とう)” の例文
剃刀はありふれた床屋使ひの品、のところにとうを卷いて、ぎ減らしてありますが、なかなかよく切れさうです。
門口より見るに、土間の中央にとうを折りべて火を燃やし、大いなる鐵のなべりたり。その下に火を吹く童ありて、こなたへ振り向くを見ればピエトロなり。
盆前よりかけて暑さの時分をこれが時よと大汗になりての勉強せはしなく、そろへたるとうを天井から釣下げて、しばしの手数も省かんとて数のあがるを楽しみに脇目わきめもふらぬ様あはれなり。
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
花賣に扮したる娘は猶四五尺許なるとうの竿に蝋燭幾本か束ねたるを着けて高くかざせり。彼の紛※てふき結びたる竿のたけ足らで、我火をえ消さざるを見て、娘は嬉し氣に笑ひぬ。
盆前ぼんまへよりかけてあつさの時分じぶんをこれがときよと大汗おほあせになりての勉強べんきやうせはしなく、そろへたるとう天井てんぜうから釣下つりさげて、しばしの手數てすうはぶかんとてかずのあがるをたのしみに脇目わきめもふらぬさまあはれなり。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
水牛の群は河のかたに遠ざかりぬ。道には眠たげなる百姓あまた、とうの束積みたる車を、馬に引かせて行けり。あの車に沿ひゆかば、また水牛に襲はるとも身をかくすに便よからん。