“かん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カン
語句割合
感18.3%
間8.7%
燗7.8%
癇7.8%
疳5.4%
寒3.4%
閑3.4%
棺3.3%
勘3.0%
甲2.3%
環2.3%
香1.9%
観1.9%
緘1.5%
鑵1.5%
漢1.4%
神1.3%
関1.2%
款1.2%
缶1.2%
罐1.2%
鐶1.2%
肝0.9%
冠0.9%
芳0.9%
巻0.8%
奸0.8%
歓0.7%
彼0.7%
管0.7%
竿0.7%
姦0.6%
簡0.6%
考0.5%
寛0.5%
貫0.5%
桿0.4%
甘0.4%
悍0.4%
緩0.4%
干0.3%
薫0.3%
韓0.3%
官0.3%
館0.3%
顔0.3%
關0.2%
函0.2%
噛0.2%
箝0.2%
鑒0.2%
柬0.2%
欵0.2%
看0.2%
鑑0.2%
乾0.1%
艦0.1%
監0.1%
骭0.1%
喊0.1%
坎0.1%
幹0.1%
患0.1%
懽0.1%
旱0.1%
桓0.1%
檻0.1%
汗0.1%
翰0.1%
艱0.1%
馨0.1%
鸛0.1%
喚0.1%
炕0.1%
頭0.1%
刊0.1%
柑0.1%
觀0.1%
䔵0.1%
串0.1%
卷0.1%
咸0.1%
嗅覚0.1%
圜0.1%
堪0.1%
完0.1%
嵌0.1%
感覚0.1%
憾0.1%
棺槨0.1%
渙0.1%
澗0.1%
爛0.1%
獾0.1%
瑗0.1%
甝0.1%
直感0.1%
石油罐0.1%
稈0.1%
筒0.1%
簪0.1%
菅0.1%
葌0.1%
軍艦0.1%
鉗0.1%
音0.1%
駻0.1%
驩0.1%
𨣉0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そのとき、露子(つゆこ)は、いうにいわれぬ懐(なつ)かしい、遠(とお)い感(かん)じがしまして、このいい音(おと)のするオルガンは船(ふね)に乗(の)ってきたのかと思(おも)いました。
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
勿論、その間(かん)の気合いは支那人のそれとはまるで正反対であるとしても、事実に現われた結果は極端と極端の一致で同じことになる。
尤も俊亮の前だけには、正木のお祖母さんの気づきで、小さなお盆に、燗(かん)徳利と、盃と、塩からのはいった小皿とが残して置かれた。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
癇(かん)のせいで、そんないやがらせをなさるんでしたら、もういっさいそまつな口あききませんから、あしたの朝にしておくんなせえましよ
鈴木君はこいつ、この様子では、ことによるとやり損なうなと疳(かん)づいたと見えて、主人にも判断の出来そうな方面へと話頭を移す。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その森の梢にはたくさんの鷺(さぎ)や鵜(う)が棲んでいるが、寒(かん)三十日のあいだは皆んな何処へか立ち去って、寒が明けると又帰って来る。
半七捕物帳:68 二人女房 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それは丁度(ちょうど)午前十時半ごろだった。この時刻には、流石(さすが)の新宿駅もヒッソリ閑(かん)として、プラットホームに立ち並ぶ人影も疎(まば)らであった。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ふとみると、本堂のまんなかに、死んだ人を入れた棺(かん)が、ふたをあけたまま置いてありました。まだお葬式がすんでいなかったのです。
いよ/\お糸は津志田家へ入り込むことになつたが、奧方のお高樣は、女の勘(かん)の良さで、どうしてもお糸を嫁にすることを承知しない。
と叫ぶ甲(かん)高い声を聞いて、左膳は、何はともあれ脱出するのが目下の急務だから、依然(いぜん)縁さきに佇立(ちょりつ)する源十郎をしりめにかけて
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
レールを二本前の方に継(つ)ぎ足しておいて、鉄の環(かん)に似たものを二つ棺台の端(はし)にかけたかと思うと、いきなりがらがらという音と共に
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
はなはだ香(かん)ばしからぬ状態にあったので、フランス本土からわざわざ審査に来た小児医は、ただただ鼻をおおって閉口するばかり。
乃(すなわ)ち三丰の居(お)りし所の武当(ぶとう) 大和山(たいかざん)に観(かん)を営み、夫(ふ)を役(えき)する三十万、貲(し)を費(ついや)す百万、工部侍郎(こうぶじろう)郭𤧫(かくつい)、隆平侯(りゅうへいこう)張信(ちょうしん)等(ら)、事に当りしという。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
