“轟”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とどろ65.6%
ごう11.3%
とゞろ9.8%
とどろき7.0%
ぐわう1.6%
がう1.2%
とゞろき0.8%
とどろか0.8%
うご0.4%
とゞ0.4%
とヾろ0.4%
0.4%
ひび0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
電信柱のごうごうと云ううなりも蓮沼のカサカサと云う音も聞えなくなって、ただ海のとどろきばかりがいまだに地響きをさせて鳴っている。
母を恋うる記 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
へんはここだけでなく、下の仁王堂、二ノ丸やぐら、諸所の木戸や仮屋からも黒煙を噴いて、山じゅうがごうッと火唸ひうなりしていたのであった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こゝに信州しんしう六文錢ろくもんせん世々よゝ英勇えいゆういへなることひとところなり。はじめ武田家たけだけ旗下きかとして武名ぶめい遠近ゑんきんとゞろきしが、勝頼かつより滅亡めつばうのちとし徳川氏とくがはし歸順きじゆんしつ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
機械きかいとどろき勞働者ろうどうしや鼻唄はなうた工場こうばまへ通行つうかうするたびに、何時いつも耳にする響と聲だ。けつしておどろくこともなければ、不思議ふしぎとするにもらぬ。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
裏の林は鳴つて、枝と枝との触れる音、葉と葉とのすれる音が一つにかたまつてぐわうと言ふ音を立てた。空は墨を流したやうに暗かつた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
がうと響く遠音とほねとゝもに、汽車が北から南へ走るのが、薄絹をいて手遊品おもちやの如く見えた。其の煙突からは煙とゝもに赤く火をき出した。やみやぢり/\と石段を登つて來さうであつた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
其處には良い男のやくざ者とゞろき三次が、腰繩をうたれて、入舟町の佐太郎に見張られて居ります。轟の三次は二十五六の苦味走つた好い男でした。
その時男の声音こわねは全く聞えずして、唯ひとり女のほしいままに泣音なくねもらすのみなる。寤めたる貫一はいやが上に寤めて、自らゆゑを知らざる胸をとどろかせり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
見る見る羅物うすものを染め、幔幕まんまくを染め、床をひたして、その中に倒れたマネキンの肉体は、最後の苦悶にうごめきます。
悪魔の顔 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
風雨にはかに到り、迅雷忽ちとゞろく光景は心界の奇幻、之を見て直ちに繩墨の則を当て、是非の判別を下さんとするは、あに達士の為すところならんや。
ところでね、蚊帳かやの中には寝床が三つよりない、ひかるしげると、それから女の子が一人より居ません。亡霊の胸はとヾろきます。どうしても三つよりない。しかも一つの寝床には確かに一人づヽより寝て居ません。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ッ——と一わたり、小夜嵐さよあらし屋棟むねを鳴らして過ぎる。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
胸は山のくずれるような音をしてひびきましたけれども、お浜のかおには一種の気味のよいような笑いがほのめいて、じっと眼を行燈あんどんの光につけたまま失神のていで坐っている。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)