“蜿蜒”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
えんえん82.2%
ゑんえん4.4%
うねうね3.3%
えん/\2.2%
うね2.2%
うねく1.1%
うねり1.1%
のた1.1%
のたくっ1.1%
のたる1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
削り落しやすい火山岩であるとはいえ、川を圧して聳え立つ蜿蜒えんえんたる大絶壁を、市九郎は、己一人の力で掘貫こうとするのであった。
恩讐の彼方に (新字新仮名) / 菊池寛(著)
からかひ半分にやつてゐるやうにさへ思へたものだ——進駐軍が蜿蜒ゑんえん幾十台ものトラックで米大使館の周辺に乗りつけるやトラックから一斉に飛び降りた兵隊らが
老残 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
唐橋を渡って、行列は城門へ蜿蜒うねうねと隠れて行く。——日吉は、生れて初めての、橋を越え、門をくぐった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水流をわたるのまされるに如かず、され共渉水亦困難こんなんにして水中石礫せきれき累々るゐ/\之をめば滑落せざることほとんどまれなり、衆皆石間せきかんあしき入れてあゆむ、河は山角を沿ふてはなはだしく蜿蜒えん/\屈曲くつきよく
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
娘でかも気の弱い女などの中には、いつか自分でこの噂から自己催眠にかゝつて、身体を蛇体のように蜿蜒うねらせ、「小沼へ帰り度い」と叫び出して
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ぜんを引かせて、叔母の新らしくれて来た茶をがぶがぶ飲み始めた叔父は、お延の心にこんなったわだかまりが蜿蜒うねくっていようと思うはずがなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あおい無限の海原うなばらが自分を吸い込もうとして蜿蜒うねりをうっている、それがまず目に浮かぶのであった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
汽車のふえの音を形容して喘息ぜんそくみのくじらのようだと云った仏蘭西フランスの小説家があるが、なるほどうまい言葉だと思う間もなく、長蛇のごとく蜿蜒のたくって来た列車は
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ごうと音がして、白く光る鉄路の上を、文明の長蛇ちょうだ蜿蜒のたくって来る。文明の長蛇は口から黒い煙を吐く。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もだくるしみ、泣き叫びて、死なれぬごふなげきけるが、漸次しだいせいき、こん疲れて、気の遠くなり行くにぞ、かれが最も忌嫌いみきらへるへび蜿蜒のたるも知らざりしは、せめてもの僥倖げうかうなり
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)