彼はその後で訊問を受けた時「有罪だ」とただ一言叫んだきり、また口を緘(かん)して語らなかったという事は不思議ながらも確かな事実である。
若いキリリとした女房(おかみ)さんが、堀井戸に釣るしてあった鑵(かん)からコップへ牛乳を酌(く)んでくれた。濃い、甘い、冷たい牛乳だった。
南滿洲(みなみまんしゆう)には、やはり石器時代頃(せつきじだいころ)からすでに人間(にんげん)が住(す)んでをりましたが、周(しゆう)の末(すゑ)から漢(かん)の初(はじ)めに支那人(しなじん)が盛(さか)んに植民(しよくみん)してゐたのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
神職 いや布気田(ふげた)、(禰宜の名)払い清むるより前に、第一は神の御罰(ごばつ)、神罰じゃ。御神(おんかみ)の御心(みこころ)は、仕え奉る神(かん)ぬしがよく存じておる。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
西東(にしひがし)長短の袂(たもと)を分かって、離愁(りしゅう)を鎖(とざ)す暮雲(ぼうん)に相思(そうし)の関(かん)を塞(せ)かれては、逢(あ)う事の疎(うと)くなりまさるこの年月(としつき)を、変らぬとのみは思いも寄らぬ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
興は十二分に湧いて、款(かん)を尽して飲むほどに、酔うほどに、ついつい夜更けに及んでしまって、今こうして立ちかえるところなのだ。
その長いかまどの上に海水を入れた石油缶(かん)を、一列にならべ、かまどの口もとで火をたくと、おくの方までじゅうぶんに火がまわった。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
そこに巨きな鉄の罐(かん)が、スフィンクスのように、こっちに向いて置いてあって、土間には沢山の大きな素焼(すやき)の壺が列んでいました。
ポラーノの広場 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
うるさく病む眼の邪魔になって、蝙蝠(こうもり)がおちこち飛び交していた。薬売の定斎屋(じょさいや)が、宣伝の薬筥(くすりばこ)の鐶(かん)の鳴りを止めてしずかに帰ってゆく。
美少年 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
肝(かん)、心(しん)、脾(ひ)、肺(はい)、腎(じん)の五臓は、五志、五気、五声にあらわれて、色にも出(い)で、ことばにも隠せぬものでおざる。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
耶蘇(ヤソ)教的カルチュアーと同意義のものでなければ、開化なる語を冠(かん)すべきものでないと自信していたからであるというが如きはその一例である。
ここに燦(さん)として輝くのは、旭日(あさひ)に映る白菊の、清香芳(かん)ばしき明治大帝の皇后宮、美子(はるこ)陛下のあれせられたことである。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
二十五年間(ねんかん)教育(きょういく)に尽(つく)して職(しょく)を退(しりぞ)いた後(のち)、創作(そうさく)に心(こころ)をうちこんで、千九百二十七年(ねん)になくなるまで、じつに二十巻(かん)の著作(ちょさく)を残(のこ)した。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
君側の奸(かん)を一掃してのうえでなら、微臣たりとも海内静謐(せいひつ)のためどんな御奉公も決していとう者ではない。どうかご推量を仰ぎたい。恐惶謹言(きょうこうきんげん)
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうなると、日ごろのゲジゲジも迂路鼠(うろねずみ)も青草蛇(あおだいしょう)も、案外、天真爛漫(らんまん)なもので、飲む、踊る、唄うなど、百芸の歓(かん)を尽して飽くるを知らない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一緒にいる時分は、ほんの些(ちょい)とした可笑(おかし)いことでも、悔(くや)しいことでも即座に打(ぶ)ちまけて何とか彼(かん)とか言って貰わねば気が済まなかったものだ。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
酸素問題は、酸素のボンベをもっていって、いよいよ苦しくなったら、栓(せん)をひらき、酸素をゴム管(かん)で出し、それを口にくわえるとか鼻にあてるとかする。
成層圏飛行と私のメモ (新字新仮名) / 海野十三(著)
