“うねり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
15.0%
長濤10.0%
紆濤10.0%
10.0%
紆波5.0%
5.0%
動波5.0%
卷曲5.0%
巻曲5.0%
廻渦5.0%
紆曲5.0%
蜿蜒5.0%
蜿蜓5.0%
起伏5.0%
迂廻5.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
背後うしろ突拔つきぬけのきしで、こゝにもつち一面いちめんみづあをむで、ひた/\と小波さゝなみうねりえず間近まぢかる。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
が、まだまだ長濤うねりが高く、一同死んだようになって、ただゴロゴロと水浸しの船室に寝そべっていた。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
ほっと安堵あんどの息をつくすきも与えず、後ろを見ればまた紆濤うねりだ。水の山だ。その時
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
転がった上へは、間髪を入れず、黄まだらなうねりが尾を曳いて走り、武松のどこかをくわえたかと見えたが、逆に虎の体がもんどり打った。彼の足業あしわざは虎をして狼狽させた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのうちにMが膝位ひざぐらいの深さの所まで行って見ました。そうすると紆波うねりが来るたびごとにMは脊延せのびをしなければならないほどでした。それがまた面白そうなので私たちも段々深味ふかみに進んでゆきました。
溺れかけた兄妹 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
紆波うねりといいますね、その波がうっていました。
溺れかけた兄妹 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
折柄おりから、窓のそとは満潮グラン・マレで、あぶくを載せた上潮のうねりが、くどくどと押し返し、巻きかえし、いつ果てるとも見えない有様であった。
船は海老の生巣いけすを浮かせた堤防のかたわらを徐行していたが、やがて大きな波のうねりに衝き当り、こ憎らしい仏蘭西人がするように、その肩をピクンとさせたと思うと
たゞ沖には大きな重い動波うねりが西の方から寄せて來て、風を豫告してゐた。そして遠くの方には、それ等の人々を待ち受けてゐて、外へ碎ける海が見られた。
まどかなる滄溟わだのはらなみ卷曲うねり搖蕩たゆたひ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
まどかなる滄溟わだのはらなみ巻曲うねり揺蕩たゆたひ
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
のろい廻渦うねりを立てる日は
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
紆曲うねりの緩やかな笹山が、目路めじを遮る何ものもなく、波うちつづく。遙か遙か下界に、八月の熱気でぼーっと、水色がかった真珠色に霞んだ地平が見晴せた。
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
あおい無限の海原うなばらが自分を吸い込もうとして蜿蜒うねりをうっている、それがまず目に浮かぶのであった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
何故なぜとはなく暫しはそのままで兩人は向き合つて立つてゐた。私の胸は澄んだやうでも早や何處やらに大きな蜿蜓うねりがうち始めて居る。
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
繁吹しぶきをあげてザザザザーッ……と頭を揺すぶる竹藪の音が、激浪のやうに荒れ狂ふ裏手一帯の劇しい起伏うねりを未だ一杯に温気ぬくもりの籠めた朝の部屋に歴々と描き出して見せてしまふ、かと思ふと
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
どうかこうかここまでぎつけて来た、長い年月としつきの苦労を思うと、迂廻うねりくねった小径こみちをいろいろに歩いて、広い大道へ出て来たようで、昨日きのうまでのことが、夢のように思われた。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)