“可畏”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おそろ36.4%
こわ36.4%
むくつけ18.2%
こは9.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「K君、ふかい谷だね。」と私は筋違に向ひ合つて居る友達の方を見て言出した。「景色が好いなんていふところを通越して、可畏おそろしいやうな谷だね。」
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「あの可畏こわい阿爺が生きていて、私達のてることを見ようものなら、それこそ大変です。弓の折かなんかでたれるような目に逢います」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
書物しよもつと、あをかさけたランプとのほかには、また何物なにものらぬかとおもはるるしづけさ。院長ゐんちやう可畏むくつけき、無人相ぶにんさうかほは、人智じんち開發かいはつかんずるにしたがつて、段々だん/\やはらぎ、微笑びせうをさへうかべてた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
今日とても矢張自分等の時代で有ると言ひたいが、実は何時いつの間にか世の中が変遷うつりかはつて来た。何が可畏こはいと言つたつて、新しい時代ほど可畏いものは無い。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)