時に九月天高く露清く、山空(むな)しく、月明(あきら)かに、仰いで星斗(せいと)を視(み)れば皆(みな)光大(ひかりだい)、たまたま人の上にあるがごとし、窓間(そうかん)の竹(たけ)数十竿(かん)、相摩戞(まかつ)して声切々(せつせつ)やまず。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あるいは、基房の女子は四人あり、うち三人は嫁ぎ、一名は当時八条女院の女房だったから、その一女子が、義仲に姦(かん)せられたものであろう、とする異説などまちまちである。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手紙は簡(かん)でわからないけれど栄輔君の家産を蕩尽したことにも、何か一つの物語がありさうにKには思はれた。
田舎からの手紙 (新字旧仮名) / 田山花袋、田山録弥(著)
その後(あと)で胸算用(むなざんよう)でもする案排(あんばい)しきで、指を折って見たり、ただ考(かん)がえたりしていたが、やがてまた綺麗(きれい)な指で例の文銭を新らしく並べ更(か)えた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
八月十日、寛(かん)は餘作(よさく)を同伴して初めて来塲す。寛は餘作が暑中休業にて五郎同行来札(らいさつ)するを以て、五郎を母の許(もと)に残し、同五日発にて牧塲に向う。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
向こうは三百二十貫(かん)のほし草をつくりました。こちらは三百七貫のほし草をつくりました。
草 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
一途(いちず)にこうして鏃ばかりでねらうと、鏃の当(あて)はよくても、桿(かん)の通りが碌(ろく)でもないことになると、矢の出様が真直ぐにいかない。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
また日本にては、貧家の子が菓子屋に奉公したる初には、甘(かん)をなめて自から禁ずるを知らず、ただこれを随意に任してその飽くを待つの外に術(すべ)なしという。
経世の学、また講究すべし (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「よくそれにお目がとまりました、その辺がここでは逸物(いちもつ)でございましょうな、牧場の方へ参ると駒で一頭、ややこれに似た悍(かん)の奴がござりまするが」
以てすれば、われは緩(かん)を以てし、彼が暴を行えば、我は仁を行い、彼が詐(いつわ)りをなせば、我は誠を以てして来た。それを自ら破るのがつらい
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十干(かん)十二支(し)によって日を算(かぞ)える習慣は、南方諸島でも存外(ぞんがい)に始まりが早く、必ずしも中世の交通によって、輸入せられたともきめてしまわれない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
楤(たら)の木の心から製した醨(もそろ)の酒は、その傍の酒瓮(みわ)の中で、薫(かん)ばしい香気を立ててまだ波々と揺(ゆら)いでいた。若者は片手で粟を摘(つま)むと、「卑弥呼。」と一言呟いた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
斯(し)自(みづか)ら以爲(おも)へらく、非(ひ)に如(し)かずと。非(ひ)、韓(かん)の削弱(さくじやく)せらるるを見(み)、數〻(しばしば)書(しよ)を以(もつ)て韓王(かんわう)を諫(いさ)む、韓王(かんわう)用(もち)ふること能(あた)はず。
どこを毎日遊んで廻るのか、不良少女の混血児(あいのこ)お蝶(ちょう)は、派手に着かざった身なりをして、相変らず二官(かん)に口実をもうけては出歩いている。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たゞ館(かん)の中庭(なかには)にはあのどるめんの小(ちひ)さいものを、原状(げんじよう)のまゝ持(も)つて來(き)て据(す)ゑてありますから、後程(のちほど)庭(には)へ出(で)て御覽下(ごらんくだ)さい。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
かのスミレの顔(かん)ばせを成せる花が凋落し行く頃からこの閉鎖花が出る。閉鎖花とは名の如(ごと)く閉鎖した花で一向に色のある普通の花弁を出さない。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
また鑛物(こうぶつ)や動植物(どうしよくぶつ)のような博物學(はくぶつがく)に關(かん)する標本類(ひようほんるい)ばかりを陳列(ちんれつ)してある所(ところ)は博物學博物館(はくぶつがくはくぶつかん)といふことが出來(でき)ます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
