とう)” の例文
それから百済くだらの国の王からは、おうま一とう、めうま一頭に阿知吉師あちきしという者をつけて献上けんじょうし、また刀や大きな鏡なぞをもけんじました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
自分じぶんうしより、よくないうしや、うまは、一とうだって、ここにはいないだろうとおもったほど、自分じぶんうしがつまらなくおもわれたのであります。
百姓の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、あくる朝、お日さまがにこにこ、ふたりをお起しになるじぶん、八とうだての白馬をつけた馬車が、はいって来ました。
牛小屋には、牛は三とうしかいませんでした。ところが、ニールスが、はいっていったとたんに、三頭ともほえはじめました。
とうノ大夫行房と、勘解由かげゆノ次官光守は、衣冠すがたで、馬上。ほかの公卿官人はみな、騎馬戎衣じゅうい(軍装)で供奉についた。
ならんだ二だいに、あたまからざつとあびせて、のきあめしのつくのが、たてがみたゝいて、轡頭くつわづらたかげた、二とううま鼻柱はなばしらそゝ風情ふぜいだつたのも、たにふかい。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
羊どもはたよるものがなくて、八方へちりぢりになったものだから、とうとうかみ放題に二百五十とうも殺されたのです。
うまやに馬が二とういまして、キシさんはその一頭を引き出しては、いろんなことを教えてくれました。何でも知っていました。えらい人のようでした。
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
宿になる家をとうと呼び、家並やなみかまたは帳面で順がきめてある。一年の始めか終りの一度だけは、やや大きな会をする。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
主人が妄想もうそうちて、いたずらに立てるあいだに、花前は二とう三頭とちゃくちゃくしぼりすすむ。かれは毅然きぜんたる態度たいどでそのなすべきことをなしつつある。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
源氏は東宮の御勉学などのことについて奏上をしたのちに退出して行く時皇太后の兄である藤大納言の息子むすことうべんという、得意の絶頂にいる若い男は
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
まだ執念深しゆうねんぶか鐵車てつしや四邊あたり徘徊はいくわいしてるのは、二十とうばかり雄獅子をじゝと、三頭さんとう巨大きよだいなる猛狒ゴリラとのみであつた。
黄金おうごんの糸で四とうりゅうのぬいとりをしたすばらしくぜいたくなカーテンが、頭目台とうもくだいのうしろにれている。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ただ一つここで御披露ごひろうしてきたいとおもいますことは、神馬しんめけんで……。つまり不図ふとした動機どうきから小桜神社こざくらじんじゃ神馬しんめが一とうあらたにわれることになったのでございます。
とうの中將殿(重衡)も管絃くわんげんしらべこそたくみなれ、千軍萬馬の間に立ちて采配さいはいとらんうつはに非ず。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
さきにすゝむ大鮏、もし物にさはりてよこたふるゝ時は、あとにしたがひたる鮏もおなじくたふれてふたゝびおきず、人のとらふるをまつがごとし。はからずして手もぬらさず二三とうのさけをうる事あり。
すぐに英武のヘクトールとうよりかふを取りはづし
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
でも、ごろからほしいとおもったうしを一とうったといてありました。信吉しんきちは、こころなかで、いくたびも万歳ばんざいさけんだのであります。
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
するとベッドは、まるで六とうの馬にでもひかれているように、敷居しきいをこえ、階段かいだんをのぼったりおりたりして、ごろごろとうごきつづけました。
荒物屋あらものや軒下のきした薄暗うすくらところに、斑犬ぶちいぬが一とう、うしろむきに、ながびてたばかり、ことなくいたのは由井ゆゐはまである。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
時めくとうノ中将殿であるからだ。おそらくその唐突とうとつ出仕しゅっしに殿上でもまた同じような怪しみと静かな驚きの渦紋かもんがよび起されていたことであったろう。
熱田神宮四月八日の花のとう剪綵花つくりばなを飾ったらしく、張州府志など迄が、これを灌仏会かんぶつえの一種の式と断定しているが、それらしい証拠もないのみならず
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ひところなどは、牛小屋のどの区画くかくの中にも、牛が一とうずついましたし、いまはからっぽになっている牡牛おうし小屋にも、りっぱな牡牛がたくさんいたものでした。
牛の中には一とう牝牛めうし当歳仔とうさいこがまじって、これは後列へかくれていました。牛の群れは一列に戦線を張って角をふりたてたので、白おおかみ等もちょっと手がでません。
ひいさまが今回こんかい神社じんじゃにおはいりなされるにつけては、是非ぜひ神馬しんめが一とうしいとおもいまするが……。』
兼吉かねきち尿板にょうばんのうしろをとおろうとすると、一とうの牛がうしろへさがって立ってるので通れないから、ただ平手ひらてかるく牛のしりを打ったまでなのを、牛をだいじにする花前は
