“描”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
56.8%
えが27.5%
ゑが12.5%
かい0.8%
うつ0.6%
かき0.4%
ねこ0.2%
えがき0.2%
かか0.2%
0.2%
がき0.2%
0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
取り替えてきた扇は、桜色の薄様を三重に張ったもので、地の濃い所にかすんだ月がいてあって、下の流れにもその影が映してある。
源氏物語:08 花宴 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「何里先きだって、向うの方の空が一面に真赤になってるじゃないか」と碌さんはむこうをゆびさして大きな輪を指の先でえがいて見せる。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
僕の訳文はつたないのに違ひない。けれどもむかし Guys のゑがいた、優しい売笑婦の面影おもかげはありありと原文に見えるやうである。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
娘は、へやうちに閉じこもって、一心に蝋燭の絵をかいていました。しかし年より夫婦はそれを見ても、いじらしいとも哀れとも思わなかったのであります。
赤い蝋燭と人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それかの今日に存在する浄瑠璃じょうるり院本まるほんなるものは実に封建思想の産物にして実にその真相をうつし出だしたる明鏡なり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
のちになぞとはヾそのうちにぼくけて、小刀ないふられるからいや、どうぞ是非ぜひいますぐかきれよ、かみふで姉樣ねえさまのをりてべし、と箒木はヽきてヽすに、づおまちなされとあわたヾしく
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
根津ねず大観音だいかんのんに近く、金田夫人の家や二弦琴にげんきんの師匠や車宿や、ないし落雲館らくうんかん中学などと、いずれも『吾輩わがはいねこである』の編中でなじみ越しの家々の間に
僕の昔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
春章がしばらくの図はたちばなもん染抜きたる花道の揚幕あげまくうしろにしてだいなる素袍すおうの両袖さなが蝙蝠こうもりつばさひろげたるが如き『しばらく』を真正面よりえがきしものにて、余はその意匠の奇抜なるに一驚せり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
露ふくめる朝顔の鉢二つ三つ軒下に持出でて眼の醒むるばかりに咲揃いたる紅白瑠璃るりの花をうつつともなく見入れるさま、画にかかばやと思う図なり。
銀座の朝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
よくぞ男に生れたる、と云う陽気でもなく、虫を聞く時節でもなく、家は古いが、壁から生えたすすきも無し、絵でないから、一筆きの月のあしらいも見えぬ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
四方の壁には昔から此処ここで飲んだ幾多の漫画家の奇怪千ばんな席がきが縦横に貼られ、傷だらけの薄ぎたな荒木あらきの卓の幾つと粗末な麦藁の台の椅子の二十ばかりとが土間に散らばつて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
なかなかうまくえてありますねえ。だれが描えたんですかなあ? 海賊なんて奴あとても物識らずで描けめえとあっしは思いますがな。
メーテルリンクの「沈黙」は何だか怖ろしくて厭やですね、——そんなことを云ひながら、机の上の鏡台をのけて、私は彼女の眉をいた、注意深く。
測量船 (新字旧仮名) / 三好達治(著)