“ふか”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:フカ
語句割合
55.8%
13.3%
孵化5.4%
4.4%
2.9%
2.5%
2.1%
富家1.9%
1.9%
不可1.5%
府下1.4%
1.4%
賦課1.0%
浮華1.0%
沙魚0.4%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
孚化0.2%
0.2%
0.2%
幽深0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
けばくほど山がふかくなって、もうどこをどうあるいているのか、まるでらない山の中のみちを、心細こころぼそくたどって行くばかりでした。
山姥の話 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
眼のすごい、口がおなかの辺についた、途方もない大きなふかが、矢のように追いかけてきて、そこいらの水を大風おおかぜのように動かします。
椰子蟹 (新字新仮名) / 宮原晃一郎(著)
やがて一王朝たらしめんと静かに孵化ふかされつつあったその一家は、あらゆるものを恐れ、静安を乱されることを欲しなかった。
こっちの仲働きは内儀さんからこう言い渡されたとき、奥から下って来ると厭な顔をして、黙って火鉢の傍で莨ばかりふかしていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
二階には畳が敷いてあった。正月の寒い晩、歌留多カルタに招かれた彼は、そのうちの一間で暖たかい宵を笑い声のうちふかした記憶もあった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
平次は相變らず赤蜻蛉あかとんぼの亂れ飛ぶのを眺め乍ら、鐵拐仙人てつかいせんにんのやうに粉煙草の煙を不精らしくふかすのでした。女房のお靜は、貧しい夕食の仕度に忙しく、乾物ひものを燒く臭ひが軒に籠ります。
年頃としごろめで玉ひたる梅にさへ別れををしみたまひて「東風こちふかば匂ひをこせよ梅の花あるじなしとて春なわすれぞ」此梅つくしへとびたる事は挙世よのひとの知る処なり。
富家ふかにありてはただ無知盲昧もうまい婢僕ひぼくに接し、驕奢きょうしゃ傲慢ごうまんふうならい、貧家にありては頑童がんどう黠児かつじに交り、拙劣せつれつ汚行おこうを学び、終日なすところ、ことごとく有害無益のことのみ。
教育談 (新字新仮名) / 箕作秋坪(著)
迷路ラビユリントスの最もふかき處に一軒の稍〻大なる家ありて、火の光よそよりも明かに、人多く入りゆくさまなり。こはヱネチアの數多き小芝居の一にして、座の名をばサンルカスと云へりとぞ。
爾後じご病牀寧日ねいじつ少く自ら筆を取らざる事数月いまだ前約を果さざるに、この事世に誤り伝へられ鉄幹子規不可ふか並称へいしょうの説を以て尊卑そんぴ軽重けいちょうると為すに至る。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
そのうちにも、病人びやうにん容態ようたいは、刻々こく/\險惡けんあくになつてゆくので、たうとう、そこからあまとほくない、府下ふか××むらのH病院びやうゐん入院にふゐんさせるより仕方しかたがなくなつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
いけないと云っても中々かないで逆上のぼせ切ってるのサ、芸者を引きたければはなやかにして箱屋には総羽織そうばおりを出し、赤飯をふかしてやる
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
耕作人は少く新に税が賦課ふかされる時代で東京近在の田畑の中には酒一升つけて無価で貰ってもらうというところさえ出来た頃のことだから弥太郎のこの算段は骨が折れた。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
またソクラテスの言ったことや為したことが、当時の淫蕩いんとう浮華ふかなる風俗の進歩をさえぎったから、彼は青年を毒するものなりと呼ばれて死刑に処せられたのである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
浮気な沙魚ふかめにや逃げられる
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
先づ衣桁いこうに在りける褞袍どてらかつぎ、夕冷ゆふびえの火もこひしく引寄せてたばこふかしゐれば、天地しづか石走いはばしる水の響、こずゑを渡る風の声、颯々淙々さつさつそうそうと鳴りて、幽なること太古の如し。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この時安さんは、煙草を二三ぶくふかして、煙管きせるつつへ入れかけていたが、自分の顔をひょいと見て
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
新橋停車場しんばしステエションの大時計は四時をすぐること二分、東海道行の列車は既に客車のとびらして、機関車にけふりふかせつつ、三十余輛よりようつらねて蜿蜒えんえんとしてよこたはりたるが、真承まうけの秋の日影に夕栄ゆふばえして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
さびしさはふかのふかみに
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
徳川氏以後世運のやうやく熟し来りたるを以て、こゝに漸く、多数の預言者を得て孚化ふかしたる彼等の思想は、漸く一種の趣味を発育し来れり。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
かれ其地そこに名づけて、懸木さがりきといひしを、今は相樂さがらかといふ。また弟國おとくにに到りし時に、遂にふかき淵に墮ちて、死にき。かれ其地そこに名づけて、墮國おちくにといひしを、今は弟國といふなり。
「K君、ふかい谷だね。」と私は筋違に向ひ合つて居る友達の方を見て言出した。「景色が好いなんていふところを通越して、可畏おそろしいやうな谷だね。」
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
こんもりと茂った桜の樹蔭は何処どこでもそれを自分等のものとして好き勝手に歩き廻ることが出来る。紅味をもった幹と幹の間を通じて更に奥の幽深ふかい木立がある。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
観海寺から八まん地獄の方へ行つて見ても好いし、金輪かなわから亀川の方へ行つて見ても好かつた。更に半日を費せば、宇佐八まんにお詣りすることも出来た。耶馬渓やばけいの谷ふかく入つて行くことも出来た。
女の温泉 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
重加しかのみにあらず智の海は浩汗として、ふかく上古を探り、心の鏡は煒煌として、あきらかに先の代を覩たまふ。
殊に三名引山のあたりは峰頭が幾多の岩骨を剥き出して、尾根が柘榴ざくろの如く壊裂している。猿飛附近であろう、と所黒部川がふかい底から白い眼で此方を睨み上げていた。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
呉山ござん ふかくしてしこうして深し
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
旅なれや菖蒲しょうぶふかず笠の軒 鶴声
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
たはぶれの調子にて)餘りに讚めちぎり給ふな。我等が渠の机に對ひて數學理學に思をふかむるを期せし時、渠は拿破里ナポリの女優に懸想してうはの空なりしなり。ジエンナロ。そは多情多恨なるあかしなるべし。
自分はいつも汽車の中に安坐しながら、此の國を通過するのであるが、西から木津川の溪谷を溯つて來るのもいゝし、東から鈴鹿山脈を横斷して南畫めいた溪山の間を入つて來るのも興がふかい。
伊賀国 (旧字旧仮名) / 近松秋江(著)
またふか類にもその形竜蛇に似たるが多く、これも海中に竜ありてふ信念を増し進めた事疑いなし、梵名マカラ、内典に摩竭魚と訳す