かん)” の例文
私は有島武郎さんの作品をんで、作品のうちににじんでゐる作者の心の世界せかいといふものゝ大きさや、強さといふものを深くかんじます。
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
そのとき、露子つゆこは、いうにいわれぬなつかしい、とおかんじがしまして、このいいおとのするオルガンはふねってきたのかとおもいました。
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、目をあいて見るまでの時間は、わずか一分か二分だったのだろうが、その男には、どんなに長くかんじられたことだろう。——
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
現界げんかい景色けしきくらべてべつ格段かくだん相違そういもありませぬが、ただこちらの景色けしきほうがどことなくきよらかで、そして奥深おくふかかんじがいたしました。
いかにもねばりづよい、あきらめにくいかなしみのこゝろが、ものゝまとひついたように、くね/\した調子ちようしあらはれてゐるのがかんじられませう。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
『いや/\、わたくしかへつて、天外てんぐわい※里ばんり此樣こんしまから、何時いつまでも、君等きみら故郷こきようそらのぞませることなさけなくかんずるのです。』と嘆息たんそくしつゝ
其方儀貞實ていじつ信義しんぎ烈女れつぢよ民間みんかんにはまれなる者なり汝が貞心ていしん天もかんずる所にしてかくをつとが無實の罪明白に成事感賞かんしやうたへたりとて厚く御褒詞はうし有之
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
このおはなしは結局けっきょく学者がくしゃのアラムハラドがある日自分のじゅくでまたある日山の雨の中でちらっとかんじた不思議ふしぎ着物きものについてであります。
日本人にほんじん固有こゆう風習ふうしふてゝ外國ぐわいこく慣習くわんしふにならうは如何いかにも外國ぐわいこくたいして柔順過じうじゆんすぎるといふ怪訝けげんかんおこさしむるにぎぬとおもふ。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
これ政府せいふ指導しだうまた消費節約せうひせつやく奬勵しやうれいわたつたとふよりも、むし國民自體こくみんじたい事柄ことがら必要ひつえうかんじてつたからだとおもふのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
林太郎は、生まれてはじめて歩く道ですが、そういう景色けしきをながめながら歩いていると、そんなにさびしいともかんじませんでした。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
眞中まんなかには庭園ていえんがあり、噴水ふんすいえずみづし、あたりには青々あを/\しげつた庭木にはきゑてあり、あつなつでもすゞしいかんじをあた
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
しかしながら大地震だいぢしんになると、初期微動しよきびどうでもけつして微動びどうでなく、おほくのひとにとつては幾分いくぶん脅威きよういかんずるようなおほいさの振動しんどうである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
院長いんちょう不覚そぞろあわれにも、また不気味ぶきみにもかんじて、猶太人ジウあといて、その禿頭はげあたまだの、あしくるぶしなどをみまわしながら、別室べっしつまでった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
乘組のりくんだふね帆柱ほばしらに、夕陽せきやうひかりびて、一ゆきごとたかきたとまつたはうつたとき連添つれそ民子たみこ如何いかかんじたらう。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しかし將來このさきこれをさいはひであつたとときいへども、たしかに不幸ふかうであるとかんずるにちがいない。ぼくらないでい、かんじたくないものだ。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
は一こく友人ゆうじん送別会席上そうべつかいせきぜう見知みしりになつたR国人こくじんであつたので、わたしはいさゝか心強こゝろつよかんじて、みちびかるゝまゝにおくとほつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
俄盲目にはかめくらかんるいけれども、もらつた手拭てぬぐひきず二重ふたへばかりいて、ギユツとかためますと、くすり効能かうのう疼痛いたみがバツタリ止まりました。
すすむこと一里半にしてきふ暖気だんきかんず、俯視ふしすれば磧礫間温泉おんせんありて数ヶ所にづ、衆皆くわいぶ、此処はあざはな或は清水沢しみづさはと称し
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
しなあさから心持こゝろもち晴々はれ/″\してのぼるにれて蒲團ふとんなほつてたが、身體からだちからいながらにめうかるつたことをかんじた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
だのに、人間にんげん死体したいのことではなくて、んだ金魚きんぎょのことをきにいつたから、いかにもそれは滑稽こっけいかんじがしたのであつた。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
つぼみとおもひしこずゑはな春雨しゆんうだしぬけにこれはこれはとおどろかるヽものなり、時機ときといふものヽ可笑をかしさにはおそのちいさきむねなにかんぜしか
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それもはじめから宿やどたねがなかつたのなら、まだしもだが、そだつべきものを中途ちゆうとおとしたのだから、さら不幸ふかうかんふかかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
桃林和尚たうりんをしやうはそのはなしいてつてりましたから、いづれきつねがまたなに惡戯いたづらをするためにおてらたづねてたにちがひないと、すぐかんづきました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
の一こと/″\涙含なみだぐんだ。このやさしい少女せうぢよ境遇きやうぐうかはつてたのと、天候てんかうくもがちなのとで、一そう我々われ/\ひとこゝろやさしさがかんじられたのであらう。
あいちやんは心中しんちゆうすこぶ不安ふあんかんじました、たしかにあいちやんは女王樣ぢよわうさまとは試合しあひをしませんでしたが、何時いつ其時そのときるだらうと思つて居ました
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「然うかい、君も然うなのかい、」と私は引取ツて、「工場の前も幾度いくたびとほツたか知れないが、今日ほど悲しいとかんじたことはこれまで一度いちどもなかツた。 ...
