“つら”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ツラ
語句割合
46.1%
23.6%
9.5%
7.1%
3.1%
1.7%
1.7%
1.6%
1.0%
1.0%
0.5%
0.4%
0.3%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
面相0.2%
0.1%
0.1%
刺貫0.1%
厭苦0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
辛苦0.1%
醜面0.1%
醜顔0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
顔面0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「あのつらに、げんこつをくらわせることはなんでもない。だが、おれが、うでちからをいれてったら、あのかおけてしまいはせぬか?」
からす (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかもこの老貴婦人の憐れな話し相手リザヴェッタが、居候いそうろうと同じようなつらい思いをしていることを知っている者は一人もなかった。
なまなましい昨夜の感懐は彼の脳裡にまざまざ書きつらねてある。握った筆は、それを文字に改めて紙の上に定着させるだけである。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
それから永楽町の電車停留場の方へ行くと、左側のバラックには何とか活動写真株式会社とあって派手な絵看板が沢山掛けつらねてある。
丸の内 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
まだ電燈にはならない時分、廻廊の燈籠とうろうの白い蓮華れんげつらなったような薄あかりで、舞台に立った、二人の影法師も霞んで高い。……
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
仙「えお侍、訳は知りませんがこれは仲の幇間で、一人は通り掛りの者だ、よええ町人をつらめえて御詫ごたくを云わなくッても宜かろう、エお侍」
そぎやんこつ云ふた奴のつらば見たか。わしや、辛棒ていふこたあ、大好でやあすかん。そんかわり、人がなんと云ふたてちや、いたこたあ、すツたい。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
三年越しの流浪にて、乞食こつじきの境遇にも、忘れ難きは赤城の娘、姉妹あねいもとともさぞ得三に、憂いつらい目を見るならむ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
道を転じて静緒は雲帯橋うんたいきようの在るかたへ導けり。橋に出づれば正面の書院を望むべく、はや所狭ところせまきまで盃盤はいばんつらねたるも見えて、夫は席に着きゐたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かれその天の日矛の持ち渡り來つる物は、たまたからといひて、珠二つら、またなみ比禮ひれなみる比禮、風振る比禮、風切る比禮、またおきつ鏡、つ鏡、并はせて八種なり。
權「世話アやかす奴だな、それつらまれ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「だつておまへ、おまへまへだが、あのつらをつかめえて、牛切小町うしきりこまちなんて、おまへおこらうぢやねえか。」
鑑定 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その時分の夫婦の活計くらしは苦しいつらい月ばかり続いていた。宗助は流産した御米のあおい顔を眺めて、これも必竟つまりは世帯の苦労から起るんだと判じた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「ざっとこう云う経過だ」と説明の結末を付けた時、平岡はただうなる様に深い溜息ためいきもって代助に答えた。代助は非常につらかった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
うるやと容子を尋ねけるに親十兵衞が云々しか/″\にて年貢のお金に差支さしつかよんどころなく身をうる時宜しぎなれば何卒おかゝへ下されたく如何樣いかやうつらかなしひ事成とも御主人大事御客樣きやくさま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この同じ屋根の下に旦那様と御二人で御暮しなさるのは、それほどつらいと御思召すのでした。御器量から、御身分から——さぞ、あの巡礼の目には申分のない奥様と見えましたろう。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
雁のつらは正しいものであるが、時にはその声々に誘われたように後列の雁が翼を振って前列を追いぬけることがある。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
支金庫の役人といえば、面相つらがお粗末で、風采のあがらないことで特に知られているものだ。
が、そうは思ったものの、自分の今の場合、折角探しあてた宝をむざ/\他人に遊ばれるのは身を斬られるようにつらい。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
私はそんなことを思って打壊されたつらい心と、面と向って突掛つっかかられる荒立つ心とを凝乎じっと取鎮めようとしていた。他の二人も暫時しばらく黙って座が変になっていた。すると饗庭が
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
なんならこの足で直ぐ醫者へつらつて行つて、見て貰つて來ようぢやないかと、私は氣を引き立てるやうにさう言つたが、それよりも早くうちへ歸つて横になりたい、醫者へ行かなければならないやうなら
金魚 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
そうして次の瞬間には、火星兵団の宇宙艇隊は、ロケット隊のまん中を刺貫つらぬくように飛込んで来た。勝ち負けは、その瞬間にきまってしまった。
火星兵団 (新字新仮名) / 海野十三(著)
世の中は不患議なもので、わたしもそのまま死にもせず、あれから幾十いくその寂しさ厭苦つらさをけみした上でわたしは漸々ようよう死にました。
結納ゆひのうの品々つらする者、雑誌など読みもて行く者、五人の子を数珠繋ずずつなぎにして勧工場かんこうばる者、彼等はおのおの若干そこばくの得たるところ有りて、如此かくのごとく自ら足れりとるにかあらん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
つまり私は一般を心得た上で、例外の場合をしっかりつらまえたつもりで得意だったのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
忙はしげに筆を走らせ、小をんなが持て來る一盞ひとつきの咖啡の冷むるをも顧みず、明きたる新聞の細長き板ぎれに挿みたるを、幾種となく掛けつらねたるかたへの壁に、いく度となく往來する日本人を
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
頑民がんみんは殺し尽すべし、遺老は寿命が来れば死ぬ。辮子はもはやとどめ得た。こうよう(長髪賊の領袖りょうしゅう)がまたもや騒ぎ出した。わたしの祖母がかつて語った。その時の人民ほどつらいものはない。
頭髪の故事 (新字新仮名) / 魯迅(著)
考えても軽部が私につらくあたってくる気持ちが手にとるように分って来て
機械 (新字新仮名) / 横光利一(著)
けれど吾等われら勞力らうりよくつひ無益むえきとならで、やうやくことしまいたのは、かれこれ小半日こはんにちすぎてからあとことわづ三里さんりなみうへを、六時間ろくじかん以上いじやうとははなはおそ速力そくりよくではあるが、それでもわたくしほど辛苦つらかつた。
思わず【なんちう醜面つらだ!】そう口走って後へ飛びのいた。
(新字新仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
振りかへつて見ると、そこにゐるのはバサウリュークだ! いやはや! なんといふ醜顔つらぢやらう! 髪の毛はごはごはして、眼の玉がまるで牡牛のそれのやうぢや。
奧へ通さぬは如何なるわけなるや知つてならばはなすべしと尋ねければ流石さすが丁稚でつちのことゆゑさけさかなつられ其事柄はくはしき譯を知ね共先生よりお浪さんへ艷書ふみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかれども(二五)しよしよくつらね、ことじやうるゐし、もつ(二六)じゆぼく剽剥へうはくす。當世たうせい(二七)宿學しゆくがくいへど(二八)みづか解免かいめんすることあたはざるなり 其言そのげん(二九)洸洋自恣くわうやうじしもつおのれかなふ。
ぺん宣言書せんげんしよ==其は頭から尻尾しつぽまで、爆發ばくはつした感情の表彰へうしやうで、激越げきえつきはめ、所謂阿父のよこつらたゝき付けた意味のものであツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
あまりの事と學生は振返ツた……其のはなつらへ、風をあふツて、ドアーがパタンとしまる……響は高く其處らへ響渡ツた。學生は唇を噛みこぶしを握ツて口惜しがツたが爲方しかたが無い。悄々しを/\と仲間の後を追ツた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
仙「そんな事を盗賊ぬすっとうに云ったって仕様がねえ、悪々にく/\しい顔面つらアしてえやがるナ」