“綴”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
つづ60.8%
17.9%
つゞ8.0%
とじ4.3%
つづり3.7%
つづれ1.2%
とぢ0.9%
つゞれ0.6%
0.6%
トヂ0.6%
つづく0.3%
つな0.3%
てつ0.3%
トジ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
なにごとも上ッ面だけをつづくり、いい加減に辻褄を合わしてすまして置くという不誠実な性情は、すでにこの頃に養われたのである。
湖畔 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
表紙を附けてじるのなどが楽しみでもあるらしく、「そんなことはよしたらよかろう」と、何度いってもやめなかったとの事です。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
おそかなおのれより三歳みつわか山田やまだすで竪琴草子たてごとざうしなる一篇いつぺんつゞつて、とうからあたへつ者であつたのは奈何どうです、さうふ物を書いたから
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
と、云うと、準之助氏は、立って行って、ロビーの隅に置いてある、新聞のとじこみを持って来ると、広告欄を開けて指を辿り始めた。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
会員の名札はなるほど外国流のつづりが多い。国沢君は大きな本をひろげて、余の姓名を書き込ました上、是公に君ここへと催促した。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
紫地錦むらさきじにしき直垂ひたたれを着て、つづれの錦に金立枠きんたてわく弓小手ゆごてをつけて、白重籐しろしげとうの弓を持っていましたが、今なにげなく振仰いで笠の中から見た面を、お松は早くも認めて
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
裏返うらかへしてとぢたる帳面一册ありひらき見るにしうとめが日々の容體大小便の度數迄委敷くはしく記載しるしてありしとてすなはち是へ差出せりよつて披き見るに其の深切に認め有事此一條を以ても菊が姑を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
落葉おちばし尽した木立こだちの間から石と泥とを混ぜた家家いへいへ白茶しらちやけた壁に真赤まつか蔦紅葉つたもみぢつて居るのはつゞれにしきとでも月並ながら云ひたい景色であつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
布子ぬのこの下の襦袢じゅばんから、ポチリと色めた赤いものが見えるので、引っぱりだして見ると、黒ちりめんに牡丹ぼたんの模様の古いのだった。ぎで、大きな二寸もある紋があった。
併し此で定論を得てをさまつた、この語の論策をトヂめる為に、かう言ふ追ひ書を書き添へておいた方が、よいと思ふ。
「さうや さかいに」 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
壁の隅につづくった袋が一つかかってありまして、其袋それには先生らの命をつなぐ麦焦しの粉が入って居る。それとても満ちてあるものは稀です。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
そしてその紙帳というのは、祝詞のりと文の反古ほごつないだものに渋を塗ったのですが、偶然にも高代という二字が、頭と足先に当る両方の上隅に、同じよう跨っているのです。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
五助は身をひねって、心覚こころおぼえうしろざまに棚なる小箱の上から、取下とりおろした分厚な一てつの註文帳。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いいトジだし、これにしようときめて、書いてあるところよんでみたらば、丁度十三年の封鎖[自注15]の当初だったのは面白うございました。