“戯”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
たわむ48.2%
10.4%
たわむれ7.9%
たはむ5.6%
ふざ5.1%
たわ3.3%
からか2.8%
たわぶ1.8%
おど1.5%
たはむれ1.5%
じゃ1.5%
たは1.3%
たわぶれ1.3%
たはぶ1.0%
あざ0.8%
ざれ0.8%
たはふ0.8%
たはふれ0.5%
いたづら0.5%
じょ0.5%
0.5%
ぢや0.5%
タワム0.5%
そば0.3%
いたづ0.3%
から0.3%
たはぶれ0.3%
たわむる0.3%
もてあそ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
後醍醐にたいしてはずいぶん俗にいう“姉さん女房”であった廉子も、親房へは、かりそめにも異議はおろかたわむれ一ついえなかった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてれ言をかわしながらどっとそこで一つ笑うと、声もすがたも、たちまち四明颪しめいおろしにつつまれて暗い沢の果てへ去ってしまった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さるにても暢気のんき沙汰さたかな。我にへつらい我にぶる夥多あまたの男女を客として、とうとき身をたわむれへりくだり、商業を玩弄もてあそびて、気随きままに一日を遊び暮らす。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わが十年の約は軽々かろがろしく破るべきにあらず、なほ謂無いはれなきは、一人娘をいだしてせしめんとするなり。たはむるるにはあらずや、心狂へるにはあらずや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
アントニウスの眼の前には毎夜のやうに裸の美人が映つて、聖者を誘惑しようとしてあらゆるふざけた姿をして踊り狂つてゐたといふ事だ。
橋際に着けた梅見帰りひょんなことから俊雄冬吉は離れられぬ縁の糸巻き来るは呼ぶはの逢瀬繁く姉じゃおととじゃのたわぶれが
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
が、何を思い出したか、嫣然にやにや笑いながら、「それでも忠一君はの女に思惑でも有ったと見えて、しきりからかって騒いでいましたよ。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
お勢がまず起上たちあがッて坐舗ざしきを出て、縁側でお鍋にたわぶれて高笑をしたかと思う間も無く、たちまち部屋の方で低声ていせいに詩吟をする声が聞えた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
真白な面を緊張ひきしめてくるくるともんどりうつ凄さ、可笑をかしさ、又その心細さ、くるくるとおどけ廻つて居る内に生真面目きまじめな心が益落ちついて、凄まじい昼間の恐怖が腋の下から、咽喉から、臍から
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「家家臘尽時。内感歳華移。安識郷人羨。全依祖考慈。」たはむれに「家内安全」の字を句首に用ゐて作つたものである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
東片町時代には大分老耄ろうもうして居睡いねむりばかりしていたが、この婆さん猫が時々二葉亭の膝へ這上はいあがって甘垂あまったれ声をして倦怠けったるそうにじゃれていた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
唱へながら引かれしとぞ此時お熊のたるより世の婦女子ふぢよしぢやうは不義のしまなりとてきらひしはたはれ事の樣なれども貞操ていさうこゝろともいふべし然るを近來ちかごろ其事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「おん身は我を信じたまはず、げにそれも無理ならず。世の人は皆我を狂女なりといへば、さおもひたまふならむ。」この声たわぶれとは聞えず。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
あらひ或時は酒の給仕きふじなどにも出るにお花は容顏かほかたちうるはしければ是をしたひ多くの旅人の中には種々なるたはぶれ事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
白き猫ひそけき見れば月かげのこぼるる庭にひとりあざれぬ
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
それゆえに、昇のざればみも鋒尖ほこさきが鈍ッて、大抵は、泣眠入なきねいるように、眠入ッてしまう。こうまで昇を冷遇する。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
年賀にはひとふしかはりたる趣向しゆかうといひ、順礼じゆんれいに五放舎とたはふれたる名もおもしろく、友人とともにおどろきかんじ、宿やど施行せぎやうせん、ゆる/\ものがたりせんなど、友人もさま/″\にすゝめたれど
たはふれ穿はきてみしが一歩もすゝむことあたはず、家僕かぼくがあゆむは馬をぎよするがごとし。
ナポレオンはあとでこの話を聞いて、腹をかゝへて笑つた。宰相も機嫌を直して笑つたが、ルイザめ、事によつたら、何もかもわきまへてゐて、こんないたづらをしたのかも知れなかつた。
じょ戯談じょうだんだろう。——戯談だろう……」
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
実際また王生は、仲のい友人の趙生ちょうせいと一しょに、自由な生活を送っていた。きに行く事もある。はくを打って暮らす事もある。
奇遇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
と云つたが、急にニヤ/\と笑つて立戻つて来て、私の枕頭まくらもとに膝をつく。またぢやれるなと思ふと、不恰好な赤い手で蒲団の襟を敲いて
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
花ヲ折ッテ門前ニタワム
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
目にしげき風のそばえは寒けれど美篶みすずが原よ春は来にけり
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
人間といふものは、応接間の一つもつやうになると、小猫やちんを飼ふとか、掘出し物の骨董を並べるとかして兎角お客にいたづらをしたがるものなのだ。
「あの定という奴は、年甲斐もなしにお前になにかからかったことでもありゃあしねえか」
半七捕物帳:38 人形使い (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「方怕芳縁相結得、鮮花香裡不帰来」は、たはぶれと称すと雖も、実は規であらう。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
唖々子のたわむるるるが如く、わたしはやがて女中に会計なるものを命じて、ともに陶然として鰻屋の二階を下りると、晩景から電車の通らない築地の街は、見渡すかぎり真白まっしろ
十日の菊 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
少女はもう何事も諦め、気をへて、運命の浪の水沫をもてあそぶ無邪気な妖女神ニンフのやうな顔つきになつてゐる。
小町の芍薬 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)