“朽葉”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くちば88.9%
くちは11.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
朽葉くちば一枚こぼれても、カラカラとひびく山中の静寂しじま——、それはだいぶ遠いらしいが、世阿弥の耳へは怖ろしく近く聞こえてくる。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やや大柄な童女が深紅しんくあこめを着、紫苑しおん色の厚織物の服を下に着て、赤朽葉くちば色の汗袗かざみを上にした姿で、廊の縁側を通り渡殿わたどの反橋そりはしを越えて持って来た。
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
うす暗い部屋の隅の、朽葉くちは色の長椅子に、白い薄紗ダンテールの服に朱鷺とき色のリボンの帯をしめた十七、八の少女が、靴の爪さきをそろえて、たいへん典雅なようすで掛けている。
そして一日々々と、朽葉くちは色の花園がよみがへつて、青々あを/\となつてゆくのを見ると、夜「希望」がそこを横ぎるのだと云ふ考へが浮かんだ。さうして、一朝毎に、より美しい彼女の足跡を殘していつた。