“ふく”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:フク
語句割合
31.4%
20.0%
12.3%
7.7%
5.7%
5.0%
4.9%
2.5%
2.3%
1.5%
1.0%
0.9%
0.8%
0.4%
0.4%
正服0.3%
洋服0.3%
膨脹0.3%
0.3%
0.1%
0.1%
不垢0.1%
制服0.1%
0.1%
官服0.1%
0.1%
概括0.1%
0.1%
河豚0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一匁一円二十銭だから水につけるとぐっとふくれるからそれほど高いものでもないが、やはり、この種の美味の範疇はんちゅうに属するといえる。
美味放談 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
しかしてこの人なることばはあるいは高尚こうしょうな意味に用いることもあれば、またすこぶる野卑やひなる意味をふくませることもある。たとえば
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
石橋を渡る駄馬の蹄の音もした。そして、満腹の雀はたるんだ電線の上で、無用なさえずりを続けながらも尚おいよいよふくれて落ちついた。
南北 (新字新仮名) / 横光利一(著)
コスマは、赤茶あかちゃけたふくをつけて、古いマンドリンをかかえていました。そして広場の中には、うすいむしろがしいてあるきりでした。
活人形 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
しんり、しずみ、星斗と相語り、地形と相抱擁あいほうようしてむところを知らず。一杯をつくして日天子にってんしを迎え、二杯をふくんで月天子げってんしを顧みる。
狂人は笑う (新字新仮名) / 夢野久作(著)
日比野の家の、何か物事をふくんで控え目に暮している空気がお涌にはなつかしまれた。それには豪華を消しているうすら冷たい感じがあった。
蝙蝠 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
雲林筆うんりんひつとなへる物は、文華殿ぶんくわでんにも三四ふくあつた。しかしその画帖の中の、雄剄ゆうけいな松の図に比べれば、はるかに画品の低いものである。
支那の画 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
不意に陽がかげって頭の上へおおいをせられたような気がするので、なんふくっているろばから落ちないように注意しながら空を見た。
竇氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
われく、むかし呉道子ごだうし地獄變相ぢごくへんさうつくる。成都せいとひと一度ひとたびこれるやこと/″\戰寒せんかんしてつみおそれ、ふくしうせざるなく、ために牛肉ぎうにくれず、うをかわく。
聞きたるまゝ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
も勤れば決斷には如才有まじそれひとの命の重き事は申さずとも承知ならん然ばよく/\吟味に念をいれ囚人めしうど九助が罪を訊糺とひたゞし罪にふくせざる中はこれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
笹村は見向きもしなかったが、乳房をふくませているお銀の様子には、前の時よりも母親らしい優しみが加わって来た。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ところが、一週間と経たないうちに、お尻の所がいちように青くふくれ出して、腐れ出して、とうとう三羽とも可哀相にころりと倒れてしまった。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
〔評〕幕府勤王の士をとらふ。南洲及び伊地知正治いぢちまさはる海江田武治かいえだたけはる等尤も其の指目しもくする所となる。僧月照げつせう嘗て近衞公の密命みつめいふくみて水戸に至る、幕吏之をもとむること急なり。
さかだてたるは木葉このはに風のふくごとし
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
まつりの田町たまちあねのもとへ使つかひを吩附いひつけられて、ふくるまで我家わがやかへらざりければ、ふでやのさわぎはゆめにもらず、明日あすりて丑松うしまつ文次ぶんじそのほかくちよりこれ/\でつたとつたへらるゝに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そうおっしゃれば、あの掏られた、と言いなさる洋服ふくを着た方も、おかしな御仁でござりますよ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
顔色青き白雲天窓しらくもあたま膨脹ふくだみて、えりは肩に滅入込めいりこみ、手足は芋殻いもがらのごとき七八歳ななつやつの餓鬼を連れたり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そしてふくになつたみちを一つ一つ越えて
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
『……甘いこと云うな。ふくをば喰いらんような奴は、博多の町では育ち能らんぞ。今から慣らしておかにゃ、詰まらんぞ。中毒あたって死ぬなら今のうちじゃないか』
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そげな調子で、いつから喰い初めたか判然わかりませんが、ふくでは随分、無茶をやりました。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
毎晩これでしっかりとふくらっぱぎをしめつけて寝ると、きっちり三十日で天使のような足にすることができると書いてある。
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ふくらっ脛へ靴の先が飛んできた。どっこい、そこはだいこんだ。たいして感じない。前よりすごいのをお返しする。
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
如実にょじつに、一切を心の眼でみるならば、一切の万物は、不生にして、不滅であり、不垢ふくにして、不浄であり、不増にして不滅だというのであります。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
海軍の将卒が折々やると云う驟雨浴しゅううよく「総員入浴用意!」の一令で、手早く制服ふくをぬぎすて、石鹸しゃぼんとタオルを両手につかんで、真黒の健児共がずらり甲板に列んだ処は、面白い見ものであろう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その胆一粟を口にふくめば、拷椋ごうりゃく百数といえどもついに死せず、ただし性大寒にして能く陽道を萎せしめ人をして子なからしむ〉。
官服ふくはもちろん懐中の金も一文も盗まれてはいなかった。そして屍骸の死に顔には「おどろき」の表情はあったけれども「無念」の表情は少しもない。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
成程彼の言う通り、殆ど崖の縁近く凡そ六坪位いの地面が、其処許そこばかりは芝草に覆われないで、潮風に湿気をふくんだ黒っぽい砂地を現わしていた。
花束の虫 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
世間の女のそうした罪をことごとく憎んで、あらゆる誇りも歓びも尊敬もすべて『母親』ということばのうちに概括ふくめていた彼れジャンは、この家で養育されたにも拘らず
(新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
さすが、先生だけにお察しは早えが、なによりわっしが知りてえのは、おふくろのことなんですよ。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
あたかも、いつか、河豚ふくに酔って帰ったときのように、半ば正気をうしなっているらしい。浄瑠璃の肩衣は脱いでいるが、袴はつけている。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
両軍相争い、一進一退す、喊声かんせい天に震い 飛矢ひし雨の如し。王の馬、三たびきずこうむり、三たび之をう。王く射る。射るところの、三ふく皆尽く。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
何んしろ、暇だからのう、下々しもじも様のように何処どこ此処ここと、のたくり、ほっつける訳じゃあなしさ——今だって、七人か、八人かの御子様だろう。それが、四ふくか、五腹さ。
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
二つの孔から取り出して来たものを、一つの孔に押し返した所で、そんな事位でふくれつつらをする鼻でもなかつた。
やねふきが我屋ねふくや夏の月 夕兆
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
また『和名抄』にじゃ和名わみょう倍美へみふく和名わみょう波美はみとあれば蛇類の最も古い総称がミで、宣長の説にツチは尊称だそうだから、ミヅチは蛇の主の義ちょうど支那でうわばみを王蛇と呼ぶ(『爾雅』)と同例だろう。
赤子はせるし、おふくらはじける。
夫人。おん身はまことに世辭せじき人なり。我姿はいつもの通りなり。衣はゆるく包みしふくの如し。否々、面を赤うし給ふことかは。おん身も年若き男達の癖をばえ逃れ給はずと思はる。
白酒の酔いにほんのりと色ざした、眼元、口元、ふくよかな頬にまで花のあざやかさを見せたる、やがての春も偲ばるるものである。
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
ほとんかんふくめぬばかり諄々じゅん/\説諭ときさとすに罪人は心の中に得も云えぬ苦しみを感じせんかかく答えんかと独り胸の中に闘いて言葉には得出えいださぬ如く
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)