“湧出”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
わきだ22.0%
ゆうしゅつ19.5%
わきで19.5%
わきい9.8%
わきいづ7.3%
ゆうしゆつ4.9%
わきいず4.9%
ようしゅつ2.4%
ゆしゆつ2.4%
ようしゆつ2.4%
わきいだ2.4%
わくで2.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
正木博士の話から湧出わきだして来る一種の異妖な気分に魅せられて、何となく狂人きちがいじみた不可思議な疑いが、だんだんこうじて来るのを感じながら……。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
神はただ一瞬のうちに、多年の勤労と努力との結果を消滅させ得る。そしてもし欲するならば、泥濘でいねいから永遠なるものを湧出ゆうしゅつさせ得る。
しかもお雪が宿の庭つづき竹藪たけやぶ住居すまいを隔てた空地、直ちに山の裾が迫る処、その昔は温泉湧出わきでたという、洞穴ほらあなのあたりであった。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
幸薄さいはひうすく暮さるるか、着たるものの見好げにもあらで、なほ書生なるべき姿なるは何にか身を寄せらるるならんなど、思は置所無く湧出わきいでて、胸も裂けぬべく覚ゆる時
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
余は昨夜も例の如く街にの見ゆるや否や、たゞちに家を出で、人多くあつまり音楽湧出わきいづるあたりに晩餐を食してのち、とある劇場に入り候。
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
たん以上いじやうかひつてはこしてある。其跡そのあとからは清水しみづ湧出ゆうしゆつして、たゞちにほどひくくなつてる。此所こゝ貝塚かひづかがあらうとは、今日けふまでらなかつた。
山神さんじんの石のほこら、苔に蒸し、清水の湧出わきいず御手洗池みたらしいけには、去歳こぞの落葉が底に積って、蠑螈いもりの這うのが手近くも見えた。
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
しかれどももし一個人の力によりて第十九世紀の新世界を湧出ようしゅつすることに尽力し、かつその功労ある人はたれなりと問わば、ただちに指を二氏に屈せざるべからず。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
東金堂におはします仏法最初の釈迦の像、西金堂に坐ます自然じねん湧出ゆしゆつの観世音、瑠璃るりを並べし四面のらう、朱丹を交へし二階の楼、九輪空に輝きし二の塔、たちまち煙となるこそ悲しけれ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
〔譯〕閑想かんさう客感きやくかんは、志の立たざるに由る。一志既に立てば、百邪退きく。之を清泉せいせん湧出ようしゆつせば、旁水ばうすゐ渾入こんにふすることを得ざるにたとふべし。
しかしひらめいずる美しいほのおはなくて、真青まっさおけむりばかりが悩みがちに湧出わきいだし、地湿じしめりの強い匂いをみなぎらせて、小暗おぐらい森の梢高こずえだかく、からみつくように、うねりながら昇って行く。
曇天 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
崩平くえんたいらという山を一巡すると湧出わくで山という山が見え出す。続いて九重くじゅう山、久住くじゅう山、大船たいせん山、黒岳などという山が前面に現れた。あたかも列座の諸侯を見るような感じで威風堂々と並んでいた。
別府温泉 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)