試(こゝろみ)に書目を検すれば、説郛(せつふ)巻(けんの)二十九、古今説海の説略、学海類篇の集余(しふよの)四記述、稗海(はいかい)第三函(かん)等に収められてゐる。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
前回参看※文三は既にお勢に窘(たしな)められて、憤然として部屋へ駈戻(かけもど)ッた。さてそれからは独り演劇(しばい)、泡(あわ)を噛(かん)だり、拳(こぶし)を握ッたり。どう考えて見ても心外でたまらぬ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
志士の口を箝(かん)して、強いて無事を装わんとするに際し、他方においては、海外の形勢いよいよ切迫となり、一衣帯水(いちいたいすい)を隔てたる清国(しんこく)は、今や英国と事を生じ
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
吾が同郡(どうぐん)岡(をか)の町(まち)の旧家(きうか)村山藤左ヱ門は余(よ)が壻(むこ)の兄なり。此家に先代より秘蔵(ひさう)する亀の化石(くわせき)あり、伝(つたへ)ていふ、近(ちか)き山間(さんかん)の土中より掘得(ほりえし)といふ、実(じつ)に化石の奇品(きひん)なり、茲(こゝ)に図(づ)を挙(あげ)て弄石家(ろうせきか)の鑒(かん)を俟(まつ)。
次にわたくしは彼笥(あのし)を傾けて文書を借し、柬(かん)を裁して事実を報じ、編述を助成した諸友と、此等の稿を読んで著者の痴頑(ちぐわん)を責めなかつた少数の未見の友とに感謝する。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
今の士相率きひて、媚を権門に納(い)れ、欵(かん)を要路に通ずるは、その求むるところ功名聞達(ぶんたつ)よりも、むしろ先づ黄金を得んと欲するの心急なればなり。その境遇や憐れむべし。その志操や卑しむべし。
誰が罪 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
我等は手足を動(うごか)して熔岩の塊を避けつゝ進めり。色褪(あ)せたる月の光と松明(まつ)の光とは、岩の隈々(くま/″\)に濃き陰翳を形(かたちづく)りて、深谷の看(かん)をなせり。忽ち又例の雷聲を聞きて、火柱は再び立てり。
俊平の弟は鈕平(ちゅうへい)、録平(ろくへい)である。女子は長を鉞(えつ)といい、次(つぎ)を鑑(かん)という。鑑は後に名を鶴と更(あらた)めた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「おや、ここに乾(かん)パンの食いかけが散らばっているよ」
骸骨館 (新字新仮名) / 海野十三(著)
えい、ものものしや、我(わ)が神聖(しんせい)なる甲板(かんぱん)は、如何(いか)でか汝等(なんぢら)如(ごと)き汚(けが)れたる海賊(かいぞく)の血汐(ちしほ)に染(そ)むべきぞ。と我(わ)が艦(かん)ます/\奮(ふる)ふ。硝煙(せうゑん)は暗(くら)く海(うみ)を蔽(おほ)ひ、萬雷(ばんらい)一時(いちじ)に落(お)つるに異(ことな)らず。
士卒(しそつ)未(いま)だ附(つ)かず、百姓(せい)信(しん)ぜず。人(ひと)微(び)にして權(けん)輕(かろ)し。願(ねが)はくは君(きみ)の寵臣(ちようしん)・國(くに)の尊(たつと)ぶ所(ところ)を得(え)て以(もつ)て軍(ぐん)を監(かん)せしめば、乃(すなは)ち可(か)ならん
衣(ころも)、骭(かん)に——到(いた)り——か、天下の英雄は眼中にあり——か。人を馬鹿にしてるな。そりゃ、聞えません伝兵エサンと来るじゃないか。三吉一つ歌って見や。アイアイ。そんな事じゃなかったよ。
煩悶 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
三軍にわかれ、三道から進められ、旗鼓(きこ)雲に喊(かん)し、歩武山嶮(さんけん)を揺(ゆ)すった。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この棟(むね)の低い支那家(しないえ)の中には、勿論今日も坎(かん)の火(か)っ気(き)が、快(こころよ)い温(あたたか)みを漂わせていた。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
黍色(きびいろ)の容貌に、腮(あご)だけの羊髯(ひつじひげ)をバサとそよがせ、口大きく、眉は少し八の字、どこか愛嬌さえある顔だが、身の丈(たけ)ときたら一幹(かん)の松のごとく、すッくと見え、さらに憎ていなのは
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その禄を利した以上、その患(かん)を救わねばならぬのだ。開(あ)けろ! 開けろ!
