたから、なるべくは、人数ひとかずやしてうちの中を混雑ごたつかせたくないとは思ったが、事情やむを得ないので、成るがままにしておくよりほかに、手段の講じようもなかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
迎へに出てゐる人達があたり一杯に混雑ごた/″\と巴渦を巻いてゐて、踏板を此方こつちから渡すと同時に、三等の方の人達は大きな包を抱へて先を争つて急いで出て行くのであつた。
(新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
と「小細工」やら「電気の知識」やら混雑ごちや/\に入つた頭を撫でて喜んでゐる。
驚いて天幕から飛び出して見ると、いつもは静かな往来が、右往左往に走り廻わる人で、火事場のように混雑ごったがえしている。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
頭のなかでは「耶蘇教」と「貯金」と「長生術」とが混雑ごつちやになつてゆすぶれてゐた。
お春は若旦那に手を引いて貰って、ようやくこの混雑ひとごみからのがれた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「今、混雑やゝこしいさかいお前は後に食べいの、済んだら其処へ持つて行つて呉れるさかい、お前のに別に刺身が拵へてあるわいの。——それとも一緒に食べたかつたら出て来てもよけれど。」
厄年 (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)