“緘”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
つぐ70.4%
かん14.5%
とざ7.0%
3.2%
1.6%
から0.5%
おど0.5%
しま0.5%
ふう0.5%
ふさ0.5%
むす0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それを見ると弟はきゅうに口をつぐんで、彼女を放っておいてどんどん先へいった。弟の胸の中に不満と淋しさがふくれ上っていたのだ。
青草 (新字新仮名) / 十一谷義三郎(著)
しかし、こう話を向けられても、人々は苦々にがにがと口をかんしたきりだった。——とはいえ、それほどな張清でも、そらける鬼神ではない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平次ににらまれて、ガラッ八は危うく口をとざしました。放っておいたら——こいつア大笑いだ——とでも言ったことでしょう。
「勝手が判らなくってまごまごしているのは可哀想と思うたから……。」と言いかけて氏は堅く口をじて鋭い目で前方をにらんでいた。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
家持は忙てゝ、資人の口をめた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
上て引せけるに曲者はこゝぞと思ひ滑々ずる/\と引出す處を半四郎は寢返ねがへりをする體にて曲者のくび股間またぐらはさみ足をからみて締付しめつけけるに大力だいりき無雙ぶさうの後藤にしめ付られて曲者はものを云事もかなはずたゞ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
朝鮮おどしの金モール燦然さんぜんたる飴売あめうり服や、四角八面のフロックコートを一着に及んで、左様さよう然らばの勲何等かぜを吹かせるのが、どう考えても吾輩の性に合わなかったんだね。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
までたかくはないが、骨太ほねぶと肉附にくづきい、丸顏まるがほあたまおほきなひとまなじりながれ、はなたかくちしまり、柔和にうわなか威嚴ゐげんのある容貌かほつきで、生徒せいとしたしんでました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
三人とも口をふうじられた。どしんと大きな沈黙を横たえられた感じだった。お婆さんは眼を開いて弥平のやつれた淋しい顔に視線を据えていたが、それも長くは続かなかった。
蜜柑 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
M氏はいないと思うのであろう。私はその点については口をふさぐ。しかし見回す限りにおいて人間はあまりに小さく醜い。人間はいかに大きく見えても人間としての卑しさと弱さと醜さをもっている。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
我心はたのしみたれど我舌はむすぼれたりき。フエデリゴ打興じて曰ふやう。此男は一の明珠なり。その一失は第二のヨゼツフたるにあり。