“可哀”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かわい56.1%
かあい12.6%
あわれ10.8%
かはい10.3%
あはれ4.0%
かわゆ1.3%
かは1.3%
かええ0.9%
かわ0.9%
かあ0.4%
かえ0.4%
かはゆ0.4%
いぢら0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
魚屋がいている。可哀かわいそうだなあと思う。ついでに、私の咳がやはりこんな風に聞こえるのだろうかと、私の分として聴いて見る。
交尾 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
そして駅にはいにしえもかわらぬ可哀かあいい女がいただろうから、そこで、「妹が直手ただてよ」という如き表現が出来るので、実にうまいものである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ちょっとなまって、甘えるような口ぶりが、なお、きっぱりと断念あきらめがよく聞えた。いやが上に、それも可哀あわれで、その、いじらしさ。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しばらくして自分は千枝ちやんが可哀かはいさうになつたから、奥さんに「もうあつちへ行つて、母とでも話してお出でなさい」と云つた。
東京小品 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
可哀あはれ車夫しやふむかつて、大川おほかはながれおとむやうに、姿すがた引締ひきしめてたゝずんだ袖崎そでさき帽子ばうしには、殊更ことさらつき宿やどるがごとえた。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかし外の時、殊に夜になって若い女の美しい顔をして、目を堅くつぶって、ぐっすりているのを見ると、女が際限もなく可哀かわゆい。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
その小さなおちんこまでが腹立たしかつた。がまた溜まらず可哀かはゆくもあつた。そんな時は弟のおちんこに飛びついていぢくりまはした。
神童の死 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その声はしゃがれていてぎごちなくて、銹びた錠前のようだった。「わし可哀かええそうなベン・ガンだよ。この三年間も人間と口を利いたことがねえんだ。」
え、お千代、千代ちゃんか。すうちゃんはまだ生きていますかネ。可哀かわいそうな千代ちゃん。あの子の死んだのは、やっぱり今朝の二時二十分です。僕はちゃんとこの眼で、現在みていたんだからな。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
可哀かあいい娘が白いぬのを干しているのだろう、というほどの意で、「否をかも」は「否かも」で「を」は調子のうえで添えたもの、文法では感歎詞の中に入れてある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
だけど、わっしは馬鹿ばかで、どうしてもそんな元気が出ねえんでがす。——旦那があんまり可哀かええそうな様子をしてるで
黄金虫 (新字新仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
塔を下るとき、われフエデリゴに名謁なのりしに、この人は想ふにたがはぬ舊相識にて、さては君は可哀かはゆき小アントニオなりしかと云ひて我手を握りたり。
殘しおき力に思ふ妻に別れし事なれば餘所よそ見目みるめ可哀いぢらしく哀れと云ふも餘りあり斯くてあるべき事ならねばそれ相應さうおう野邊のべの送りを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)