“蔽”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おお78.6%
おほ12.8%
かく1.7%
おおい1.5%
1.2%
かぶ0.9%
おっ0.6%
おい0.5%
おほは0.3%
おゝ0.3%
おほひ0.3%
0.2%
おつ0.2%
かば0.2%
かぶさ0.2%
やぶ0.2%
オソ0.2%
オホ0.2%
ヘイ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そは戦敗の黒幕におおわれ、手向たむけの花束にかざられたストラスブルグの石像あるがために、一層いっそう偉大に、一層幽婉ゆうえんになったではないか。
曇天 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
私の眼はおほはれ閉ぢられてあつた。渦卷く闇が私のまはりを流れるやうに思はれ、反省が黒い混亂した流れのやうに這入り込んで來た。
先頭に立った一人が、うやうやしく三宝を目八分に捧げて、三宝の上には何物をか載せて、その上を黄色のふくさと覚しいのでかくしている。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
赤革の靴を穿き、あまつさえ、リボンでも飾ったさまに赤木綿のおおいを掛け、赤いきれで、みしと包んだヘルメット帽を目深まぶかに被った。……
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「どうした」と云いながら、かぶさるように細君と千代子の上から宵子をのぞき込んだが、一目見ると急にまゆを寄せた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
気紛れなあの雪の日も思ひ出せないやうなうらゝかな日、晴代はもう床を離れてゐたので、かぶさつた髪をあげ、風呂へも行つた。
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
その年った事務員は、一日の単調な仕事に疲れて役所を出ると、不意におっかぶさってしだいに深くなってゆく、あの取止とりとめもない哀愁に囚われた。
孤独 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
変るのはとしばかりで、いたずらに育った縞柄しまがらと、用い古るしたことうらめしい。琴はおいのまま床の間に立て掛けてある。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
元来さう云ふイズムなるものは、便宜上のちになつて批評家に案出されたものなんだから、自分の思想なり感情なりの傾向の全部が、それでおほはれるわけはないでせう。
それから間もなく洛中らくちゅうの空に黒雲がおゝひろがって大雷雨が襲来し、風を起しひょうを降らして、宮中の此処彼処こゝかしこに落雷した。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
其処そこで、自分じぶん引背負ひつしよふなり、くなりして、彫像てうざう城趾しろあと天守てんしゆはこぶ。……途中とちゆうちりけるためおほひがはりに、おうら着換きがえを、とおもつて、権七ごんしち温泉宿をんせんやどまでりにつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その夢裡むりの変化が、両手で面をくして、恐怖に五体がすくみ、声を出すことも出来ぬ長崎屋を、嘲けるが如く、追いかけて、つぶやくのだった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
W・Cへとほりがかりに、うへからおつかぶさるやうにときは、つののあるだけ、青鬼あをおにはうがましだとおもつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
黄金丸はいと不憫ふびんに思ひ、くだんの雌鼠を小脇こわきかばひ、そも何者に追はれしにやと、彼方かなたきっト見やれば、れたる板戸の陰に身を忍ばせて、此方こなたうかがふ一匹の黒猫あり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
蓊欝こんもりと木がかぶさつてるのと、桶の口を溢れる水銀の雫の様な水が、其処らの青苔やまろい石を濡らしてるのとで、如何いか日盛ひざかりでもすずしい風が立つてゐる。智恵子は不図かつを覚えた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
やぶれて 両肘りょうちゅうあらはる。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
恥処ハヂオソふ為ばかりでなく、屍を完全に掩ふために、柴を与へて通つたのが、後世特定の場処に、柴や花をたむける風に固定したのである。
餓鬼阿弥蘇生譚 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
コノ四国ハ、二十年余ノ兵乱ニツテ、民屋ミンヲクハ兵火ニカカリ、村里ソンリノ業ハ破レ、田野ハ芒草バウサウオホハレ、五年三年ノ間ハ、ナホ、耕農モ整ハズ、五穀ノ満ツル日モナカラン。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信ヲ好ンデ学ヲ好マザレバソノヘイゾク、直ヲ好ンデ学ヲ好マザレバソノ蔽ヤカウ などというのも、結局は、個人としての子路に対してよりも
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)