“静寂”のいろいろな読み方と例文
旧字:靜寂
読み方割合
しじま41.6%
せいじゃく25.6%
しずけさ10.4%
しずか5.6%
しづけさ3.2%
しずかさ2.4%
せいじやく2.4%
しづか1.6%
しゞま1.6%
ひっそり1.6%
じやうじやく0.8%
さびしさ0.8%
しづけき0.8%
しん0.8%
せいしゅく0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
朽葉(くちば)一枚こぼれても、カラカラとひびく山中の静寂(しじま)——、それはだいぶ遠いらしいが、世阿弥の耳へは怖ろしく近く聞こえてくる。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
耳を澄ますと玄内の寝息が安らかに洩れて来るばかり、暁近い寺島村は、それこそ井戸の底のように静寂(せいじゃく)そのもののすがたであった。
身動きもせぬ人々のその影は、いまにも沸き起こる悪魔の荒(あら)びの一瞬前の静寂(しずけさ)のように、神秘とも凄惨とも云おうようなく見えました。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
まだ宵ながら山奥の夜は静寂(しずか)で、ただ折りおりに峰を渡る山風が大浪の打ち寄せるように聞えるばかりであった。
木曽の旅人 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
顔を洗ふべく、静かに井戸に近(ちかづ)いた自分は、敢て喧(かし)ましき吊車の音に、この暁方(あかつきがた)の神々しい静寂(しづけさ)を破る必要がなかつた。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
デュアック お二人のおいでなされますあの静寂(しずかさ)の中からは、ただお二人のお名だけが、落ちる露のように、落ちてまいります。
ウスナの家 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
陽(ひ)が白(しろ)く、雲(くも)が白(しろ)く、空(そら)も白(しろ)い。のんどりとして静寂(せいじやく)な田畠(たはた)には、土(つち)の湧出(わきで)て、装上(もりあが)るやうな蛙(かはづ)の声(こゑ)。かた/\かた/\ころツ、ころツ、くわら/\くわら、くつ/\くつ。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
壁は壁紙で張りつめて、それが煤(すゝ)けて茶色になつて居た。粗造な床の間、紙表具の軸、外には古びた火鉢が置いてあるばかりで、何となく世離れた、静寂(しづか)な僧坊であつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
丁度その時、兄のセザレウ※ッチの奏(ひ)き初めた曲は、ショパンの前奏曲(プレリュウド)だつた。聴衆は、水を打つたやうな静寂(しゞま)の裡に、全身の注意を二つの耳に蒐めてゐた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
曾(かつ)ては、静寂(ひっそり)と動かぬ樹々すらも恋に浸っているような生温かい晩など、他(よそ)の牡猫のおぼろな影が屋根のあたりにちらほらすると、庭の方へ顔をつき出して声を合せながら
老嬢と猫 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
散るとなく、心の熱も静寂(じやうじやく)の薫(くゆり)に沈み
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
頼母が網行燈をひっさげて、座敷牢から立去った後は、闇と静寂(さびしさ)ばかりが座敷牢を包み、人気は全く絶えてしまった。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
吾は聴く、夜の静寂(しづけき)に、滴(したたり)の落つるを将(はた)、落つるを。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
相変らず静寂(しん)としている。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
例の連中は昨夜の時間より、やや早気味(はやぎみ)にすでに玄関の扉(と)を開けようとしている。試みは失敗らしく、数分間は静寂(せいしゅく)の裡(うち)に流れた。ルパンがさすがに手を引いたなと思う瞬間、悚然(しょうぜん)として戦慄した。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)