“一切”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いっさい54.4%
いつさい12.9%
ひときれ10.9%
すべて7.5%
いっせつ5.4%
ひとき4.1%
いつせつ2.0%
ひときり0.7%
ひとしき0.7%
ひとッき0.7%
イチサイ0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
万国公法が極点まで進歩して一切いっさいの条項が完備したから、国と国との間にどの様な問題が在っても総て公法の主義に従って落着する。
暗黒星 (新字新仮名) / シモン・ニューコム(著)
芋蟲いもむしうでんで其頂そのいたゞきにすわり、悠々いう/\なが水煙草みづたばこ煙管きせるふかしてゐて、あいちやんや其他そのたものにも一切いつさいをくれませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
主人は菓子皿のカステラが一切ひときれ足りなくなった事には気が着かぬらしい。もし気がつくとすれば第一に疑われるものは吾輩であろう。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
誰かこの一切すべてのものにりてエホバの手のこれを作りしなるを知らざらんや。一切すべて生物いきもの生気いのち及び一切すべての人の霊魂たましい共に彼の手の中にあり
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
もとより両親のことばではあるし、自分でも強いて淋しい生活に入るのを望むわけでもないから、一切いっせつ両親にまかすことにしたのがそもそも娘の不運のもとであった。
二面の箏 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
紋着もんつきしろえりで盛裝せいさうした、えんなのが、ちやわんとはしを兩手りやうてつて、めるやうにあらはれて、すぐに一切ひときれはさんだのが、そのひとさ。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かゝる誤りは萬朝報よろづてうはうに最もすくなかつたのだが、先頃さきごろほかならぬ言論欄に辻待つぢまち車夫しやふ一切いつせつ朧朧もうろうせうするなど、大分だいぶ耳目じもくに遠いのがあらはれて来た。
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
お種は針仕事を一切ひときりにして、前掛を払いながら起立たちあがった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
夕方は用が有るから、三人ばらばらになって、私はランプ配りやら、戸締りやら、一切ひとしきり立働いて、例の通り部屋で晩飯を済すと、また身体にひまが出来た。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
額で母をにらめて、津蟹づがにが泡を吐くように、沸々ぶつぶつ言っている。ポチは朝起だから、もう其時分にはとッくに朝飯あさめしも済んで、一切ひとッきり遊んだ所だが、私の声を聴き付けると、何処に居ても一目散に飛んで来る。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
ソレ女人ニヨニンハ、五障ゴシヤウ三從サムシヨウトテ、オトコニマサリテカカルフカキツミノアルナリ、コノユヘニ一切イチサイ女人ニヨニンヲバ、——馬鹿らしい。
陰火 (旧字旧仮名) / 太宰治(著)