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「今晩じゅうぶん懽(かん)を尽しましょう、明日はまたどんなさしさわりが起らないともかぎりませんからね」
嬌娜 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
天保十年の夏は旱(かん)して六十日余も雨がなかったので、酒巻立兆の庭の芭蕉(ばしょう)が枯れかかった。家の者が日々喞筒(ポンプ)で水を濺(そそ)ぐのを、星巌は珍しく思ったと見えて、「竜吐水歌」を賦した。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
このためには、現在魯侯よりも勢力を有(も)つ季・叔・孟・三桓(かん)の力を削(そ)がねばならぬ。三氏の私城にして百雉(ひゃくち)(厚さ三丈(じょう)、高さ一丈)を超(こ)えるものに郈(こう)・費(ひ)・成(せい)の三地がある。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
丁度二葉亭は居合わしたので不法を詰(なじ)ってかれこれ押問答をすると、無法にも二、三人の巡査が一度に二葉亭に躍(おど)り蒐(かか)って戸外へ突飛ばし、四の五のいわさず拘引して留置檻(かん)へ投げ込んでしまった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
渠(かれ)は、かういふ苦肉策を考へる時には、いつも、幼時教へられた東西歴史の交渉研究に必要なジンギス汗(かん)、タメルラン、アチラなどの事蹟を思ひ浮べるのである。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
興到レバ韻ヲ分ツテ詩ヲ賦シ、翰(かん)ヲ染メテ書画ヲ作ル。倦(う)メバ則(すなわち)アルイハ坐シ、アルイハ臥(が)シ、劇談一餉(しょう)、善ク戯謔(ぎぎゃく)シテシカモ虐ヲナサズ。モシ時事ノ得失人物ノ是非ニ渉(わた)レバ輙(すなわ)チ厭(いと)フベキヲ覚ユ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
〔譯〕胸次(きようじ)清快(せいくわい)なれば、則ち人事百艱(かん)亦阻(そ)せず。
一軒のお長屋の土塀を越して、白木蓮(しろもくれん)の花が空に向かって、馨(かん)ばしい香(にお)いを吐いている。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
義勇飛行将校を志願して有名なギヌメールのシゴイニュ(鸛(こうのとり))隊へ入り、戦闘機に乗って十何機とか敵機を撃墜したそうで、シゴイさんの鸛(かん)一という名は鸛部隊の〈鸛〉からとったんだそうだ。
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
淫蕩(いんとう)な女体が、焚(た)きこめられた春情香の枕を外(はず)して、歓喜の極に、一喚(かん)、死息を怪しましめ、一叫(きょう)、凝脂(ぎょうし)を汗としてうるおす
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
叫絶(きょうぜつ)一喚(かん)、これは唐風(からふう)な彼国(かのくに)の表情表現法で、わが国の春語のごとく、哭(な)くとはいわない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
羊の毛皮を二枚着ていたそうだが、それで粟稈の中に潜っていたにしても、炕(かん)は焚(た)かれないから、随分寒かっただろうね。支那人は辛抱強いことは無類だよ。
鼠坂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
小川君は好奇心が起って溜(た)まらなくなった。その家は表からは開けひろげたようになって見えている。炕(かん)の縁(ふち)にしてある材木はどこかへ無くなって、築き上げた土が暴露している。
鼠坂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その翌朝、頭(かん)の君(きみ)は道綱のところへ使いの者に、風邪気味で役所へ出られそうもありませんから一寸お出がけにでもお立ち寄り下さい、とことづけて来させた。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
頭(かん)の君(きみ)がお立ち去りになって往かれたのは、もう余程前のことであろう。その跡、私はながいこと、灯をそむけたまま、薄暗いなかに、ひとり目をつむっていた。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
間(ま)もなく夕刊(かん)を縁(えん)に投(な)げ出した青木さんはさうつぶやきながら、奧(おく)さんの方(はう)を振(ふ)り返(かへ)つた。
夢 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
