“奈何”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いかん29.7%
いか24.7%
どう21.5%
いかに8.9%
いかが5.1%
どんな3.8%
どん2.5%
いかゞ1.9%
どうか0.6%
どち0.6%
なにし0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
独り奈何いかんせむ、彼諸会社は皆正学と好事との二派を一網打尽せむと欲してゐる。世間好事者の多いことは、到底正学者の比ではない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
他の奈何いかなる芸術作品に較べて見ても、最も形式が狭小であり作品の数もすくないのに、それの市価の決定されてゐないのはどうか。
俳句は老人文学ではない (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
かの哀れなる亡國の民に愛國心を起さしめ、獨立軍を擧げさせる、イヤ其前に日本は奈何どうかしてシャムを手に入れて置く必要がある。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
こたびの道づれははしため一人のみ。例の男仲間は一人だになし。かく膽太く羅馬拿破里の間を往來ゆききする女はあらぬならん、奈何いかになどいへり。
奈何いかがいたし候や。あるいは御許の心変りしやとも考え、くては定めし夫に対しても礼義崩れ、我儘わがままなることもなきやと、日々心痛いたし居り候。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
手習ひする生徒の背後うしろへ廻つて、手に手を持添へて、漢字の書方なぞを注意してやつた時は、奈何どんなに其筆先がぶる/\と震へたらう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『へえ、妙なことが有れば有るものだ。』と敬之進も不審いぶかしさうに、『それで、何ですか、奈何どんな風に君を呼びましたか、其声は。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
今の噴火の景などは言ふに足らず。プリニウスのふみに見えたる九十六年の破裂は奈何いかゞなりけん。灰はコンスタンチノポリスにさへ降りしなり。
代匠記で遊仙窟ゆうせんくつの「天上無ナラビ人間ヨノナカニヒトリノミ」という句を引いていたが、この歌の作られた頃に、遊仙窟が渡来したか奈何どうかも定めがたいし
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「やア、片岡、奈何どちじやい?」と政治家は第一に口を切つた。
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
「見まくり吾がする君もあらなくに奈何なにしか来けむ馬疲るるに」(巻二・一六四)、「磯の上に生ふる馬酔木あしび手折たをらめど見すべき君がありといはなくに」(同・一六六)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)