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
翌年の正月には男踏歌おとことうかがあった。殿上の若い役人の中で音楽のたしなみのある人は多かったが、その中でもすぐれた者としての選にはいって薫の侍従は右の歌手のとうになった。
源氏物語:46 竹河 (新字新仮名) / 紫式部(著)
かく英武のアキリュウスとうより光空に射る
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
すると、たちまち、無数むすうのおおかみが、どこからかれをなして、ゆきをけたってけてきました。子供こどもは、そのなかの一とうはやくもりました。
角笛吹く子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いよいよ、一同いちどうのものがりくにあがりますと、鳥のいったとおりのことがおこりました。キツネ色のりっぱな馬が一とう、まっしぐらにとんできました。
ヒイヽン! しつ、どうどうどうと背戸せどまわひづめおとえんひゞいて親仁おやぢは一とううま門前もんぜん引出ひきだした。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
お味方の熊野の湯河ゆかわ荘司しょうじが寝返ったので、南朝方はいちばい混乱を大きくし、天皇についていた四条隆資たかすけ、三条中納言、とうノ中将且忠かつただ、参議ノ実勝さねまさなど、みな途々
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふたりがここへうつってきたときには、ブタを一とうとニワトリを二っているだけでした。
とうの中将は恋のやっこになって幾通となく手紙を送ってきたようなこともなくなったのを正直だといって女房たちはおかしがっていたのであるが、父の大臣の使いになってたずねて来た。
源氏物語:30 藤袴 (新字新仮名) / 紫式部(著)
また苟且かりそめにも一つの神社じんじゃに一とう神馬しんめもないとあってはなんとなく引立ひきたちませんでナ……。
熱田の花のとうなどは、書物に由っては「花の堂」とも「花のとう」ともさまざまの字を当てているが、これを諏訪の花会はなえの古式に比べて見れば「花のとう」と書くことの正しいのが分る。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
地上に仰に倒れしめとうよりいづる右左
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
あるとしふゆには、三とうのくまがむらおそってきましたのを、おじいさんは一人ひとりめてしまったからでありました。
おおかみと人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それからしばらくして、お百姓さんはまた牝牛めうしを一とう買いました。お百姓さんはそいつをころして、さて、どのくらいになるだろうかと、むね計算けいさんをしてみました。
すると、一簾いちれんの蔭からさし招くものがあった。たれかとみれば、これも近ごろ勲功の臣として、内裏でも、また外でも、かくれない羽振りの人、千種ちぐさとうノ中将忠顕ただあきだった。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いはほ牡丹ぼたんいたゞきをどること、あゐしろ紺青こんじやうと三とう獅子ししるゝがごときをるとせよ。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また、かれは、ほかの場所ばしょへいって、一とうわかうしゆびさしながら、いくらおかね自分じぶんのつれてきたうしにつけたら、えてくれるかといていました。
百姓の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おじさんは、いい馬が一とうほしいのね。あたしについてらっしゃい、そうして、あたしのめしつかいになって、七年だけ、かげ日なたなく働きなさい、そうしたら、馬を
味方の目をしのんで、一さんに、ふもとへ走っていった小幡民部こばたみんぶとほかふたりは、やがて、夜のしらしら明けに、ふもと馬舎うまやから三とう駿馬しゅんめをよりだして、ヒラリと、それへまたがった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
左右さいう見渡みわたかぎ苜蓿うまごやし下臥したふは、南部馬なんぶうま牧場ぼくぢやうくに、時節じせつとて一とうこまもなく、くもかげのみそのまぼろしばして一そうさびしさをした……茫々ぼう/\たる牧場ぼくぢやうをやゝぎて、みちゑがところ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
召使めしつかいはそれをみんなことわって、ただ一とうの馬と、旅行りょこうのためのおかねとをおねがいしました。のなかを見物けんぶつして、しばらく世間せけんを歩きまわってみたいと思ったのです。
二人ふたりは、さびしい、あまりひととおらない田舎路いなかみちを、どこまでもまっすぐにあるいてゆきました。すると、あちらから、一人ひとりの百しょうが、二とうひつじいて、こちらにきかかりました。
角笛吹く子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
とくに兄の一条とう大夫たゆう行房は、隠岐配所おきはいしょにまでお供をして、始終、帝とあの一ト頃の艱苦を共にした侍者じしゃの一人でもあったから、還幸の後は、みかども、いちばい行房にはお目をかけられ
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朝になって目がさめたら、もう三日という日がたっていて、六とうだちの馬車ばしゃがやってきました。
あくる日、とう大臣おとどをはじめ、院中の公卿は、上皇に迫って、劾奏がいそうした。