“溜”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
たま44.1%
37.7%
たまり5.0%
ため3.9%
だま3.5%
2.8%
だめ2.4%
だまり0.6%
たむ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
取り付きの角の室を硝子窓ガラスまどから覗くと、薄暗い中に卓子テーブルのまわりへ椅子いすが逆にして引掛けてあり、ちりもかなりたまっている様子である。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
顔には悲しみとも苦痛ともとれる、一種の絶望的な表情がうかび、眼には涙がまっていた。ひと際つよく、ずしんと家が震動した。
暴風雨の中 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
また江戸では浅草と品川とに非人たまりがあって、善七、松右衛門の両名がいわゆる非人頭となり、エタ頭弾左衛門の下に属していた。
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
おまっちゃんは糸で編んだ網に入れてある、薄い硝子ガラスの金魚入れから水がって廻るように、丸い大きな眼に涙を一ぱいためこらえていた。
それにめて、四、五人の侍臣が桟敷から飛び降りると、剣士だまりの幕からも、五、六人の若侍がバラバラと試合場の中央に駈けた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そういった人中ひとなかの商売は黒人くろとのことですから、万事に抜け目がなく、たとえば売りめの銭などは、バラでなげうって置いてある。
はきだめを置いてあるでなし、ドブ板があるでなし、リーヤ・カーが置きっ放しになっているではなし、ましてやネオンサインも看板もない。
第四次元の男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
普通の住居を医院らしく使うのでしたから、診察室、患者だまりなどを取ると狭くなるので、薬局だけは掛出しにしてありました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
温泉あり。綿の湯といふ。上中下かみなかしもわかつている。上の湯は清灑せいしやにして臭気なし。これを飲めば酸味あり。上の湯の流あまりをたむるを中といひ、又それにつぐを下といふ。轎夫けうふ駄児たじの類浴する故穢濁くわいだくなり。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)