“宿”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
やど38.8%
しゅく35.5%
とま8.3%
しゆく7.2%
2.0%
やどり1.8%
じゅく1.4%
0.9%
うち0.7%
じゆく0.5%
とど0.4%
シユク0.4%
0.2%
やどる0.2%
シュク0.2%
0.2%
いね0.2%
とまっ0.2%
とまり0.2%
とゞ0.2%
0.2%
0.2%
よど0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
わたしは、ぼっちゃんに、わたしっているようなと、わたしむね宿やどっているようなたましいけてあげますように、かみさまにおねがいしましょう。
はてしなき世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「はい、鳥沢の宿しゅくまで、父と一緒に参りまして、私だけ先へ帰って来ましたので、ちょっとあそこへ寄って、用を頼んでおりました」
八寒道中 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ある時家族じゅうで北国のさびしい田舎いなかのほうに避暑に出かけた事があったが、ある晩がらんと客のいた大きな旅籠屋はたごや宿とまった時
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
一体いつたい東海道とうかいだう掛川かけがは宿しゆくからおなじ汽車きしやんだとおぼえてる、腰掛こしかけすみかうべれて、死灰しくわいごとひかへたから別段べつだんにもまらなかつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「お前の友達つて人は本當に今日來るの?……何なら今夜内へ宿めてやつても可いとおつ母さんが言つてお出でだつた。」
少年の死 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
扨も吉兵衞が宿やどりたる家の主人を何者なにものなると尋るに水戸中納言殿みとちうなごんどの御家老職ごからうしよくに藤井紋太夫もんだいふと云ふあり彼柳澤が謀叛むほんくみして既に公邊こうへんの大事にも及べき處を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
日本橋、通旅籠町とおりはたごちょうの家持ちで、茶と茶道具一切いっさいあきなっている河内屋十兵衛の店へ、本郷森川宿じゅくの旗本稲川伯耆ほうきの屋敷から使が来た。
半七捕物帳:27 化け銀杏 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
陽炎かげろうのたち昇る春の日に、雲雀ひばりさえずりをききつつ、私のいつも思い出すのは、「春の野に菫摘まむと来しわれぞ野をなつかしみ一夜宿にける」
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
主人は一息ついてから目を皿のようにして天井を指しながら宿うちの四階に居た乙女のように柔和なセルヴィヤ人が其のFであった。
二人のセルヴィヤ人 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
聞ゆゑ九助も段々始終の話より歸り掛けの道中にて斯樣々々かやう/\島田宿じゆくの水田屋がなさけ曼陀羅まんだらの話等を爲し明日は金を請取に參るとて十界の曼陀羅を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
太空そらは一ぺんの雲も宿とどめないが黒味渡ッて、二十四日の月はまだ上らず、霊あるがごとき星のきらめきは、仰げば身もしまるほどである。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
くゞつとほかひゞととの相違は、くゞつの海・川を主として、後に海道に住み著いて宿シユクをなした者も多いのに、ほかひゞとは水辺生活について、何の伝説も持たない。
朝柏あさがしはうる八河辺はかはべ小竹しぬのしぬびて宿ればいめに見えけり 〔巻十一・二七五四〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
白雪いたゞきを覆ふ。轎夫けうふいふ。御嶽山上に塩ありと。所謂いはゆる崖塩なるべし。一里半藪原駅。二里宮越駅。若松屋善兵衛の家に宿やどる。此日暑甚し。三更のとき雨降。眠中しらず。行程九里きよ
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
むかし、九天玄女の夢告むこくをうけたとき宿シュクウテ喜ブ——という一語をたしか聞いている。これかもしれない? 彼と呉用とはそれッと船を少し進めさせて
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人麿の歌に、「古にありけむ人も吾がごといもに恋ひつつ宿ねがてずけむ」(巻四・四九七)というのがある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
かこち昨夜ゆうべ四日市よつかいちへんなる三人の若い者此處こゝ妓樓あそびやそれ遊興あがりて夜をふか宿いねるに間もなく夜はしらみたりと若い者に起され今朝けさしもぶつ/\とつぶやきながら妓樓あそびや
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
昔し房州ぼうしゅう館山たてやまから向うへ突き抜けて、上総かずさから銚子ちょうしまで浜伝いに歩行あるいた事がある。その時ある晩、ある所へ宿とまった。ある所と云うよりほかに言いようがない。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まごかほを見玉はゞさぞかしよろこび給ふらん。さればに候、父翁とつさまはいつぞやきたられしが母人かさまはいまだ赤子ねんねを見給はざるゆゑことさらの喜悦よろこびならん。おそくならば一宿とまりてもよからんか、おまへ宿とまり給へ。
太空そらは一片の雲も宿とゞめないが黒味渡ツて、廿四日の月は未だ上らず、霊あるが如き星のきらめきは、仰げば身もしまる程である。
里の今昔 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
もも長に 宿さむを。
私の心が不健全であるのでは無からうか、愛情と云ふものを宿どさない一種の精神病のではあるまいかと——けれど私は只だ亡き母をおもひ、慕ひ想像する以外に
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
美徳びとくはふあやまれば惡徳あくとくくわし、惡徳あくとく用處ようしょ威嚴ゐげんしゃうず。この孱弱かよわい、幼稚いとけなはなぶさうちどく宿よどれば藥力やくりきもある、いでは身體中からだぢゅうなぐさむれども、むるときは心臟しんざうともに五くわんころす。