“饒”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ゆた39.6%
ゆたか18.8%
おほ12.5%
ニギ6.3%
おお6.3%
にぎ2.1%
しゃ2.1%
しゃべ2.1%
じょう2.1%
2.1%
ふか2.1%
ゆたけ2.1%
ユタ2.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
まずあなたの特色として第一に私の眼に映ったのは、ゆたかな情緒をこまやかにしかもきりかすみのように、ぼうっと写し出す御手際おてぎわです。
木下杢太郎『唐草表紙』序 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いま一もとの樹の、ゆたかにして盛なる枝我にあらはる、また我この時はじめてかなたにめぐれるなればその處甚だ遠からざりき 一〇三—一〇五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
玄間は俗医にして処世の才おほき人物であつたらしい。初め町医より召し出された時、茶山はこれを蘭軒に報じて、その人におごる状を告げた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
こんなことを考へて見ると、寂しくてはかない氣もするが、すぐに其は、自身と關係のないことのやうに、心はニギはしく和らいで來て、爲方がなかつた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
しかれども詩情もまたおおき人たりしは疑う可からず。詩においては陶淵明とうえんめいし、笠沢りゅうたく舟中しゅうちゅう陶詩とうしを読むの作あり、うちに淵明を学べる者を評して
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
こんなことを考えて見ると、寂しくてはかない気もするが、すぐに其は、自身と関係のないことのように、心はにぎわしく和らいで来て、為方がなかった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
私の両親は食事しながら笑ったりおしゃべりなどすると、これ、あばらへ御飯が引掛ひっかかりますといってしかった事を私は今に覚えている。
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
勇少年と大辻とは、それに気づかない様子で、夢中になってしゃべりつづけていた。しかし二人の男女が立ち去ってしまうと、思わず顔を見合わせてニッコリと笑った。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
じょう州にという男があった。家は豊かで、その妻の実家も富んでいて、夫婦の仲もむつまじく、なんの欠けたところもなかった。
宮部たわむれて曰く、「君何ぞそれ商骨にむ、一にここに到る」と。彼れ艴然ふつぜん刀柄とうへいして曰く、「何ぞ我を侮辱するや」と。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
自分はいつも汽車の中に安坐しながら、此の國を通過するのであるが、西から木津川の溪谷を溯つて來るのもいゝし、東から鈴鹿山脈を横斷して南畫めいた溪山の間を入つて來るのも興がふかい。
伊賀国 (旧字旧仮名) / 近松秋江(著)
味佳なるも滋養分なきものあり、味淡なるも滋養分ゆたけきものあり、余は常に後者をりていささか世人に益せん事をおもう。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
語部カタリベの物語——其は葛城部カツラギベの伝承と名づくべきもので、記紀の此記述の根本となつてゐるものであらう——があつたとすれば、どれほど人生を美しく又ユタけく感ぜしめることであつたらうと
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)