“陶然”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とうぜん77.1%
たうぜん22.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
不可思議なる神境から双眸そうぼうの底にただようて、視界に入る万有を恍惚こうこつの境に逍遥しょうようせしむる。迎えられたる賓客は陶然とうぜんとして園内に入る。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
八郎は雪代の酌を受けて、うやうやしく頂いた——その癖酌を受けたのは今ばかりではない、もういい加減酔っている。実は私も陶然とうぜんとしていた。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
尤も勸める方のお粂も、お付き合ひに一杯呑み、二杯呑み、八五郎が陶然たうぜんとした頃は、お粂もやがてほろりとしてをりました。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
ほだの煙は「自然の香」なり、篠田の心は陶然たうぜんとして酔へり、「私よりも、伯母さん、貴女あなたこそ斯様こんな深夜おそくまで夜業よなべなさいましては、お体にさはりますよ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)