“ひび”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヒビ
語句割合
響35.7%
罅26.0%
亀裂13.4%
皸5.9%
皹4.8%
日々3.3%
裂罅2.2%
日1.1%
日日1.1%
胼1.1%
披靡0.7%
疼0.7%
罅裂0.7%
海朶0.4%
裂隙0.4%
劈痕0.4%
反響0.4%
日常0.4%
轟0.4%
韻0.4%
龜裂0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
モーターの、うなる音(おと)がきこえました。たくさんの職工(しょっこう)が、働(はたら)いていました。鉄(てつ)と鉄(てつ)の打(う)ち合(あ)う音(おと)が、周囲(しゅうい)に響(ひび)きかえっていました。
僕が大きくなるまで (新字新仮名) / 小川未明(著)
水銀に罅(ひび)の入った古い掛鏡が、流しの横の柱に懸っていた。田舎へ来てから、伸子は毎朝顔を洗う時、気をつけてその鏡を覗いた。
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ある冬の日の暮、保吉(やすきち)は薄汚(うすぎたな)いレストランの二階に脂臭(あぶらくさ)い焼パンを齧(かじ)っていた。彼のテエブルの前にあるのは亀裂(ひび)の入った白壁(しらかべ)だった。
保吉の手帳から (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
透きまもなく繁りあった雑木のなかに皸(ひび)だらけの獰猛な腕をひろげた栗の木の姿はあっぱれ武者ぶりではあるがかんじんの栗は一つもない。
島守 (新字新仮名) / 中勘助(著)
この時、庭の方から、轍(わだち)でも軋(きし)るような、キリキリという音が、深夜の静寂(しじま)に皹(ひび)でも入れるかのように聞こえて来た。武士たちは顔を見合わせた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
さて、寒(さむ)さは日々(ひび)にひどくなって来(き)ました。子家鴨(こあひる)は水(みず)が凍(こお)ってしまわない様(よう)にと、しょっちゅう、その上(うえ)を泳(およ)ぎ廻(まわ)っていなければなりませんでした。
たうとう薄い鋼の空に、ピチリと裂罅(ひび)がはひつて、まつ二つに開き、その裂け目から、あやしい長い腕がたくさんぶら下つて、烏(からす)を握(つか)んで空の天井の向ふ側へ持つて行かうとします。
烏の北斗七星 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
術(てだて)を尽くして防ぎ止めんとせしかいもなく、目には見えねど浪子の病は日(ひび)に募りて、三月の初旬(はじめ)には、疑うべくもあらぬ肺結核の初期に入りぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
ああ天下の事日日(ひび)に非なりだ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
寒風に吹き晒(さら)されて、両手に胼(ひび)を切らせて、紙鳶に日を暮した二十年前(ぜん)の小児は、随分乱暴であったかも知れないが、襟巻(えりまき)をして、帽子を被って、マントに包(くる)まって懐手(ふところで)をして
思い出草 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
〔評〕兵數は孰(いづ)れか衆(おほ)き、器械(きかい)は孰れか精(せい)なる、糧食(りやうしよく)は孰れか積(つ)める、この數者を以て之を較(くら)べば、薩長(さつちやう)の兵は固より幕府に及ばざるなり。然り而して伏見(ふしみ)の一戰、東兵披靡(ひび)するものは何ぞや。
この薑(はじかみ)、口疼(ひび)く
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「灰色の靴下を穿(は)いた秋」が、わたしの精神の罅裂(ひび)の隙き間から、潜(もぐ)りこんでくる。
雪 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
こもりゐて誰(た)が嚏(はなひり)ぞ海朶(ひび)の間も海苔の香立ちて寒からしあはれ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
蜑の子は百(もも)の千鳥か頬のかぶりひかり移らひ海朶(ひび)の間にをる
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
常に新陳代謝してゐる。其の間に一分間だつて間隙を現すことは無いよ。君の言ふ裂隙(ひび)なんて、何處を見たつて見えないぢやないか!
我等の一団と彼 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
舊道徳に裂隙(ひび)が割れたから、其の裂隙から自然主義といふ樣なものも芽を出して來たんだ、何故其の裂隙が出來たかといふと、つまり先祖の建てた家が、我々の代になつて玄關の構へだの
我等の一団と彼 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
自分の世界が二つに割れて、割れた世界が各自(てんで)に働き出すと苦しい矛盾が起る。多くの小説はこの矛盾を得意に描(えが)く。小夜子の世界は新橋の停車場(ステーション)へぶつかった時、劈痕(ひび)が入った。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と、土坡のような丘の彼方にも、一揆の大衆いたと見え、数百、数千、万にも余る、大勢の声が法螺貝(ほらがい)、竹法螺、鉄砲の音をさえそれに雑え、ドーッとあがりワーンと反響(ひび)いた。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
文章を作る上の用意として、われ/\の日常(ひび)心がくべき三つの方法がある。それは読書と観察と思索とである。
文章を作る人々の根本用意 (新字新仮名) / 小川未明(著)
胸は山のくずれるような音をして轟(ひび)きましたけれども、お浜の面(かお)には一種の気味のよいような笑いがほのめいて、じっと眼を行燈(あんどん)の光につけたまま失神の体(てい)で坐っている。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その声は、もはや、怨霊(おんりょう)じみたものではなかった。美しい、女のような、韻(ひび)きの深い声であった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
その上、死骸の耳の下に傷を拵へて、お玉の黒子(ほくろ)を誤魔化したが、二の腕の巳(み)(蛇)の彫物(ほりもの)をお關に見られて、企(たく)らみに龜裂(ひび)が入つた。