“判然”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
はっきり64.0%
はつきり14.0%
わか6.5%
はんぜん6.5%
はっき2.2%
きっぱり1.4%
はき1.1%
わから1.1%
はきはき0.7%
はツきり0.7%
はつき0.4%
ちゃん0.4%
あらは0.4%
きつぱり0.4%
さつぱり0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ゴウという凄じい音の時には、それに消圧けおされて聞えぬが、スウという溜息のような音になると、其が判然はっきりと手に取るように聞える。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
此女このをんなくにかられてたのではない、江戸えどつたをんなか知れない、それは判然はつきりわからないが、なにしろ薄情はくじやうをんなだから亭主ていしゆおもてき出す。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
くわしい事は判然わかりませんが、その遊神湖という湖の周囲には、歴史以前に崑崙国といって、素敵に文化の進んだ一つの王国があったそうです。
狂人は笑う (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その時この長蔵さんは、誰を見ても手頃な若いしゅとさえ鑑定すれば、働く気はないかねと持ち掛ける男だと云う事を判然はんぜんさとった。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
……それから私は何をしたか判然はっきり自分でも覚えていない。とにかく私はダンチョンと一緒に土人に追われながら逃げていた。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
肉はひからび、皮しなびて見るかげもないが、手、胸などの巌乗がんじょうさ、渋色しぶいろ亀裂ひびが入つて下塗したぬりうるしで固めたやう、だ/\目立つのは鼻筋の判然きっぱりと通つて居る顔備かおぞなえと。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
二百十日の風と雨と煙りは満目まんもくの草をうずめ尽くして、一丁先はなびく姿さえ、判然はきと見えぬようになった。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ことに又ぞろ母からの無理な申込で頭を痛めたせいか、その夜は寝ぐるしく、怪しい夢ばかり見て我ながら眠っているのか、覚めているのか判然わからぬ位であった。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
男のように判然はきはきしたところのある奥さんは、普通の女と違ってこんな場合には大変心持よく話のできる人でした。「ござんす、差し上げましょう」といいました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『あァわかつた佛蘭西フランスねずみだわ、ウィリアムだいせいと一しよた』(歴史れきしならつたけれどもあいちやんは、なに何年位なんねんぐらゐまへおこつたこと判然はツきりりませんでした)そこまたあいちやんがふには
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
自分自身にも判然はつきりと云ひ聞かせるつもりで、富岡との思ひ出ばかりに引きずられてゐてはならないと思つた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
「痛いよ。だッて、お前さん。角川の若旦那には判然ちゃんとお嫁さんがきまってると云うじゃアないか。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
善惡ぜんあく邪正じやしやう判然あらはるゝとき至れるかなころは享保四年の二月に時の町奉行大岡越前守忠相殿住吉町吉兵衞のねがひ出し一件ちく聞糺きゝたゞされ老中方へ申立られかゝり役人評議ひやうぎの上右關係の者共評定所へ呼び出され吟味あるべしと定まり尤も此度は最初さいしよより見込みこみの儀もこれあるに付當日の吟味は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いちは、ちゝ暴怒ぼうどに対する自己の反動を、心理的に利用して、判然きつぱりことわらうと云ふ下心したごゝろさへあつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
委細ゐさいに聞て其場へ立出樣々さま/″\いさかせし末畢竟ひつきやう花街くるわの小夜衣とか云娼妓おいらんも長庵とは伯父をぢめひとかの中成なれば一ツあなむじなならん然すれば勿々油斷ゆだんなら旁々かた/″\以て小夜衣が事は判然さつぱり思ひきり再度ふたゝびくるわゆかれぬ樣此久八が願ひなりとなほ眞實しんじつ委曲こま/″\との意見いけん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)