“空洞”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うつろ62.7%
くうどう20.6%
うろ3.2%
ほらあな2.4%
がらんどう1.6%
ほら1.6%
カラッポ1.6%
からり0.8%
あな0.8%
うつほ0.8%
うつぼ0.8%
からっぽ0.8%
からどう0.8%
ウツロ0.8%
チューブ0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
空洞うつろな部屋々々に立ち籠めた重い澱みは人の生気とそぐはない廃墟のやうな過去の死臭に満ちてゐて、睡むる気持にはなれなかつた。
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
差し当たり日常の家庭にできた空洞くうどうは、どこにも捻くれたところのない葉子が一枚加わっただけでも、相当紛らされるはずであった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
年を経た松やひのきや杉、梧桐や柏の喬木が、萩や満天星どうだんはぜなどの、灌木類とうちまじり、苔むした岩や空洞うろとなった腐木くちきが、それの間に点綴てんてつされ、そういうおそろしい光景を
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鼻が根元から綺麗に×がれて、水に洗われて大きな空洞ほらあなが開いていた。
双面獣 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
自分の頭の中の空洞がらんどうをジッと凝視していると、私の霊魂たましいは、いつの間にか小さく小さく縮こまって来て、無限の空虚の中を、当てもなくさまよいまわる微生物アトムのように思われて来る。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
お絹が想像した通り洞然たる空洞ほらである。しかも人工を加えたもの、燈火をかかげて見廻したなら、空洞の壁に下に通う、階段のあることを知ることが出来よう。短時日に作ったものではない。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
真昼時まひるどきの、静かな蔭に泌みた部屋に、汚ない服装みなりをした此の婦人が白痴のやうに空洞カラッポな顔をして、グッタリ窓に凭れてゐる様を、私は稀に見ることがあつた。
かれなにかにだまされたあとのやうに空洞からりとした周圍しうゐをぐるりと見廻みまはさないわけにはいかなかつた。かれ沿岸えんがん洪水後こうずゐじ變化へんくわ驚愕おどろきみはつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ステッキの空洞あなの中へ、宝石類を入れながら
探偵戯曲 仮面の男 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
つむりを編笠が抱えた、手も胸も、面影も、しろしろと、あの、舞台のお稲そのままに見えたが、ただ既に空洞うつほへ入って、底から足をくものがあろう、美しいひとは、半身を上に曲げて
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
朽ちかけた山門、空洞うつぼのある欅の大樹、苔むした永代常夜燈、その頂きの傘に附してあるシャチも捥ぎとられたり欠けたりしていた。
茶粥の記 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
死んでいるのかをためさんとする如く、つくねんとたたずんでうかがっている、天地皆死んだとき、宇宙は星の外に皆吹き払われて、空洞からっぽになってしまったとき、自分の眼は冴え冴えしくなり
奥常念岳の絶巓に立つ記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
カランと堂の中でひびいたのは、木桟もくさん繩梯子なわばしごでも空洞からどうろしたような木の音です。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
腐りたる杭の空洞ウツロに萌ゆる草
松本たかし句集 (新字旧仮名) / 松本たかし(著)
それで厚さ二インチか三インチの熔岩の殻だけが残って、内部は空洞チューブになる。チューブとはいうが、立って悠々と歩けるくらいのものが珍しくなく、もっと大きいものもある。
黒い月の世界 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)