青木さんはすぐに縁(えん)の籐イスに身(み)を寄(よ)せて煙(たば)草をふかしながら、夕刊(かん)を読(よ)みはじめた。
夢 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
大阪の天王寺蕪(かぶら)、函館の赤蕪(あかかぶら)、秋田のはたはた魚、土佐のザボン及び柑(かん)類、越後(えちご)の鮭(さけ)の粕漬(かすづけ)、足柄(あしがら)の唐黍(とうきび)餅、五十鈴(いすず)川の沙魚(はぜ)、山形ののし梅、青森の林檎羊羹(りんごようかん)、越中(えっちゅう)の干柿(ほしがき)、伊予の柚柑(ゆずかん)、備前(びぜん)の沙魚
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
口取は焼玉子、栄螺(さざえ)(?)栗、杏(あんず)及び青き柑(かん)類の煮(に)たる者。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
右(みぎ)の通(とほ)り、津浪(つなみ)は事實上(じじつじよう)に於(おい)て港(みなと)の波(なみ)である。われ/\は學術的(がくじゆつてき)にもこの名前(なまへ)を用(もち)ひてゐる。實(じつ)に津浪(つなみ)なる語(ご)は、最早(もはや)國際語(こくさいご)となつた觀(かん)がある。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
恰(あだか)も陸上(りくじよう)に於(お)ける洪水(こうずい)の如(ごと)き觀(かん)を呈(てい)するので山津浪(やまつなみ)と呼(よ)ばれるようになつたものであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
䔵(かん)に作つたものは、わたくしは未だ曾て見ない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
余(よ)は不知庵(フチアン)がこの書(しよ)を我(わが)文界(ぶんかい)に紹介(せうかい)したる勇氣(ゆうき)をこよなく喜(よろこ)ぶものなり。第(だい)二卷(かん)の速(すみやか)に出(い)でんことを待(ま)つ。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
進むべくして進み、辞すべくして辞する、その事に処するに、綽々(しゃくしゃく)として余裕があった。抽斎の咸(かん)の九四(きゅうし)を説いたのは虚言ではない。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そこでチチコフは相手の機嫌を損じたくないばかりに、ちょっと鼻に触って見て、『なかなか好い嗅覚(かん)ですよ。』と言った。
怒(いかり)の中心より画(えが)き去る円は飛ぶがごとくに速(すみや)かに、恋の中心より振り来(きた)る円周は燄(ほのお)の痕(あと)を空裏(くうり)に焼く。あるものは道義の糸を引いて動き、あるものは奸譎(かんきつ)の圜(かん)をほのめかして回(めぐ)る。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
取つて返しの付かない傷まで附けさせて、私は、狭山さん、余(あんま)り申訳が無い! 堪(かん)……忍(にん)……して下さい
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
𤞵字音豹と『康煕字典』にあるのみ、説明がない。しかし完(かん)と獾(かん)と同音故、獾の字を𤞵と書いたと見える。郭璞(かくはく)の『爾雅』註に猯と獾を一物とす。
西洋の屋(いへ)は甎石(せんせき)を以て築き起すから、縦(たと)ひ天災兵燹(へいせん)を閲(けみ)しても、崩壊して痕跡を留めざるに至ることは無い。それゆゑ碩学鴻儒の故居には往々銅牓(どうばう)を嵌(かん)してこれを標する。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「二日、三日ないしは五日、どのように水を潜ったところで、淼々(びょうびょう)と広い湖のこと、そんな小さな石の棺、あるともないとも解りませぬ。が、私(わっち)の感覚(かん)から云えば、まずこの辺にはござんせんな」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
目読(もくどく)の興を以て耳聞の楽(たのしみ)に換ゆ、然り而して親しく談話を聞くと坐ら筆記を読むと、自(おのずか)ら写真を見ると実物に対するの違い有れば稍(やゝ)隔靴掻痒(かっかそうよう)の憾(かん)無きにあらず
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
「それでは、オフェリヤの棺槨(かん)の外から、君が風間九十郎を透視した理由を聴こう。僕は、それを不思議現象だけで葬りたくはないのだよ」
