静寂ひっそり)” の例文
旧字:靜寂
かつては、静寂ひっそりと動かぬ樹々すらも恋に浸っているような生温かい晩など、よその牡猫のおぼろな影が屋根のあたりにちらほらすると、庭の方へ顔をつき出して声を合せながら
老嬢と猫 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
と、一瞬間ざわめいたへやなかは、すぐにまた静寂ひっそりとなった。時計のチクタクもちょっと息どまったが、又もせわしげに無限の彼方に向って、例の小エゴイストの小刻みな歩みをつづけて行った。
孤独 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)