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
しかし、ヤッローは部屋へやの中にいても、もう、すこしもたのしくはありませんでした。それどころか、じぶんの身をたいそうふしあわせにかんじました。
かれ地上ちじやうたふれ、次々つぎ/\に×(6)き×(7)されるじう×(8)もとに、うしほ退しりぞくやうに全身ぜんしんからけてちからかん
久保田万太郎君くぼたまんたらうくんの「しるこ」のことをいてゐるのをぼくまた「しるこ」のことをいてたい欲望よくぼうかんじた。
しるこ (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
金太郎は聞いてゐるうちに、の前が白く霞んで來て、見てゐたしや眞が見えなくなつてしまつた。かつて、あまり經けんしたことのない奇妙きめうかんじである。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
そのおと寂寞せきばくやぶつてざわ/\とると、りよかみけられるやうにかんじて、全身ぜんしんはだあはしやうじた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
眞白まつしろ雪溪せつけいとなあはせて、このお花畠はなばたけるときのかんじは、なんともへず、たつとく、かわゆく、うつくしいものです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
あたまのてっぺんまで、汚泥はねがるのもおかまいなく、よこびにした市松いちまつには、あめなんぞ、芝居しばい使つかかみゆきほどにもかんじられなかったのであろう。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
このごろ秋晴しゅうせいあしたちまたに立って見渡すと、この町も昔とは随分変ったものである。懐旧かいきゅうかんがむらむらと湧く。
思い出草 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
哺乳動物 くじら いのしし しか ひと(此所に「ひと」と云ふ事をしるしたるに付ては異樣ゐようかんずる讀者も有らん。順次じゆんじ記す所を見てうたがひをかれよ。)
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
「戦の仕様も、変って来たなあ。鉄砲という新しい武器が、急激に変えてきたのだ。桶狭間おけはざまの合戦とこんどの大戦とを、思いあわせれば、隔世かくせいかんがある」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ソログーブの最大傑作さいだいけっさくは『小悪魔しょうあくま』とされているが、われわれにもっと愛着あいちゃくかんじさせる、したしみぶか作品さくひん短篇たんぺんこと少年少女しょうねんしょうじょ主題しゅだいにした短篇小説たんぺんしょうせつである。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
北海道ほくかいだう移住後いぢゆうご冬時とうじ服裝ふくさうは、内地ないちりしときほとんどことならず。しかして當地たうち寒氣かんき左程さほどかんぜざるのみならず、凍傷とうしやうとう一度いちどをかされたることあらず。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
めばむほど顏色かほいろあをざめてくのが、燭臺しよくだいのさら/\するなかに、すごいやうなかんじを玄竹げんちくあたへた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
南洲も亦曰ふ、天下しんおそる可き者なし、たゞ畏る可き者は東湖一人のみと。二子の言、夢寐むびかんずる者か。
いつ呼んでも来て呉れる心安こころやすい、明けっぱなしで居られる友達の有難味ありがたみを、はなれるとしみじみとかんじる。
秋風 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
いま濱田ハマダ宮本ミヤモト兩先生りようせんせい御話おはなしついて、わたくし已徃きおうおいかんじましたること一寸ちよつと貴方所あなたがたまうげましたのです。
言語が通ぜぬから、手真似てまねや顔色やにて不快の念を表すが多い。これが一番不愉快ふゆかいかんずることである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
其時そのときには頑固ぐわんこ教頭自身けうとうじしんもモウ加減不安かげんふあんかんじてゐたのだから、おまへまでがソウふならとやうわけで、それをキツカケにして早速さつそく校長かうちやう手元てもと辭表じへうした。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
本当ほんとうだ、どんなものを歌う必要ひつようがあるか?……彼はやさしさとかなしみでむねが一ぱいになるのをかんじた。牧場まきばを、河を、空を、なつかしいほしを、むねきしめたかった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
且水のこほりは地中にりても消易きえやすきものなり、これなし、水は極陰の物なるゆゑ陽にかんやすきゆゑなり。我越後に削氷けづりひを視ておもふに、かの谷間たにあひありといひしは天然てんねんの氷室なり。
けれども、つよいばかりが武士ぶしではありません。八幡太郎はちまんたろうこころのやさしい、神様かみさまのようになさけのふかい人だということは、てきすらもかんじて、したわしくおもうようになりました。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
どもたちをおもふと、わたしは幸福かうふくかんじます。わたしは希望きばうかんじます。どもたちをとほしてのみ、まこと人間にんげん生活せいくわつは、その意味いみわかるやうに、わたしにはおもはれます。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
たとへば、緩漫なまのろふゆしりへにはなやかなはるめがるのをて、血氣壯けっきさかんわか手合てあひかんずるやうなたのしさ、愉快こゝろよさを、つぼみはな少女をとめらと立交たちまじらうて、今宵こよひ我家わがやりゃうせられませうず。