“すべ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:スベ
語句割合
28.0%
24.1%
18.7%
11.3%
11.0%
2.4%
1.0%
0.9%
0.9%
0.3%
0.3%
0.2%
便0.1%
0.1%
退0.1%
0.1%
0.1%
手段0.1%
為可0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
術策0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あれほど多い仕え女の間を抜け出すことの困難さを、あぶらをながすようにすべり出したはぎ野の大胆さは、図抜けた庭わたりだった。
野に臥す者 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
今まで幾十百人のもとゞりを切られた方々も、さすがは青江備前守びぜんのかみ樣と言はれるだらうと、——今ではそれより外に汚名を救ふすべはないのだ
しかしすべてこれらの手紙は受取る前から予期していなかったと同時に、受取ってもそれほど意外とも感じなかったものばかりである。
その左右は苔の付いた崖で、僅かながらいつも水が湧き出ているため、石段は薄く氷に掩われてい、喜兵衛はそこで三度もすべった。
霜柱 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
すべての悩みも悲しみも、苦しみももだえも、胸に秘めて、ただ鬱々うつうつと一人かなしきもの思いに沈むというような可憐な表情を持つ花です。
季節の植物帳 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
かのあたたかうれしい愛情は、単に女性特有の自然の発展で、美しく見えた眼の表情も、やさしく感じられた態度もすべて無意識で、無意味で
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
北國の雪解の時分と來たら、すべて眼に入るものに、まるで永年牢屋にぶち込まれた囚人が、急に放たれて自由の體となツたといふ趣が見える。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
女王樣ぢよわうさまこと大小だいせうかゝはらず、すべての困難こんなん解决かいけつする唯一ゆゐいつ方法はうはふ御存ごぞんじでした。『れのあたまねよ!』と四邊あたりずにまをされました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
然れども彼れは一党派の首領のみ、国民の嚮導者きやうだうしやには非る也。何となれば、彼れは其一身に於て日本国民が要求するすべての者を代表せざれば也。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
すべて供𢌞りの徒士かちの者共風俗がさつに候、中間共も異風に取拵とりこしらへ候者共多相見えわけてがさつに有之候。
凡愚姐御考 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
だいばんには大野氏おほのしはづだからとかんがへながら、なほいまいはや底部ていぶらしてやうとして、龕燈がんどう持直もちなほ途端とたんに、あし入口いりくちのくづれたる岩面いはづらんだので、ツル/\とあななかすべちた。
夫なる人もまた、自分が女房に代って医者を迎えに行くことさえ気がつかなかったくらいでしたから、気絶した子供を抱えて、前後を顛倒して為すべきすべを知らなかったものであります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
平時つねに変れる状態ありさまを大方それと推察すいしてさて慰むる便すべもなく、問うてよきやら問わぬがよきやら心にかかる今日の首尾をも、口には出して尋ね得ぬ女房は胸を痛めつつ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
『奧さん、うぞお願ひ致します。』と、あとをお光にまかして座敷を退すべり出た。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
すべて是れ、当年の血戦場——
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
真つ直ぐに、自分を立て通したいばかりに、親達の困惑も怒りも歎きも、すべてを知りつくしてゐながら、強情にそれを押し退けて再度の家出をして後は、お互ひに一片の書信も交はさなかつた。
乞食の名誉 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
さうとはらずチッバルトどのをおなげきゃるとのみ思召おぼしめされ、そのなげきのぞかうとてパリスどのへ無理強むりじひの婚禮沙汰こんれいざた其時そのときひめ庵室いほりへわせられ、この祝言しうげんのがるゝ手段すべをしへてくれい
学習院に於て余の為可すべかりし演説が某の注意にり院長たる将軍の言によって差止さしとめられたことを聞いた外、乃木将軍とは一回の対面もせず、一通の書信の往復もなかった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
駆けつけた附近の医者は、電車のゆかの上にころがった美少女に対して、ほどこすべき何のすべをももたなかった。というのは、彼女の心臓の上部が、一発の弾丸によって、美事みごと射ちぬかれていたから。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
詩に曰く「去年買地新移家。家具一担書五車。閑園日渉能成趣。五畝之間純是花。敢期戸外停香騎。却喜門前通古寺。」〔去年地ヲ買ヒ新タニ家ヲ移ス/家具一担書五車/閑園日ニ渉レバ能ク趣ヲ成シ/五畝ノ間すべテ是レ花/敢テ期ス戸外香ニ停マルノ騎ヲ/却テ喜ブ門前古寺ニ通ズルヲ〕云々。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
差付けらるるを推除おしのくるはずみに、コップはもろくも蒲田の手をすべれば、莨盆たばこぼん火入ひいれあたりて発矢はつしと割れたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何とかして二人を引離す頓智とんちはないものかと考えたが、咄嗟とっさのこととてうま術策すべが浮かんでこない。
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
みんな私が悪かったんで、つい迂闊うっかり口をすべらしたんでね
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)