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
予(よ)として冬、川を渉(わた)るがごとく、猶(ゆう)として四隣をおそるるがごとく、儼(げん)としてそれ客のごとく、渙(かん)として冰(こおり)のまさに釈(と)けんとするがごとく、敦(とん)としてそれ樸(ぼく)のごとく、曠(こう)としてそれ谷のごとく
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心、岡倉覚三(著)
「そう言えばお顔の色も悪いようでございます、あのちょうど取ったのがございますから、熱くお澗(かん)をつけましょうか。」
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一度片付けた晩酌の膳を出して、猪口(ちよこ)を二つ、爛(かん)ざましになつた徳利の尻を、まだ熱くなつてゐる銅壺(どうこ)に突つ込みます。
𤞵字音豹と『康煕字典』にあるのみ、説明がない。しかし完(かん)と獾(かん)と同音故、獾の字を𤞵と書いたと見える。郭璞(かくはく)の『爾雅』註に猯と獾を一物とす。
○ 蘧伯玉==衛の大夫、名は瑗(かん)、賢人の誉が高かつた。孔子は、巡歴して衛に行つた時、この人の家に入つていたことがある。
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
川柳に「三たび口説(くど)いて聴かれず身退(ひ)く振られ客」とあるごとし、『爾雅』に虎の浅毛なるを山貓(さんみょう)、白いのを甝(かん)、黒きを※(いく)、虎に似て五指のを貙(ちゅ)、虎に似て真でないを彪(ひょう)
同時に、一丈青もそこは女の直感(かん)で
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
石油罐(かん)だかに入れて埋めてしまうという話が書いてありました。
文学のふるさと (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
一年生の草で独生あるいは叢生の稈(かん)は直立し、単一で分枝せず高さが三、四尺にも達する。線形の緑葉を互生し、葉片下に稈を取り巻く長い葉鞘がある。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
今までは注射針(しん)を以て左の腕の静脈から血を採って居たが、今回だけは、僕の左の橈骨(とうこつ)動脈にガラス管をさしこみ、その儘(まゝ)ゴム筒(かん)でつないで、僕の動脈から
恋愛曲線 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
お時は銀簪(かん)で小鬢(こびん)を掻き乍ら、大きい眼を見張ります。
そこはもと菅(かん)という家老の屋敷であって、その家老時代の建物は取除けられてしまって、小さい一棟の二階建の家が広い敷地の中にぽつんと立っているばかりであったが
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
わたくしは此に少しく蘭軒の名字(めいじ)に就いて插記することとする。それは引く所の詩集に葌(かん)の僻字(へきじ)が題してあるために、わたくしは既に剞劂氏(きけつし)を煩し、又読者を驚したからである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「とても駄目です、僕は軍艦(かん)でも、ものにならない方の、その中の一番しまいです。」
道徳の旨を知らず、雕飾(ちゅうしょく)綴緝(てっしゅう)して、以て新奇となし、歯を鉗(かん)し舌を刺(さ)して、以て簡古と為し、世に於(おい)て加益するところ無し。是を文辞(ぶんじ)の蠹(と)という。四者交々(こもごも)作(おこ)りて、聖人の学亡(ほろ)ぶ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
五音(かん)の調子が少し外れて、礼儀正しい一粒選りの言葉のうちにも、何んとなく享保二年の江戸の町には通用しそうも無い、一種言うに言われぬ古めかしさがあります。
坎(かん)、もしくは駻(かん)なるものならば、女の時にもつてくれば、疳(かん)の高い馬のやうな跳つかへりをさしたものともおもへる。
凡愚姐御考 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
各自(てんで)に米が五合に銭十五銭宛持寄って、飲んだり食ったり驩(かん)を尽すのだ。まだ/\と云うて居る内に、そろ/\畑(はた)の用が出て来る。落葉(おちば)掻(か)き寄せて、甘藷(さつま)や南瓜(とうなす)胡瓜(きゅうり)の温床(とこ)の仕度もせねばならぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
姨捨てん湯婆(たんぽ)に𨣉(かん)せ星月夜 言水
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)