“空虚”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うつろ49.4%
から19.1%
くうきょ9.9%
くうきよ6.2%
からっぽ5.6%
からつぽ4.9%
からあき1.2%
うゐ0.6%
がらん0.6%
がらんど0.6%
がらんどう0.6%
むなしさ0.6%
ボヤラ0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
らうこゝろをつけて物事ものごとるに、さながらこひこゝろをうばゝれて空虚うつろなりひとごとく、お美尾みを美尾みをべばなにえとこたゆることばちからなさ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかしそれをたれてはなかつた。それでもかれ空虚から煙草入たばこいれはなすにしのびない心持こゝろもちがした。かれわづか小遣錢こづかひせんれて始終しじうこしにつけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ただいつまでも試合場しあいじょう中央ちゅうおうが大きな空虚くうきょになりッぱなしとなって、人ばかり右往左往うおうさおうしているので、さかんにガヤガヤもめている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
然しかれこの空虚くうきよな感じを、一つの経験として日常生活中に見出みいだした迄で、其原因をどうするの、うするのと云ふ気はあまりなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たとい軽薄とまで行かないでも、こういう巫山戯ふざけ空虚からっぽうな彼の態度は、今の叔母の生活気分とまるでかけ離れたものらしく見えた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その間に渠の頭脳は、表面うはつつらだけ益々苛立つて来て、底の底の方が段々空虚からつぽになつて来る様な気分になつた。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
... 引張ひっぱって来さっせい」お代「そうでもしなけりゃこの腹がえねいだ。和女おまえも一緒に来さっせい」と怒りのあまりに家の内を空虚からあきとなし
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
いづちやるも空虚うゐのみ
砂上の低唱 (新字旧仮名) / 漢那浪笛(著)
いよいよ空虚がらんとして荒れ寺などの如く、掃除もさのみは行屆かぬがちに、入用の無き間は雨戸を其まゝの日さへ多く、俗にくだきし河原の院も斯くやとばかり、夕がほの君ならねど
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
先生が地球が円いというけれど、乃公には何うもう思えない。教場に地球がある。是は全く円い。しかしあれむく空虚がらんどか分らないから、近日そのうちに穴を明けて見よう。乃公は空虚として置く。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
わたくし外套がいとうらして例の通り蒟蒻閻魔こんにゃくえんまを抜けて細い坂路さかみちあがってうちへ帰りました。Kの室は空虚がらんどうでしたけれども、火鉢には継ぎたての火が暖かそうに燃えていました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
歩いて行く先々さきざきにぷつんと杜切れる虫の音は、その突然の空虚むなしさで凡太の心をおびやかして、その激しい無音状態がむしろうるさく堪えがたい饒舌に思はれてくる
黒谷村 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
二歳ふたつ年齡としから十六歳じふろくになるまで何度見たか知れないこの海を、わたしは畢竟ウヂケデ空虚ボヤラと見て居たのだ。そこの表情には春、雪解けの野原で銀色の草の若芽モエを喰ふ牛のハダ柔和ヤヤシミがある。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)