“全”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
まった23.7%
まつた21.4%
まる21.4%
まっと12.5%
また5.0%
すべ4.7%
まつ1.7%
1.4%
すべて0.8%
マタ0.8%
まツた0.6%
まつたく0.6%
あら0.6%
0.6%
ぜん0.6%
まっ0.6%
まつたき0.6%
すっ0.3%
ちゃっ0.3%
てん0.3%
まったき0.3%
まったく0.3%
まっとう0.3%
みな0.3%
むく0.3%
マッタ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼は自分がまったく死にうせてしまわないようにと、自分の思想しそう一片いっぺんを自分の名もつけずに残しておくだけで、満足まんぞくしていたのである。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
日本にほん化物ばけもの貧弱ひんじやくなのにたいして、支那しなるとまつたことなる、支那しなはあのとほ尨大ぼうだいくにであつて、西にしには崑崙雪山こんろんせつざん諸峰しよぼう際涯はてしなくつらな
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
私共がまる共謀ぐるかなんぞになって居るように思われますので甚だ残念ですが、どうしてあの塔をあの高い窓から運び出したのでしょう
真珠塔の秘密 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
青年は不思議に命をまっとうしたばかりでなく、三十を越えても死なないで、無事に天寿を保った。この渡しは今でもうん州の瑞安ずいあんにある。
かくやもめとなりしを便たよりよしとや、ことばたくみていざなへども、一〇四玉とくだけてもかはらまたきにはならはじものをと、幾たびか辛苦からきめを忍びぬる。
まるで、泰西たいせい名画のみごとな版画をみているように、湿しめり気のない空気が、すべてのものを明るく、浮立うきたたせてみせてくれるのでした。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
まつたく、服装なり丈ぢやわからない世のなかになりましたからね。何処どこの紳士かと思ふと、どうもへんちきりんなうち這入はいつてますからね」と門野かどのはすぐあとを付けた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
父の様子にはるで、「そんなにおれのことが気になるならお前の口で話をまとめてみるがいいじゃないか。どうだ」
(新字新仮名) / 矢田津世子(著)
此樣なことといふものは、妙にはやく夫から夫へとパツとするものだ、それと聞いて、此の解剖を見るクラスの生徒のすべては、何んといふことは無く若い血を躍らせた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
この機みな マタくかへれよ。螢火の遠ぞく闇を うちまもり居り
鵠が音:02 島の消息 (新字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
あなやとおもふとさらに、もとのかほも、むねも、ちゝも、手足てあしまツた姿すがたとなつて、いつしづみつ、ぱツときざまれ、あツとまたあらはれる。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まつたく摸写のものならん。名識印章並になし。竪幅じゆふく二掛一対墨画十六羅漢明兆画とありて印なし。飛動気韻ありて且古香可掬きくすべし。殿司の真迹疑べからず。駅長の家烏山侯霞崖の書せる安穏二字をばうす。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
それも同じ言葉の繰り返しだけでは不充分だった、彼女は華岡医師に色々な質問をしてあらゆる方面から入り込もうとする死の予感を防ごうとした。
勝ずば (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
だが、段々部屋中を華やかに照らしだす日の光を眺めるとカテリイヌも、リサの送る娘も、ベッシェール夫人もべて、そんな事はどうでもよくなって来た。
巴里祭 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
彼はおおい軽蔑けいべつせる調子で「何、猫だ? 猫が聞いてあきれらあ。ぜんてえどこに住んでるんだ」随分傍若無人ぼうじゃくぶじんである。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
人の頭上に落ちてくるという事実をしたたむるのです、僕の身の上のごとき、まったくそれなので、ほとんど信ずからざるあやしい運命が僕をもてあそんでるのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
くだんの亀の化石、本草家の鑒定かんてい秦亀しんきならば一そうちんますべし。山にてほりたりとあれば秦亀しんきにちかきやうなり。化石といふものあまた見しに、多はちひさきものにてあるひはまたかたちまつたきまれなり。
聞き「成る程夫は面白いがう藻西太郎が白状して仕舞たよ、すっかり白状したから外に何の様な疑いが有ても自然に消滅する訳だ」
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
自分でちゃっかり佐々木はうまいものだ! にしてしまって、下手へたの横好きという俗諺ぞくげんの通りに、私は到頭、文章家として立とうと決心したのであった。
当時慶応の勢ひは実に素晴しいもので、好敵手と云へば、先づ一高に指を屈し次でアメチユアを数へる位なもの、早大などはてんで眼中に無い。随つて高を括つて直に申込を承諾した。
兼て不快の底意これあり候とも、働の節互に助け合い急を見継ぎ、勝利のまったきところをもっぱらに相働べきこと。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
彼の細君に対する基調は、まったくその解決一つでちゃんと定められなければならなかった。今よりずっと単純であった昔、彼は一図に細君の不可思議な挙動を、病のためとのみ信じ切っていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかし上宮太子の、憂悩のあまり祈念されたところは、後代において必ずしもまっとううされたとはいえない。更におおいなる悲痛の裡に、天武天皇は位を継ぎ、憂悩を深めたのである。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
「その星は何処どこにある?」「どの様な性質だ?」「何事の前兆か?」等問い合わせが続々とヒマラヤ山頂の天文台へ全世界から集まって、係員はみなで電信の中に埋められる様なありさまであった。
暗黒星 (新字新仮名) / シモン・ニューコム(著)
先生が地球が円いというけれど、乃公には何うもう思えない。教場に地球がある。是は全く円い。しかしあれむく空虚がらんどか分らないから、近日そのうちに穴を明けて見よう。乃公は空虚として置く。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
タダチニ斎藤某ニ通知シ死体ヲ一見セシメタルニマッタク其雇人ナルコト判明シタルノミナラス、他殺ニアラスシテ実ハ自殺ナル事ヲモ確定セラレヌ。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)