“むく”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ムク
語句割合
42.8%
無垢27.3%
16.3%
5.6%
浮腫2.1%
1.3%
0.6%
0.6%
0.4%
0.4%
0.4%
0.2%
0.2%
復讐0.2%
木工0.2%
椋鳥0.2%
水腫0.2%
白垢0.2%
純金0.2%
腫起0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
返報0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
飛んでもない悪戯者いたずらものへ、あらゆる方法で捕獲の手が試みられた。だが、彼はそれに対してトンボや綱渡りをむくいて見せるだけだった。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
即ち、かの政治社会は潔清けっせい無垢むくにして、一点の汚痕おこんとどめざるものというべし。くありてこそ一国の政治社会とも名づくべけれ。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
よろこばるゝといへどもおや因果いんぐわむく片輪かたわむすめ見世物みせものの如くよろこばるゝのいひにあらねば、決して/\心配しんぱいすべきにあらす。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
御城の杉の梢は丁度この絵と同じようなさびた色をして、おほりの石崖の上には葉をふるうたむくの大木が、枯菰かれこもの中のつめたい水に影を落している。
森の絵 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「こんなに瘠せてゐるやうで、これでやつぱし浮腫むくんでゐるんだよ」と、父は流し場で向脛を指で押して見せたりした。
蠢く者 (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
膝頭やくるぶしが分らないほどむくんでいた。彼女はそれを畳の上で折りまげてみた。すると、膝頭の肉がかすかにバリバリと音をたてた。それはイヤな音だった。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
甥に脚気の出たとき、笹村はお銀にいいつけて、小豆あずきなどを煮させ、医者の薬も飲ませたが、脚がだんだんむくむばかりであった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
さつきから肚の中で少しむくれてゐた、この年つ喰ひの惡戲者は、三度目の明りは磨るが早いか、すつかり燃え切らないうちに、さつさと放り捨ててしまつたので、燃殼の床にけし飛んだのを
西大寺の伎芸天女 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
実はあの会議が済んだあとで、よっぽど仲直りをしようかと思って、一こと二こと話しかけてみたが、野郎やろう返事もしないで、まだむくってみせたから、こっちも腹が立ってそのままにしておいた。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「わたしは自然によらなければ書かない。わたしは生きたむく犬の背中でペンを拭ふ」
家内がまた、えらくむくれるからなあ、まったく。おれは彼女あれ定期市いちの話をしなくちゃならないのさ。いや、兄弟、こうしちゃあいられないよ、彼女あれを悦ばせにゃならないからな。
先生が地球が円いというけれど、乃公には何うもう思えない。教場に地球がある。是は全く円い。しかしあれむく空虚がらんどか分らないから、近日そのうちに穴を明けて見よう。乃公は空虚として置く。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
我もし汝に一の眞理を示すをえば、汝は汝のたづぬる事に顏をむくること今背をむくる如くなるべし 九四—九六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そしてこの耳を噛んだ対手あいての犬に復讐むくいなければならなかった。
幼年時代 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
雅定は俊頼に向っていった、「木工むくこうの殿はあの声をお聞きですか」。すると俊頼はすぐ、「思いもかけぬ春鳴けばといった趣でございますな」と答えた。これは『後拾遺集』春下に
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
「そんなら椋鳥むくですやろうかい」
のんきな患者 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
烏の群から怪しいと見た藤吉が、鎧の渡しへ彦兵衛をやって一番多く烏の下りている小舟の下を突かせると、果して締殺された女隠居の屍体が水腫むくみ返って浮んで来た。
が、似た事のありますものです——その時は小狗こいぬでした。鈴がついておりましたっけ。白垢むく真白まっしろなのが、ころころと仰向あおむけに手をじゃれながら足許あしもとを転がってきます。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たゞこしらつき貳尺四寸無名物むめいものふち赤銅しやくどうつるほりかしらつの目貫りよう純金むくつば瓢箪へうたんすかぼりさや黒塗くろぬりこじりぎん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
標札を見れば此家ここに違いないから、くぐりを開けて中に入ると、直ぐもう其処が格子戸作りの上り口で、三度四度案内を乞うてやっと出て来たのを見れば、顔や手足の腫起むくんだような若い女で
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
と、お杉とお紺の手をとつて、丘の上の子供達はむくつてくれました。椋鳥もうれしさうに
仲のわるい姉妹 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
知遇にむくゐん為には何物をも犠牲に供し得る人なり、彼なんぞ容易に父母の邦を棄得んや、容易に天下の浪士となり得んや
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
その一は「南谷君晩香園招飲之韻ニむくユ。」と題する五言古詩。その一は「南谷滝川君六十寿詩。」〔南谷滝川君六十ノ寿詩〕となす七律である。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
なれは我等に返報むくゆなり、おゝ汝、悪意なき夜よ。