“容貌”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ようぼう34.2%
きりょう30.8%
きりやう8.2%
かお3.4%
ようばう3.0%
かおだち2.8%
きりよう2.4%
かおかたち2.2%
かたち1.3%
かほ1.3%
みめ1.3%
かほつき1.1%
おもばせ1.1%
かほかたち0.9%
かおつき0.9%
みめかたち0.6%
かんばせ0.6%
おもざし0.4%
おもて0.4%
すがた0.4%
おもかげ0.2%
おんな0.2%
かおだ0.2%
かほかた0.2%
かほたち0.2%
きれう0.2%
こがら0.2%
さまかたち0.2%
しろもの0.2%
そっぽ0.2%
そつぼう0.2%
なりかたち0.2%
カホツキ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
姉の方は細面で妹の方はまる顔であったが、どちらも品のある容貌ようぼうをしていた。姉の方は田中良たなかりょう画伯の描く女性にそっくりであった。
安い頭 (新字新仮名) / 小山清(著)
「あいにく病気だと云うのですよ、でも大丈夫ですよ、すこし容貌きりょうはよくないが、縫物が上手で、手も旨いし、人柄は至極柔和だし」
四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
蒼白い顏が少し弱々しく見えますが、粗末な身扮みなりに似合はぬ美しさで、存分によそほはせたら、お喜多におとらぬ容貌きりやうになるでせう。
炎のような憎悪!——普通の容貌かおをしている者への、強いにくしみ——それが、大次の眼光に、道場での木太刀取りに、突き刺すように感じられる。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
かれえずあるものさがすやうなしか隱蔽いんぺいした心裏しんりあるものられまいといふやうな、不見目みじめ容貌ようばう村落むらうちさら必要ひつえうやうやげんじてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
木々のもふく春に向いて、嬰児あかごの手足は、日ごとにまろくなって行った。父の血をうけて、この子も意志強い容貌かおだちしていた。
日本名婦伝:静御前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すそ海草みるめのいかゞはしき乞食こじきさへかどにはたず行過ゆきすぎるぞかし、容貌きりようよき女太夫をんなだゆうかさにかくれぬゆかしのほうせながら、喉自慢のどじまん腕自慢うでじまん
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
運わるく、そのなかに、伊那丸の容貌かおかたちを見おぼえていた者があった。かれらは、おもわぬ大獲物おおえものに、武者むしゃぶるいをきんじえない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この山とこの池とは二重に反対した暗示をった容貌かたちを上下に向け合っている、春の雪が解けて、池に小波立つときだけあでやかに莞爾にっこりする
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
樽野は今更のやうに大ちやんの容貌かほが祖父似であることを知つた。そして大ちやんも年をとつたな——などと思つた。
鶴がゐた家 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
女は容貌みめ形ばかりくっても心掛が悪くっては何にもなりませんが、此のお花さんは海も山も備わった、実にんとも云えないい娘で
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そりやあ、もう、新平民か新平民で無いかは容貌かほつきで解る。それに君、社会よのなかから度外のけものにされて居るもんだから、性質が非常にひがんで居るサ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『はあ。』と答へた時は若々しい血潮がにはかにお志保の頬に上つた。そのすこし羞恥はぢを含んだ色は一層ひとしほ容貌おもばせを娘らしくして見せた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
新吉原江戸町一丁目玉屋山三郎の方へ申こみ目見めみえを致させけるに容貌かほかたちも十人なみすぐれしかば大いに氣にいりだん/\懸合かけあひすゑねん一ぱい金五十兩と相談を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
自分ながら嫌気のするような容貌かおつきをもう一度映しなおして見た、岸に咲きみだれた藤袴ふじばかまの花が、私の影にそうて優しい姿を水に投げている。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
女は容貌みめかたちも美しかったので、かかる才能と共に、輩下の部落の土民の間でめものにされた。ふた親にとっては自慢の総領娘となった。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
すでに日も経ているらしいが、その装束も尋常よのつね女性にょしょうとは思われないし、なお、生けるままな容貌かんばせ白玕はっかんのように美しかった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
娘も美しいと言いたいが、さて強いと言った方が至当で、すこやか活々いきいきとした容貌おもざしのものが多い。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
眼鏡越しに是方こちらを眺める青木の眼付の若々しさ、往時むかし可懐なつかしがる布施の容貌おもてあらわれた真実——いずれも原の身にとっては追懐おもいでの種であった。
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
しかし、仏さまのうちには、不動明王というような、見るからにいかにも恐ろしい仏もあります。「あれでも仏さまか」と疑うほどの恐ろしいお容貌すがたの仏さまがあるのです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
いざ雪ふらば降れ、風ふかば吹け、我が方寸ほうすんの海に波さわぎて、沖の釣舟つりぶねおもひも乱れんか、ぎたる空にかもめなく春日はるひのどかになりなん胸か、桜町が殿の容貌おもかげも今は飽くまで胸にうかべん。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
○「へえーうちに居たんだね、容貌おんなうごぜえやしたろうね、容貌おんなは」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
苦境に捨てて、後は何うでもなれというお考えでは御座いますまい。口の巧い、容貌かおだちのい男に限って軽薄なもの。——永い行末ゆくすえに、御後悔をなされますなよ
夕顔の門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見て愛惡あいをの心生ずるは是人情なり然すれば知らず/\依顧贔屓えこひいき沙汰さたにも成ゆくにより心に親疎しんそのなきやうにとねむりて訴訟を聽れたりとぞ何さま容貌かほかたいうにやさしく見えると雖も心に惡を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
清浦奎吾きようらけいご氏は持前の容貌かほたちが、頭は尖つてゐるし、眼は小さし、余りどつとしないので、せめて態度やうすにでもしつかりしたところが無くつちやと
容貌きれうい。赤ん坊の時から二人の女中が瑞木の方を抱きたいと云つて喧嘩をしたりなどもした。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
大業おおぎょうな事を云うから、小瀧も此の茂之助を金の有る人と思いますと、容貌こがらも余り悪くはなし、年齢としは三十三で温和おとなしやかな人ゆえ、此の人にすがり付けば私の身の上も何うか成るだろうと云うと
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
くは何者ぞと問へば此家の娘なりといふ容貌さまかたちも温泉にあらひて清げならん年は幾許いくつぞ。
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
わかしてつかはすはずなれど夫よりは近所ゆゑ湯に入てるがよいお文も父と共にゆくべしと辯舌べんぜつ利口りこうを以て口車くちぐるまに乘せ金のつると思ふめひのお文は如何なる容貌しろものかとお文が仰向あふむくかほ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
……窩人窩人で城下の奴らが鬼のように恐れているその窩人の娘とあっては、ちょっと好奇心ものずきも起ころうというものだ。それに容貌そっぽだって相当踏める。変わった味だってあるだろう。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「何さ。為体の知れねえかさっかきだからのう、容貌そつぼう見識みしっとく分にゃ怪我はあるめえってことよ。うん、それよりゃあ彦、手前の種ってえのを蒸返し承わろうじゃねえか。」
仙「時に少し聞きたいが、今のさむれえ容貌なりかたちは何ういうのだえ」
女寅のおえん、容貌カホツキなら物ごしなら宛然ソツクリその人である。唯折々野暮な姿を見せるのは、刻明な世話女房と見えるオソレがある。
封印切漫評 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)